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第4章
第59話
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「ソフィ、見た?」
「見た、見た!」
サラとソフィは、カインとは別にドワーフの国の街をふらついていた。
特に、ドワーフの女性達が作る工芸品は、いくら冒険者とはいえ、年頃の女の子である2人にとって、目を輝かせるには十分であった。
倹約を是非としている2人が、買うわけでもないアクセサリーなどを見るのは、カインにとっては理解出来なかったが、世の女性に違わず、2人は見て回るだけで満足であった。
気兼ねなく時間を過ごす、そのために、3人は別行動をとっていた。
「ニィニィさん。すっごい笑顔だったよ!」
「うん! しかもカインさんに何か言われて、顔を赤らめてた!」
「途中、ちょっと悲しそうな顔してたけど、最後はまた笑顔だったよ!」
「うん! カインさんにすっごい勢いで手を振ってた!」
「これは絶対何かあるね?!」
「うん! 絶対何かあるよ! しかもきっと男と女の話だよ!」
「そうだよね? くっそう! こんなことなら、お父さんに前もって聞いておくんだった! 娘なんだから隠し事なんかいらないのに!」
「娘だからかもよ? ちゃんとしてから紹介したかったとか。ニィニィさん、サラのお母さんになるかもよ?」
「ええええええ! 急だよ! 急すぎる! でもお母さんかぁ。えへへ。私にもお母さんが出来たらいいなぁ」
「ずるいなぁ。サラ。あんなに素敵なお父さんがいるのに、その上、お母さんまでなんて」
「だったら、ソフィもうちの子になっちゃえばいいんじゃない? そしたらソフィにも両方できるよ!」
「え?! わぁ。いいかも。えへへ。カインさんがお父さんかぁ。素敵だなぁ」
「お父さんとられるのは悔しいけど、幸せになって欲しいもんね。あ! でもやっぱ隠し事は嫌だな! 今日、お父さんに聞いてみよう」
「うん! きっとカインさんなら、聞かれたら本当のこと教えてくれるよ!」
2人は道端で、大声ではしゃいでいた。
2人とも、恋愛経験はなく、そもそも色恋沙汰に巻き込まれる間もなく、冒険の日々に追われていたのだから、男女の機微など分かるわけがないのだ。
しかし、若い女性に多く見られる思い込みの激しさと、情報を共有した仲間内での盛り上がりにより、無実が事実に変換され、彼女達の中では真実となっていく。
この場面だけ見ると、Sランクの冒険者などではなく、井戸端で、噂話に花を咲かせる、市井の街娘に見えた。
◇
「お父さん! 聞きたいことがあるんだけど!」
街に取ってある、この国唯一の宿の一室で、サラはたった今戻ってきた、カインにそう叫んだ。
あまりの勢いに、カインは思わず仰け反ってしまったほどだ。
「どうしたんだい。急に。なんだい? 聞きたいことって」
「ニィニィさんのことなんだけど!」
「ああ。彼女がどうしたんだい?」
「(彼女! やっぱり彼女なんだ!) うん。お父さん、ニィニィさんとはどこで知り合ったの?」
「前にも言ったかもしれないが、サラ達と別れて、コルマールに行く途中の街で知り合ってね」
「(本当につい最近じゃない! しかも私達がいない間に!) そうなんだ。さっき、偶然見かけたんだけど、何を話してたの?」
「なんだ。見てたのか。気付かなかったな。それがな。ニィニィさん、妊娠したんだ」
「妊娠?!!」
「うん。すごく嬉しそうにしてたよ。良かったなぁ」
「ええ?! 妊娠って赤ちゃんが出来たの?!」
「そうなんだよ。まさか結婚だなんて、思ってなかったが、人間、何が起こるか分からないもんだなぁ」
「結婚?!!!」
