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緑の書 第1章
4話 印を持つ者
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「キリルさんは印持者ってなんだと思う?」
なんだと思うと言われてもなぁ。
超能力が使える程度の認識だ。
記憶があったら何か知っていたかもしれないが、正直今は分からない。
「やっぱり何も知らないんだね。いいよぉ~私も最初は知らなかったし」
ココアはニヤけた顔をしながらこちらを見つめる。
とても人を殺した人には見えない。
「まず印持者には系統があるんだけど、大きく分けて四つ」
ココアはさっきのふざけた雰囲気とは裏腹に、真面目に話してくれた。
要約するとこうだ。
ハート、ダイヤ、スペード、クローバーの四つの種類の模様があり、それが身体のどこかに現れた者が印持者と言われるらしい。
俺の場合は右手、彼女の場合は胸元にあるらしい。
人によって能力が違うが、無条件でポンポン扱えるものではないらしく、できるものは稀だろうだ。
ハートの印は、見えない、手で触れない。
そういったものを失うことを代償に。
ダイヤの印はハートとは逆に、見えるもの、手で触れられるものを代償に。
スペードの印は、何かしらを永久に無くなる、もしくは使えなくなることを代償に、常時能力が発動する。
最後にクローバーは、他とは違って能力の発動に条件があり、満たすことで発動できるそうだ。
これだけ聞くと、彼女を除けば便利そうなもので、狙われる理由が分からない。
ただ、次の発言で頷けるものとなる。
「印持者は稀にね。化け物になるんだ」
「化け物?」
すでにあなたは人間離れした化け物だと思ったが、そういうことではないらしい。
「印持者わね。能力に溺れると化け物になるんだ。実際に見たのは2回くらいだから、あまり知ってる訳じゃないんだけどね。空想の化け物みたいになるの、デッカい空飛ぶクラゲだったり、翼の生えた鯨みたいな変なヤツ」
軽く想像してみたが、よく分からなかった。
ただ、どんな能力だとしても、その状態になると被害がとんでもないことになりそうだな。
「だから狙われる訳か」
「多分そうだね。国よって差はあるけど、ロギエじゃ迫害対象だからねぇ。ただ、君の場合は討伐より捕獲が優先かもね」
「どうしてだ」
「それは、印のハーフは珍しいからだよ。化け物になった例はないしね」
さっきも言っていたが、このハートとダイヤの印が組み合わさったものは珍しく。
現状見つかってるのは、俺を含めて世界で3名らしい。
ただ、そのせいで記憶が無くなってるだろうし、軍人には追われるし、忌々しいことこの上ないのだが…
そういや、俺が眠る前にいた少女はどうなったのだろうか。
「なぁ、話は変わるが。俺を助ける時、女の子が倒れて無かったか?」
何故今まで忘れかけてたんだ。
記憶を思い出すこと、軍人から逃げることで精一杯だったんだ。
情報量が多すぎる。
「いやぁ、見なかったよ。あの時は暗かったけど、私には関係ないし、見落とさないと思うけどなぁ」
彼女が上を向きながらそう言う。
あれは、夢だったのか?
