愛してます……。

翠雨。

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第三話

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 明日、学校へ行かなければいけないのか……。
 そのことを思う度昔の嫌な思い出が掘り起こされる。

「うぅ……。行きたくないよ、フィセさん……」

 そうだ、学校へ行くふりをしてフィセさんのところに行こう。まぁ、後で色々と叱られてしまうかもしれないけれど。

    »†«

「フィセさん、会いに来たよ」

 扉をそっと開ける。中はシーンとしており返事がない。

「…?……」

 まだ寝てるのかなと思って寝室へ行く。

「……!…」

 僕はびっくりして、でも音を立てないように後ろへ下がる。

(あんなこと……。普通、あるの……?)

 僕にだけ、好意を寄せているのかと思っていた。

「あ、」

 相手はこちらに気づいたようだ。

「おい……! どういうことだよ、フィセ!」
「言わなかったっけ? 俺にはもういるって」

 相手はクソが、と小さく呟きキッと睨んで、去っていった。

「ねぇ、どういうこと?」

 目から涙が溢れ、顎から滴り落ちる。

「ごめんね、ホントに」
「嫌! 触らないで!!」

 肩に置かれたフィセさんの手を振り払う。

「何で……どうしてよ、……。僕の唯一の居場所だと思ってた……」

 くら、と崩れて泣く。

「ごめん、本当に。俺が愛するのは君だけだよ。だから……泣かないで?」
「そんなのただのお世辞じゃん……」

 フィセさんはギュッと僕の手を握りしめると唇を寄せる。そこから舌を滑らせるとベッドへと誘導していく。
 悲しさと寂しさ、ただそれだけの感情でこの身を委ねる。

「ごめんね……」
「んぅ、やだぁ」

 パンパンと肌と肌がぶつかり合う音が木霊する。 

「俺が、閃の嫌なこと全部忘れさせてあげるから……」

 もう、なんか、どうでも、いいかな。

「あん、…フィ、セさん、、、」

 名前を呼ぶとフィセさんは柔和な笑顔を見せた。
 その顔を見て頭の片隅で思う。最低、なところもあるかもしれないけれど不思議と惹かれる魅力がある。

 もうちょっとだけ、信じたい。

「んっんっ、はぁ」

 フィセさんの首に腕を回し、チュッチュッと浅くキスをする。

「んっ……いい子」

 今日、初めて目をしっかりと見る。

「フィセ、さん……好きっ、……!」
「俺もだよ……んっ」

 舌を絡み合う。


 今はもう少しだけ、この時間を味わいたい。
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