完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

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7章 これが魔法遣いたちの望みです

24話 ウケとセメのぽてんしゃる

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「ウケ、とは?」

 口を離している間も、指で裏側の筋を辿ったり、根もとの丸いふくらみを揉んであげたりしながら訊く。

「愛されるって、定められた役、だよ」

 ソーマは熱い息の合間に答えてくれた。
 つまり、このソーマのもので愛される準備の方法がわかるというわけか。素直に活用させてもらおう。
 愛しくてたまらないソーマの身体の一部に、再びしゃぶりつく。

(ソーマ、気持ちよくなって、わたしとだけこうしたいと思ってください)

 ソーマを悦ばせられると思うと頑張れる。
 先端の張り出した部分に唇を引っ掛けて出し入れすると、ぐいぐい上向いた。深めに咥えればちょうど上顎を擦られ、悦楽の溜め息が鼻から抜ける。

「ふ、ぅ、気持い……です、」

 きっと後腔もこうして擦ってもらえる。その気持ちよさを知らないのに知っていて、夢中で続けた。

「……ユーリィ。それ以上は、攻めといえども、出ちゃうから」

 しばらくして、よくやったと頬を撫でられる。名残惜しくも口淫を切り上げる。
 わたしの唾液でてらりと光る先端にひとつ口づけして、ソーマを見上げた。
 欲情した紅眼とぶつかる。優しいのに優しくないような、はじめて見る表情だが、好ましい。

「気持ちよかったよ。次は僕の番」

 低く囁かれる。巻き毛に鼻を埋めるように、わたしの秘部に端正な顔を埋める――のかと思ったら、ソーマはくつろぐように肘を突いた。

「僕が見ててあげる。自分で触ってみせて」
「自分、で?」

 わたしは反射的に膝を抱えた。
 自慰はしたことがないとさっき明かしたのにと、途方に暮れる。一方で、後腔や胸先がわたしを導くかのごとく甘く疼く。
 ……未知の快楽を、もっと知りたい。
 何よりソーマの視線に抗えず、膝立ちになる。片手を双丘に、片手を乳首に持っていった。
 戯曲とはまったく異なる展開だ。

「ん……」

 薄桃色の尖りをちろちろ引っ掻いていたら、ソーマが黒ヴォルクのように身を乗り出してきた。寝台がぎしりと軋む。

「ほんとにそれで気持ちいい?」

 鋭い指摘に、きゅんと後腔が締まった。

「……いいえ」

 下衣を取り払う。一糸纏わぬ姿を、ソーマに見てもらう。彼ほど堂々とはできないが、ソーマに「ここも可愛い」と微笑まれると少しだけ自信が芽生える。
 わたしはソーマに褒めてもらえるよう、自らの乳首を指先で捏ね回した。

「んん、硬く、なってきました、」

 指をしゃぶって濡らし、ソーマの舌に愛撫されていると夢想すれば、ぴんと芯を持つ。どんどん敏感になっていく。

「ぁ、いけません、ソーマ……、~っ!」
「まだ何もしてないけど?」

 夢想の中のソーマを制止したら、現実のソーマがわたしの乳首に吸いついてきた。
 熱い舌に舐め転がされ、ときおり甘噛みされる。刺激のひとつひとつに、ひくひく身体が跳ねる。ソーマの黒髪が肌をくすぐるのすら性感に変換された。

「んぁ、男、なのに……、胸への愛撫が、こんなに気持ちい、なんて……っ」

 得も言われぬ感覚は指先や下腹部まで至り、今にも弾けそうだ。発散したい、でも、味わっていたい。

「男でも、受けはそうなんだよ。にしても、生きてきた中でいちばん美味しい……」
「ひ、そこで、話さないで、ソーマ……ッ」

 粘膜に息が吹きかかり、達してしまう。
 全身の血が滾る。これが――絶頂。
 喉を反らし、後ろに倒れ込みそうになる。ぎりぎりまでじっと見つめていたソーマが抱き留めてくれた。
 はっはっと息を荒げつつ、その肩口に頭を埋めざるを得ない。

「こんなに、浅ましくはしたない身体に、定められていたとは……」
「えっちで可愛い、が正しいけど? はじめてでドライでイけるんだね。僕に見られて感じてるのも、いじらしい」

 ソーマは恍惚とした顔だ。お互い、まだつながってもいないのに。
 ソーマの性器は、硬く、形を変えたままだ。

 これが欲しい。
 一瞥で意図が伝わったのか、ソーマがわたしをうつ伏せにする。

 ついに、と期待が高まり、臀部をくいっと持ち上げて待つ。背後でソーマが「供給過多……」とつぶやいている。

「あっ?」

 ただ、双丘のあわいに触れたのは、性器でなく指だった。縁をふにふに弄られただけで、蜜のような体液が分泌する。

「ふふ、潤滑剤要らずだ」

 ソーマはそれを奥へと塗り込めていく。

「あ、うぅ……、ゆび……、すき」

 内壁を撫でられるのが癖になりそうだ。つい甘え声が出る。
 連動してソーマの指の動きが大胆になった。本数も一本から二本に増え、わざとくちゅくちゅいやらしい音を立てる。

