変身とかいうスキルは俺にとって最高のスキルかもしれない。(旧題名『ミミック』)

七鳳

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1章【人間国】

四人

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いや…彼らリアル充実しすぎじゃない???


俺がそんなにことを思ってしまうのもしょうがないだろう。
可愛い女の子2人と顔立ちの整った男2人。
見た感じ強そうだし、なんならさっきステータスも見ちゃったよ!


ちなみに俺はまだ透明化を続けている。
さっきより彼らに近づいたおかげで顔立ちまではっきりわかるようになった。


さっきステータスを見たと言ったが、実際に見たのはまだあの女剣士と口喧嘩していた男のステータスのみ。
それだけでもかなりこのパーティは強いだろうなと想像できるものだった。




ククール【人間】《魔法戦士》Lv57

【HP】12000

【MP】20000

【SPD】1460

【VIT】1200

【加護】《魔の加護・弱》

【スキル】《魔剣術》《空歩》《勇猛果敢タチムカウモノ


恵まれてるなぁ~!!!
自分のことを棚に上げて褒めているけど、正直羨ましいところは多い。


まず顔だよ顔!整いすぎ!
目とか翡翠色しちゃってるし鼻は高いし!
王子様みたいな顔してんじゃん。
身長は恐らく175cmはあるな。
元の世界ならトップアイドルの中でも中心になりそうなスペックである。


そしてステータス。
Lv高くね??何歳よこいつ。見た感じ18~くらい何だけど、こんなにLv普通高いものなの?
ボゴールって雑魚?


もう疑問しか湧いてこないよ。
加護も俺の弱いバージョンだけど《魔の加護》持っちゃってるし。
スキルもかなり粒ぞろい。

この《魔剣術》っていうのは自分の魔力を剣に纏わせることで切れ味や硬度を上げるものらしい。


スキルがなくてもできることだけど、スキルがあることによってさらに補正がかかるみたいなもんなんだろう。


次の《空歩》っていうのはその名の通り。
魔力を消費することで空中で行動することが出来るらしい。
人間が急に空中で方向転換とかするとは普通思わないから、凄い有用なスキルだと思う。


そして最後の《勇猛果敢タチムカウモノ》。

これは恐らく俺の《変身ミミック》と似たようなユニークなスキル。


効果は、自分より格上の相手へ戦意を持った状態で攻撃を仕掛けると、自身の攻撃力が相手の防御力より高くなる、というもの。


正直チートだろこれ。
相手がどんなガチガチの防御タイプでも格上なら貫けちゃうってことでしょ?
何それ怖い。


何をもって格上と認識するのかはわかんないが、恐らくLvとかステータスとかなんだろうか。


それでもこのスキルは状況をひっくり返すのに十分なスキルだと思う。




さて、そろそろ隠れて観察するだけはやめようかな。
彼らの話を聞いている限り、今から向かうのは【イレンフォレスト】のようなのだ。
どうやら街で噂だった悪人パーティが【イレンフォレスト】に向かったきり帰ってこないので、どうなったのか確認すると共に、異常があった場合それを解決するというクエストらしい。


あ~やばいっすわ~。
その異常完全に俺じゃないっすか~。


ここで彼らを【イレンフォレスト】へ向かわせてしまうと、ママンに何が起こるか分からない。
もしかしたら勝手に異常と認識されて殺されてしまうかも…。
それは嫌だ。
じゃあどうするかって?戦うしかないでしょこいつらと。


彼らの全員のステータスは確認済みだし、もちろん全員に《変身ミミック》することが可能になっている。
彼らには何の恨みもないが、死んでもらおうか。
俺のたまぽのため。俺のママンのために!















まずは透明化を解く。
そして何にも変身ミミックすることなく4人の前に姿を見せる。


「ま、魔物!?全員戦闘態勢!」

ククールとかいう名前の男が俺を見て他の3人に警戒を促す。
すぐさま他の3人も戦闘態勢に入れるあたり、やっぱりデキル人々なんだろう。

「この見た目は狐…?妖狐に見た目は似てるけど尻尾が九本もあるわ。注意して。」

女剣士…名前はアスカというらしいが、俺の見た目を見てさらに警戒を促す。
この反応からして、九尾狐って言うのは周知されていない種族なんだろう。


このパーティはこのククールとアスカが前衛で、杖を持った女…クレアが後衛、小柄な黒服の男…アトムが遊撃なんだろう。


それは観察していた時から予想はしていたので何の驚きもなかった。


「まずは私が魔法を撃って様子見します!」


クレアが杖を振り魔法の詠唱を始める。
ボゴール以外の人間の魔法を見るのは初めてなので少し楽しみだ。
それにしっかり詠唱するんだからそれなりの威力はありそうだ。


「“風よ我に力を貸し与えたまえ。願うは荒れ狂う暴風、この魔力を糧に発動せよ”『風塵乱舞』」


詠唱を終えた途端、彼女の杖が光を発する。
するといきなり俺を囲むようにして竜巻が起こった。
中には石のつぶや葉っぱが含まれていて、これに当たるとかなり痛そうだなと思った。
俺は元々準備していた《座標交代》を発動する。

