完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

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幕間Ⅱ

六回目②

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 コンスタンティネが城に駆け込んできたのだ。何ごとだろう。こんなサブストーリーはなかったと首を傾げる。

「愛のない結婚に耐えきれず、逃げてきたのです」
「えっ?」

 原作のコンスタンティネは、ニコと過ごす中で、むしろエドゥアルドに権力の道具としてしか見られていないと認め、ニコに心変わりする。

 争わずニコに譲るという、原作より穏便な方法を取ったために、心変わりしなかった? それがどう僕たちに影響するか、背筋が凍る。

「コンスタンティネ! やはりここか!」

 ニコと騎士たちまでなだれ込んできた。連れ戻す連れ戻さないの騒動になる。
 痴話喧嘩なら王宮でやってほしいと、溜め息を吐く。

「戻れ、コンスタンティネ」

 ユーリィの機転で、コンスタンティネは石階段へと逃げた。ニコが目ざとく気づき、中ほどで揉み合いになる。

「兄に乱暴しないでください、……っ」

 ユーリィが兄のために間に入ろうとして――足を踏み外す。
 銀の巻き毛が宙を舞い、床に打ちつけられるのが、スローモーションで見えた。

「ユーリィ!!!」

 駆け寄って抱き起こすも、後頭部がべっとり血で濡れている。呼吸も心音も確かめられない。無念そうに目を閉じている。

「うまくいっていたのに、なぜ。なぜだっっ」

 ひどい仕打ちだ。何も原作に反してないじゃないか。
 ……もしかして、本来接点のない私が君に好意を抱くのは許されないのか?



「だめ宮、」
「どけ」

 むせび泣いていたら、庁舎にいた。誰かに背中を強く押されたような。
 そんなことより、原作のユーリィが登場するシーンやサブストーリーを必死に調べる。
 彼の絶対生存条件を知りたいのだが、メインカプでないためか、生死不明なエンドも多い。

(そうだ、制作会社に連絡して、新しいサブストーリーを追加してもらえば)

 猛然と依頼メールを打つ。しかし返事はないまま、車のヘッドライトが迫ってくる。

 僕はよれよれのスーツの胸をぎゅっと押さえた。
 ユーリィに生きていてほしいから、この初恋は、諦めよう。
 推し、だと思えばいい。



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