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第四話
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気が付くと朝だった。いつの間にか寝ていたか……。
(向こうだと、丸一日失踪してることになるな)
どうせ今帰ったところで拳骨と長い説教を食らうだろう。
(もういいや、どうせ母さんも父さん、兄さん……誰も僕を見てくれないんだ。僕だけを見てくれているのはフィセさんだけだ)
「フィセさんフィセさん、起きて下さい」
取りあえず最初にフィセさんを起こす。
どんなにもぐらぐらと動かしても布団を離そうとしない。……どんだけ布団に命掛けてるんだろう。
「むぅ……。せん……?」
「そうですよ」
「家に……帰らないのか……?」
はぁ、と溜め息をついてフィセさんの髪を撫でる。
「丸一日失踪したんですから帰ったらどうせ説教と拳骨を食らいますよ。それならここに一生いた方がマシです」
「……親は。心配しないのか……?」
「あの人達はもう僕のことに興味がないんです。ならここに居て、邪魔にならないようにする方がいいでしょ?」
「そう、かもしれないな」
フィセさんはゆっくり体を起こすと僕にキスをする。
「おはよう」
「フフ、おはようございます」
»†«
あれから二週間、経った。もう警察が動き出している頃だろう。
「はぁ、はぁ、、あんっ」
僕とフィセさんはいつものように身体を重ねていた。
「あん、……もう、おしまいに、、しましょうよ……」
「フフッ、あともうちょっとだけ……。いいでしょ?」
「もう、むり、…んっ」
「あともう少しだけ……」
フィセさんは僕のナカに勢いよく精液を出すと倒れた。
「はぁ……はぁ……。疲れた……」
「お疲れ、様、です……」
「お互い様だな……」
チュッと軽くキスを交わす。
「なぁ……閃……?」
「ん……? 何ですか……?」
じっと目を見つめる。
「心中、しないか……?」
「……は?」
僕の耳、がおかしいのだろうか。フィセさんからの口から出るとは思えない単語が聞こえた。
「だから……しんじゅう……」
「……何でですか……?」
「俺、なんか最近嫌なことばっか思い出して……」
ぎゅっと包み込む。
「俺……、どうしたら……?」
フィセさんの涙が僕の頬にもあたり、滴り落ちる。
(いつも明るいのに……。そんな面があるなんて初めて知ったよ……)
「どうしたらいいのか分からないのならずっと僕の隣に居て下さい。それが僕の願いです」
「そう……。そうか……」
泣きながらニコリと笑った。フィセさんが少し頼りないように見えるのはまだ頭がぽやぽやするからだろうか。
»†«
朝目覚めたら、フィセさんは隣で激しく咳き込んでいた。それも、血を吐いて。
「……何やってるんですか?!」
苦しそうに顔を歪めながらも無理に笑顔を見せた。
「こうしたら、死ねるかなって」
「馬鹿じゃないですか!? 僕っ……、泣きますよ……」
「あはは、ごめんって」
ゴホゴホと血を吐き、次第に息が粗くなっていく。
「はぁはぁ、……。ごめんね……。来世、また会えたらいいね……」
そう言い遺すと倒れた。もう、起き上がることはない。
(向こうだと、丸一日失踪してることになるな)
どうせ今帰ったところで拳骨と長い説教を食らうだろう。
(もういいや、どうせ母さんも父さん、兄さん……誰も僕を見てくれないんだ。僕だけを見てくれているのはフィセさんだけだ)
「フィセさんフィセさん、起きて下さい」
取りあえず最初にフィセさんを起こす。
どんなにもぐらぐらと動かしても布団を離そうとしない。……どんだけ布団に命掛けてるんだろう。
「むぅ……。せん……?」
「そうですよ」
「家に……帰らないのか……?」
はぁ、と溜め息をついてフィセさんの髪を撫でる。
「丸一日失踪したんですから帰ったらどうせ説教と拳骨を食らいますよ。それならここに一生いた方がマシです」
「……親は。心配しないのか……?」
「あの人達はもう僕のことに興味がないんです。ならここに居て、邪魔にならないようにする方がいいでしょ?」
「そう、かもしれないな」
フィセさんはゆっくり体を起こすと僕にキスをする。
「おはよう」
「フフ、おはようございます」
»†«
あれから二週間、経った。もう警察が動き出している頃だろう。
「はぁ、はぁ、、あんっ」
僕とフィセさんはいつものように身体を重ねていた。
「あん、……もう、おしまいに、、しましょうよ……」
「フフッ、あともうちょっとだけ……。いいでしょ?」
「もう、むり、…んっ」
「あともう少しだけ……」
フィセさんは僕のナカに勢いよく精液を出すと倒れた。
「はぁ……はぁ……。疲れた……」
「お疲れ、様、です……」
「お互い様だな……」
チュッと軽くキスを交わす。
「なぁ……閃……?」
「ん……? 何ですか……?」
じっと目を見つめる。
「心中、しないか……?」
「……は?」
僕の耳、がおかしいのだろうか。フィセさんからの口から出るとは思えない単語が聞こえた。
「だから……しんじゅう……」
「……何でですか……?」
「俺、なんか最近嫌なことばっか思い出して……」
ぎゅっと包み込む。
「俺……、どうしたら……?」
フィセさんの涙が僕の頬にもあたり、滴り落ちる。
(いつも明るいのに……。そんな面があるなんて初めて知ったよ……)
「どうしたらいいのか分からないのならずっと僕の隣に居て下さい。それが僕の願いです」
「そう……。そうか……」
泣きながらニコリと笑った。フィセさんが少し頼りないように見えるのはまだ頭がぽやぽやするからだろうか。
»†«
朝目覚めたら、フィセさんは隣で激しく咳き込んでいた。それも、血を吐いて。
「……何やってるんですか?!」
苦しそうに顔を歪めながらも無理に笑顔を見せた。
「こうしたら、死ねるかなって」
「馬鹿じゃないですか!? 僕っ……、泣きますよ……」
「あはは、ごめんって」
ゴホゴホと血を吐き、次第に息が粗くなっていく。
「はぁはぁ、……。ごめんね……。来世、また会えたらいいね……」
そう言い遺すと倒れた。もう、起き上がることはない。
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