これは指定した座標にある物体と自分の位置を交代するというもの。
俺が今回指定した座標には遊撃のアトムがいた。
見たところ1番防御が低かったのが彼なので、魔法の威力によっては一瞬で無力化、酷ければ死ぬと思ったからだ。


実際アトムは何の準備もなしにつぶてが飛び交う竜巻の中に閉じ込められてしまい、なすすべもなく倒れ込んだ。


「なんで!アトムがそんなところにいるのよ!」

アスカがありえないといった面持ちで叫ぶ。
その声を聞きクレアがすぐに竜巻を止めた。
しかしその行動はもう遅く、少なくともアトムは戦える状態では無くなっていた。


1人を簡単に無力化した俺はアトムと場所を交代しているので今はクレアの真横にいる。


サッと魔力を九本の尻尾に纏わせ、その九本を一本にまとめあげる。
そして出来た巨大な一本の尾を、クレアに向けて振り切る。


「っ!?“土よ我を護りたまえ”『土壁』」


お~これが詠唱破棄か~。
なんて呑気なことを思いながら壁に構わず振り切る。
少し勢いは弱められたが、十分な攻撃力を持った尻尾はクレアの体をいとも簡単に吹き飛ばした。


あれではもう戦闘参加はできないだろうな。
回復魔法を使おうとしているのか詠唱をしているようだが、回復したところですぐ戦えます!とはならないはずなのでまず放っておいていいだろう。


残りはこの2人だが、ここまで来ればもう簡単である。


迷わず俺は《変身ミミック》を使った。


変身したのはククール。


装備まで一緒になるので彼の剣も俺の腰元に刺さっている。



「狐がククールになった!?」

「目の前に俺がいるぞ!!」


かなり驚いてるみたいで。
俺は嬉しいよ!人の驚いた顔見るのって楽しくない?
今ここで《変身ミミック》を使ったのはそういう理由もある。
ただ一番の理由は、俺の魔力の質で使う魔剣ならまず負けないだろうということ。
ククールも一応《魔の加護》持ちだが俺の下位互換。
アスカに関しては加護は持っておらず、魔法に関するスキルも持っていなかった。
ただ《愛力ラブパワー》という好きな人が近くにいると能力が底上げされるという変わったスキルを持っていたが。
所詮その底上げも魔剣を止めることは出来ない。



鞘から剣を抜き、火魔法を使った時のことを思い出し、イメージしながら剣に纏わせる。
すると火を纏った剣が完成した。
名付けるとしたら炎剣フレアソードってとこだろうか。


魔剣をいとも簡単に創り出した俺を見てさらに驚く2人。


「こいつがきっとこの森の異常なんだろうな…。アスカ、死んでも倒すぞ。」

覚悟を決めたようだ。
ククールも同じように剣を抜き、魔力を纏わせていく。
彼が纏わせたのは水。
恐らく俺の火と相反する剣を使うのがいいと判断したのだろう。


アスカは愛の力で能力増強ドーピングをしてから剣を抜いた。
彼女もスキルは持ってないが、魔力を剣に流し強化する。



一瞬の間を置き、ククールが俺に向かい斬りかかってきた。
それと同時に俺の隙を狙うアスカ。


正直いいコンビネーションだと思う。
しかし圧倒的な俺の力には叶わないんだなぁ~。



俺は斬りかかってきたククールの剣の軌跡に合わせるように剣を振るった。
すると彼の剣の水は一瞬で蒸発し、ただの剣になった。そうなった剣が魔剣に耐えられるはずもなく。
俺の剣が触れたところからポッキリと折れてしまった。



そのまま俺は剣をもう一度振るう。
《空歩》により若干回避されるが、ククールに致命傷に近いダメージを与えることに成功した。


その時背後から殺気。
アスカが俺の背中へ飛びかかってきている。
今の体勢で防御するのは無理だなこれ。
よし、《座標交代》しよう。


クレアやアトムが飛んでいった場所の座標を把握するのを忘れていたので俺は目の前にいるククールと座標を交代する。



振りかぶっていたアスカの剣は思った通りに振るわれる。
まぁその相手は俺じゃなくククールなんだけどね。



「ククール!?なんでっ!!」


愛する人を手にかけてしまった彼女は発狂しそうな勢いで叫ぶ。
しかも俺がほぼ致命傷のダメージ与えてたからあれ多分死ぬな。



自分がしたことを受け入れられないアスカはその場にうずくまり動かなくなってしまった。
完全に心が折れてしまっているようだ。



あれ?この状況ならあれ試せるんじゃね?


あれとはボゴールの闇魔法を使った実験のこと。
少し試してみようかな。
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