ただ、俺のことを兄と呼び、約束だよと言っていたはずだ。
軍人に追われてたことは事実だし、とても夢には思えなかった。
「そうか」
俺は少しため息をこぼし前方を見ると、ジャージを着た女性とタバコを吸ってるおっさんがいた。
「おぉ、遅くなっちゃった! お待たせしやした。救出完了したぜ!」
「遅い! わっちをいつまで待たせんだよ。寒いわ、ヤニ臭えおじさんと一緒に居させられるわ。はよ帰ろ」
「俺は気にしてねぇぞ。大自然でタバコを吸うのは気持ちがいいからなぁ。ただこの子がうるさいし、他の奴も待ってるからな」
ジャージを着た女性は、顔が見えないくらい髪が長いが、表情はおそらく怒っており。
タバコを吸ってる白髪のおっさんは、ニヤけながらタバコを吸っていた。
ココアもそうだが、明らかに濃いメンツだなぁ。
なんだと思うと言われてもなぁ。
超能力が使える程度の認識だ。
記憶があったら何か知っていたかもしれないが、正直今は分からない。
「やっぱり何も知らないんだね。いいよぉ~私も最初は知らなかったし」
ココアはニヤけた顔をしながらこちらを見つめる。
とても人を殺した人には見えない。
「まず印持者には系統があるんだけど、大きく分けて四つ」
ココアはさっきのふざけた雰囲気とは裏腹に、真面目に話してくれた。
要約するとこうだ。
ハート、ダイヤ、スペード、クローバーの四つの種類の模様があり、それが身体のどこかに現れた者が印持者と言われるらしい。
俺の場合は右手、彼女の場合は胸元にあるらしい。
人によって能力が違うが、無条件でポンポン扱えるものではないらしく、できるものは稀だろうだ。
ハートの印は、見えない、手で触れない。
そういったものを失うことを代償に。
ダイヤの印はハートとは逆に、見えるもの、手で触れられるものを代償に。
スペードの印は、何かしらを永久に無くなる、もしくは使えなくなることを代償に、常時能力が発動する。
最後にクローバーは、他とは違って能力の発動に条件があり、満たすことで発動できるそうだ。
これだけ聞くと、彼女を除けば便利そうなもので、狙われる理由が分からない。
ただ、次の発言で頷けるものとなる。
「印持者は稀にね。化け物になるんだ」
「化け物?」
すでにあなたは人間離れした化け物だと思ったが、そういうことではないらしい。
「印持者わね。能力に溺れると化け物になるんだ。実際に見たのは2回くらいだから、あまり知ってる訳じゃないんだけどね。空想の化け物みたいになるの、デッカい空飛ぶクラゲだったり、翼の生えた鯨みたいな変なヤツ」
軽く想像してみたが、よく分からなかった。
ただ、どんな能力だとしても、その状態になると被害がとんでもないことになりそうだな。
「だから狙われる訳か」
「多分そうだね。国よって差はあるけど、ロギエじゃ迫害対象だからねぇ。ただ、君の場合は討伐より捕獲が優先かもね」
「どうしてだ」
「それは、印のハーフは珍しいからだよ。化け物になった例はないしね」
さっきも言っていたが、このハートとダイヤの印が組み合わさったものは珍しく。
現状見つかってるのは、俺を含めて世界で3名らしい。
ただ、そのせいで記憶が無くなってるだろうし、軍人には追われるし、忌々しいことこの上ないのだが…
そういや、俺が眠る前にいた少女はどうなったのだろうか。
「なぁ、話は変わるが。俺を助ける時、女の子が倒れて無かったか?」
何故今まで忘れかけてたんだ。
記憶を思い出すこと、軍人から逃げることで精一杯だったんだ。
情報量が多すぎる。
「いやぁ、見なかったよ。あの時は暗かったけど、私には関係ないし、見落とさないと思うけどなぁ」
彼女が上を向きながらそう言う。
あれは、夢だったのか?
ただ、俺のことを兄と呼び、約束だよと言っていたはずだ。
軍人に追われてたことは事実だし、とても夢には思えなかった。
「そうか」
俺は少しため息をこぼし前方を見ると、ジャージを着た女性とタバコを吸ってるおっさんがいた。
「おぉ、遅くなっちゃった! お待たせしやした。救出完了したぜ!」
「遅い! わっちをいつまで待たせんだよ。寒いわ、ヤニ臭えおじさんと一緒に居させられるわ。はよ帰ろ」
「俺は気にしてねぇぞ。大自然でタバコを吸うのは気持ちがいいからなぁ。ただこの子がうるさいし、他の奴も待ってるからな」
ジャージを着た女性は、顔が見えないくらい髪が長いが、表情はおそらく怒っており。
タバコを吸ってる白髪のおっさんは、ニヤけながらタバコを吸っていた。
ココアもそうだが、明らかに濃いメンツだなぁ。
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