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幕間
二回目②
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薄闇で気づけなかった。ぶわりと総毛立つ。
(こいつは、こいつは、僕とユーリィを……っ)
「ユーリィは関係ない!」
僕が叫ぶほど、ペトルの表情は強張る。
あっと言う間にユーリィまで捕らわれ、居住不可地区の塔に幽閉されてしまった。公爵と第二王子となのに。
ペトルから事情を聞いたコンスタンティネがやってきたものの、助けてくれるどころか、はなから僕たちに疑いの目を向ける。
「見損なったよ、ユーリィ。第二王子のくせに……。葬儀士を引き受けたのは、このためだったんだね」
「ご、誤解です兄上……!」
コンスタンティネの声は、この時期にはあり得ないほど冷たい。
「閣下。よりによって弟と通じて禁忌を犯すなど、酷い裏切りではありませんか」
「そっちこそ……じゃなくて。禁忌って? 心当たりがないよ」
「口調まで変えて、しらじらしいこと」
「も、申し訳アリマセン」
まずい。この流れ、一回目の最後と同じ展開に突き進んでる。
転生早々、死亡フラグが建っちゃったのか? ユーリィを連れて逃げようとしたのが裏目に出るとは思わなかった。
(とにかくユーリィだけでも塔から出してあげないと)
劣悪な環境で寝起きさせるのは忍びない。五月とはいえ肌寒く、過去の戦争の影響で食事や着替えの運搬もままならない。
それに、僕が処刑エンドの宿命を背負った悪役だとしても、ユーリィは悪のあの字もないはず。
でも、僕が脱出方法を考えつくより、コンスタンティネの決断のほうが早かった。
「私は王太子として、フセスラウを守らなければならない。ユーリィ、わかるだろう? いや、わからないか」
――処刑される。
僕はユーリィのほうに身を投げ出した。騎士の剣に先んじて、ユーリィともども青い光に貫かれる。
ユーリィの断末魔の悲鳴が何よりも痛いし、苦しいし、辛い。
せっかくの二回目が、たったの一週間で、こんな終わりを迎えるなんて……。
「――だめ宮、聞いてんのか。臭うからどっかでシャワー浴びてこいって。んで戻ったらこの書類とこのデータ処理よろしく」
いつの間にか、よれよれのスーツを着て、庁舎の自席に座っていた。
上司に長時間労働を労られるどころかちくちく文句を言われるのは三回目だ。しかも一言一句同じ言い回し。
「……申し訳アリマセン」
(夢を見てたのか? どっちが夢だ?)
生々しい絶望の手触りに苛まれながら、庁舎を出る。前に跳ね飛ばされたのと同じ夜道で、同じヘッドライトに晒された。
今ならわかる。当時の僕が……私が、呑気で、甘かったと。
そのせいで、ユーリィに苦痛を味わわせた。
十二回も。
私はユーリィを死なせない。苦しませない。泣かせない。
そのためなら、私が破滅しようと、彼以外の誰が死のうと、国が滅びようと構わない。
(こいつは、こいつは、僕とユーリィを……っ)
「ユーリィは関係ない!」
僕が叫ぶほど、ペトルの表情は強張る。
あっと言う間にユーリィまで捕らわれ、居住不可地区の塔に幽閉されてしまった。公爵と第二王子となのに。
ペトルから事情を聞いたコンスタンティネがやってきたものの、助けてくれるどころか、はなから僕たちに疑いの目を向ける。
「見損なったよ、ユーリィ。第二王子のくせに……。葬儀士を引き受けたのは、このためだったんだね」
「ご、誤解です兄上……!」
コンスタンティネの声は、この時期にはあり得ないほど冷たい。
「閣下。よりによって弟と通じて禁忌を犯すなど、酷い裏切りではありませんか」
「そっちこそ……じゃなくて。禁忌って? 心当たりがないよ」
「口調まで変えて、しらじらしいこと」
「も、申し訳アリマセン」
まずい。この流れ、一回目の最後と同じ展開に突き進んでる。
転生早々、死亡フラグが建っちゃったのか? ユーリィを連れて逃げようとしたのが裏目に出るとは思わなかった。
(とにかくユーリィだけでも塔から出してあげないと)
劣悪な環境で寝起きさせるのは忍びない。五月とはいえ肌寒く、過去の戦争の影響で食事や着替えの運搬もままならない。
それに、僕が処刑エンドの宿命を背負った悪役だとしても、ユーリィは悪のあの字もないはず。
でも、僕が脱出方法を考えつくより、コンスタンティネの決断のほうが早かった。
「私は王太子として、フセスラウを守らなければならない。ユーリィ、わかるだろう? いや、わからないか」
――処刑される。
僕はユーリィのほうに身を投げ出した。騎士の剣に先んじて、ユーリィともども青い光に貫かれる。
ユーリィの断末魔の悲鳴が何よりも痛いし、苦しいし、辛い。
せっかくの二回目が、たったの一週間で、こんな終わりを迎えるなんて……。
「――だめ宮、聞いてんのか。臭うからどっかでシャワー浴びてこいって。んで戻ったらこの書類とこのデータ処理よろしく」
いつの間にか、よれよれのスーツを着て、庁舎の自席に座っていた。
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「……申し訳アリマセン」
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