「うん。ニィニィさんが長の娘だからって訳じゃないけど、次期長だって」
「次期長?!!!!」
「どうしたんだい。さっきからそんなに大きな声出して。しかもまるで人の言葉をそのまま真似る、鳥みたいじゃないか」
「だって! お父さん! そんなの急すぎるよ! 妊娠して結婚して次期長だなんて!!」
「そうだよなぁ。本当に急だ。でも彼女もいい歳みたいだから、それで良かったんじゃないかな。幸せってのを見つけられて」
「お父さん! なんでそんな大事なこと、今まで教えてくれなかったのよ?!」
「うん? しょうがないじゃないか。俺だってさっき話して、初めて聞いたんだから」
「えええ?!! もういいわ! ニィニィさんに直接聞いてくる!」
「え? おい! どうしたんだって言うんだ。そもそもサラはニィニィさんとは面識ないはずじゃなかったか? あんなに驚いてるってことは、知らない間に仲良くでもなったのかな」
それならば、ニィニィがサラ達に髪飾りを作ってくれる事を知ったら、さぞかし喜ぶだろうと、カインは一人小さく笑った。
◇
「大変よ! ソフィ! ニィニィさんが妊娠で、お父さんと結婚で、次期ドワーフの国の長だって!!」
「ええ?!! どういうこと?!」
サラはソフィにたった今、カインとの話を、盛大な勘違いを含めて、かなりの想像と妄想と脚色を足して説明した。
「えええ?!! それじゃあカインさん、やっぱりニィニィさんと結婚して、次期ドワーフの国の長になるの?!」
「うん! そうみたい。だって、お父さんそう言ってたもん! どうしよう。私、長の娘になっちゃった・・・」
「それよりも! サラ、お姉さんになるんだよ! お姉さん!! いいなぁ。お母さんに引き続き、妹か弟だなんて・・・」
「わぁ! そうだね! でも待って! 私、ニィニィさんのこと全然知らない! 会ってちゃんと話さないと! それにお父さんのことどう思ってるか聞かないと!!」
かくして、2つの暴走列車は留まることを知らず、どんどん波紋を広げていくのであった。
「見た、見た!」
サラとソフィは、カインとは別にドワーフの国の街をふらついていた。
特に、ドワーフの女性達が作る工芸品は、いくら冒険者とはいえ、年頃の女の子である2人にとって、目を輝かせるには十分であった。
倹約を是非としている2人が、買うわけでもないアクセサリーなどを見るのは、カインにとっては理解出来なかったが、世の女性に違わず、2人は見て回るだけで満足であった。
気兼ねなく時間を過ごす、そのために、3人は別行動をとっていた。
「ニィニィさん。すっごい笑顔だったよ!」
「うん! しかもカインさんに何か言われて、顔を赤らめてた!」
「途中、ちょっと悲しそうな顔してたけど、最後はまた笑顔だったよ!」
「うん! カインさんにすっごい勢いで手を振ってた!」
「これは絶対何かあるね?!」
「うん! 絶対何かあるよ! しかもきっと男と女の話だよ!」
「そうだよね? くっそう! こんなことなら、お父さんに前もって聞いておくんだった! 娘なんだから隠し事なんかいらないのに!」
「娘だからかもよ? ちゃんとしてから紹介したかったとか。ニィニィさん、サラのお母さんになるかもよ?」
「ええええええ! 急だよ! 急すぎる! でもお母さんかぁ。えへへ。私にもお母さんが出来たらいいなぁ」
「ずるいなぁ。サラ。あんなに素敵なお父さんがいるのに、その上、お母さんまでなんて」
「だったら、ソフィもうちの子になっちゃえばいいんじゃない? そしたらソフィにも両方できるよ!」
「え?! わぁ。いいかも。えへへ。カインさんがお父さんかぁ。素敵だなぁ」
「お父さんとられるのは悔しいけど、幸せになって欲しいもんね。あ! でもやっぱ隠し事は嫌だな! 今日、お父さんに聞いてみよう」
