愛してます……。

第二話

　コンコンとノックをし、ドアを開ける。

「こんにちはー……」

　ちょっと早く来ちゃったかな、でも約束なんてしてないけど。

「フフッやっぱり来たね」

　フィセさんはそう笑って出迎えてくれた。

「フィセさん、昨日はありがとうございます。これ、大した事ないんですけど―――……」

　言い終わらない内に抱きしめられてキスをされる。

「別に、気にしてないよ。ほら、上がって」
「お、お邪魔します」

　昨日来たのに何だか緊張する。
　フィセさんに促され、ベッドに腰を掛ける。

「で、あれから大丈夫だったの？」
「んー……、まぁ叱られちゃったんですけどね……。でも、フィセさんのお陰で少し楽に考えられるようになった気がします」

　フィセさんに渡されたコーヒーをグッと飲み込んで近くにあった机にそっと置く。

「そっか」

　ギューと抱きしめてきたと思うと、そのままベッドへ押し倒され、下着ごとズボンが下げされる。

「え！？　ちょっフィセさん―――……」
「ごめん、俺もう無理」

　急にズブズブとナカに指を入れられる。

「んっ？！」
「フフッごめんね、でも可愛いよ……！」

　フィセさんの甘い吐息が耳にかかる度に興奮してしまう。

　　　　»†«

　朝だった。

（まだフィセさんは寝てるから起こさない方がいいな……）

　起こさないように、そっと寝返りを打つ。

（知り合ってからまだそんなに経っていないのに、……）

　昨日の自分の哀れな姿が思い出され、何度も悶える。

　流石に寝返りを何度も繰り返していたからフィセさんは起きた。

「んぅ、……せん……」
「あ、フィセさん……」
「…もぉ、行かないでぇ……」

　フィセさんは僕を力一杯抱きしめたまま離さない。はぁ、初対面の時はこんな感じじゃなかったのに……。

「フィセさん、僕もうそろそろ帰んなきゃいけないんです。警察沙汰になったら嫌だし」
「向こうの世界が嫌ならずっとここ居てもいいんだよ……？」

　できるならそうしたい。が、僕にもまだ未練と言うものがあるのだ。

「僕、もう行かなきゃ。僕また会いに来ますから」
「……え！？」

　フィセさんの手を振り払って飛び出す。僕を追いかけてくるがもう遅い。

（帰ったら、何て言われるかな）

　微かに、そんな不安が心に残った。

（大丈夫、何かあったらフィセさんのところに来ればいいの話だから）

「僕頑張るね、フィセさん」

　そう、呟いた。