「指一本がやっとだったのが、どんどんほぐれてくよ。愛液もいっぱい」
「ひゃぁん!?」

 内腿にこぼれた愛液をれろっと舐め上げられ、思わず叫んだ。ソーマもソーマで「えっ?」と声を上げる。

「葡萄酒の味だ……BLゲーム、すごい」

 ソーマの舌は内腿から双丘、潤んだ後腔へと至り、あろうことかちゅうちゅう吸われた。指より熱く濡れた感触に、わたしは寝具に頬を擦りつけるしかできない。

「はぁ……ん、そんなところ、いけません……」

 姿勢を変えて逃れようと思えば逃れられるのに、むしろソーマの顔に後腔を押し付けてしまう。もっと奥まできてほしい。
 ソーマの舌遣いの強弱に合わせて、つま先がぴんと伸びてはきゅっと丸まる、を繰り返した。

「……また、達しそう、です、っ」
「指と舌だけでイっちゃうの? そこはちゃんと処女仕様なんだ」

 ソーマが嬉しそうに笑う。
 このまま再びの絶頂へ連れていってもらえると思った。でも、ちゅぽんと指を引き抜かれる。「あ、あ」と物足りなさを訴える。
 わかっている、とばかりにソーマがわたしの頭の横に両手を突いた。
 勃ちきった性器を割れ目に押しつけられ、前後に揺すられる。

「あ、ゃ、意地悪……ぅ」

 挿入はいりそうで挿入らないのがもどかしい。でも、書き綴った戯曲より好ましいのだからたちが悪い。

「お願いです、ソーマの愛を、『わからせて』ください……っ。私の、はじめては、あなたに捧げるつもりでした。一周目に拒んだこと、後悔していました。ずっとこの日を待っていたのです……」
「ありがとう。ユーリィのはじめて、誰より世界より大事にするね」

 涙まじりに懇願すれば、ソーマは大仰な宣言とともに身じろいだ。
 性器の先端がぬかるむ後腔を捉える。ぐぷぷっ、と一気に割り開かれる。

「あぁあっ、あ――、ひとつに、なれました……」
「うん。こんなに満たされるんだ、ね。本物のセックスって」

(やはり、彼にしか、わたしは埋められません)
 すべて受け入れられたと思いきや、ソーマはわたしの手に手を重ね、ぐっぐっとさらに圧し掛かってくる。その度に奥へ奥へとソーマの性器が嵌まり込んだ。

「痛くない?」

 切実で、溢れる愛を抑えきれず、どこか怖がっているようでもある声で気遣われる。
 正直、とても圧迫感がある。でも先ほどのソーマの幸せそうな一言で、そんなのは吹き飛んだ。

「この痛みなら、歓迎です……」

 上体を捻り、ゆるゆる首を振る。その動きによってか、後腔の奥がソーマの形のぶんだけ開いた。

「来て、」

 内壁が曲がる手前の突き当たりまでみっちり満たされると同時に、双丘にソーマの恥骨が触れる。痛みはすぐ悦びに変換された。

「わたしたち、ぴったり、ですね」
「うん……ナカで抱き締められてるみたい」

 ソーマは動かず、真っさらな粘膜に包まれる感覚を味わっている。それでも性器の脈動によって、内壁が刺激される。
 欲張りなわたしは、さらなる刺激が欲しくなる。

「ソーマ。もう痛くないですし、動いてもいいですよ」
「動いてほしいんだ?」

 ソーマは息で笑い、腰を引いた。せっかく埋まった奥に隙間ができる。さみしがる暇もなく、再び突き下ろされる。

「ひゃああっ!? い、今……わたしの中で魔法を遣いましたか?」

 それも角度を変え、腹側のある一点を突かれるや、身体が反った。
 大きな性感に啼きながら振り仰ぐ。ソーマが爛々とした目でわたしを見透かす。

「僕は魔法は使えないよ。君の性感帯を見つけただけ」

 そう言うが、やはり魔法としか思えない快楽を、ひと突きごとに与えられた。

「あっ、んぁあっ、あ……っ」
「ここ、完全に男を受け入れるための器官になってるよ。とろとろなのに締めつけがよくて、君も気持ちよさそう……受けのポテンシャル、無限だ」

 腹の中は見えないのに、ソーマはわたしの弱い箇所を一度で見つけた上、決して外さず責めてくる。
 抜き挿しの振動で乳首が寝具に擦れるのもあって、わたしは悶えるばかりになった。

「ソー、マ、そこばかり、ずぷずぷ、め、~っ!」
「普通に挿入してても当たるんだ。童貞だけど『攻め』の身体だから……」


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