「うん! きっとカインさんなら、聞かれたら本当のこと教えてくれるよ!」
2人は道端で、大声ではしゃいでいた。
2人とも、恋愛経験はなく、そもそも色恋沙汰に巻き込まれる間もなく、冒険の日々に追われていたのだから、男女の機微など分かるわけがないのだ。
しかし、若い女性に多く見られる思い込みの激しさと、情報を共有した仲間内での盛り上がりにより、無実が事実に変換され、彼女達の中では真実となっていく。
この場面だけ見ると、Sランクの冒険者などではなく、井戸端で、噂話に花を咲かせる、市井の街娘に見えた。
◇
「お父さん! 聞きたいことがあるんだけど!」
街に取ってある、この国唯一の宿の一室で、サラはたった今戻ってきた、カインにそう叫んだ。
あまりの勢いに、カインは思わず仰け反ってしまったほどだ。
「どうしたんだい。急に。なんだい? 聞きたいことって」
「ニィニィさんのことなんだけど!」
「ああ。彼女がどうしたんだい?」
「(彼女! やっぱり彼女なんだ!) うん。お父さん、ニィニィさんとはどこで知り合ったの?」
「前にも言ったかもしれないが、サラ達と別れて、コルマールに行く途中の街で知り合ってね」
「(本当につい最近じゃない! しかも私達がいない間に!) そうなんだ。さっき、偶然見かけたんだけど、何を話してたの?」
「なんだ。見てたのか。気付かなかったな。それがな。ニィニィさん、妊娠したんだ」
「妊娠?!!」
「うん。すごく嬉しそうにしてたよ。良かったなぁ」
「ええ?! 妊娠って赤ちゃんが出来たの?!」
「そうなんだよ。まさか結婚だなんて、思ってなかったが、人間、何が起こるか分からないもんだなぁ」
「結婚?!!!」
「うん。ニィニィさんが長の娘だからって訳じゃないけど、次期長だって」
「次期長?!!!!」
「どうしたんだい。さっきからそんなに大きな声出して。しかもまるで人の言葉をそのまま真似る、鳥みたいじゃないか」
「だって! お父さん! そんなの急すぎるよ! 妊娠して結婚して次期長だなんて!!」
「そうだよなぁ。本当に急だ。でも彼女もいい歳みたいだから、それで良かったんじゃないかな。幸せってのを見つけられて」
「お父さん! なんでそんな大事なこと、今まで教えてくれなかったのよ?!」
「うん? しょうがないじゃないか。俺だってさっき話して、初めて聞いたんだから」
「えええ?!! もういいわ! ニィニィさんに直接聞いてくる!」
「え? おい! どうしたんだって言うんだ。そもそもサラはニィニィさんとは面識ないはずじゃなかったか? あんなに驚いてるってことは、知らない間に仲良くでもなったのかな」
それならば、ニィニィがサラ達に髪飾りを作ってくれる事を知ったら、さぞかし喜ぶだろうと、カインは一人小さく笑った。
◇
「大変よ! ソフィ! ニィニィさんが妊娠で、お父さんと結婚で、次期ドワーフの国の長だって!!」
「ええ?!! どういうこと?!」
サラはソフィにたった今、カインとの話を、盛大な勘違いを含めて、かなりの想像と妄想と脚色を足して説明した。
「えええ?!! それじゃあカインさん、やっぱりニィニィさんと結婚して、次期ドワーフの国の長になるの?!」
「うん! そうみたい。だって、お父さんそう言ってたもん! どうしよう。私、長の娘になっちゃった・・・」
「それよりも! サラ、お姉さんになるんだよ! お姉さん!! いいなぁ。お母さんに引き続き、妹か弟だなんて・・・」
「わぁ! そうだね! でも待って! 私、ニィニィさんのこと全然知らない! 会ってちゃんと話さないと! それにお父さんのことどう思ってるか聞かないと!!」
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