夢の描き方

サッキー(メガネ)

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自殺しようとしてるんですが

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僕にはある夢がある。

夢というより目標だ。

それは…高校で彼女を作ること!

17年生きてきて片思いすらしたことかない。

周りは彼女がいるっていうのに。

恋愛って難しいなぁ。


おっと、自己紹介がまだだった。

僕は鈴木創(すずきはじめ)。

美術部に所属しているごく普通の高校生だ。

自慢じゃないが、絵には結構自信がある。

去年も一応賞を取った。

それ以外は本当に普通な高校生だ。


うちの学校は年に1回美術コンクールというのが開催される。

学校内から数名の参加者を募り、1人1作品を作ってもらう。

作品は書道、サンドアート、油絵など、美術に関するものならなんでもいい。

作品は学校内に飾られる。

良いと思った作品を生徒やお客さんに投票してもらう。

票を最も多く取った人、つまり最優秀賞の人には賞状とお高い値段の特製メダルが貰える。

しかし、最優秀賞になるとなぜその作品を作ったのか、作品に対する思いを全校生徒の前で発表しなければならない。

僕は去年は最優秀賞だったのだが、発表の時に噛みに噛みまくって大恥をかいたので今回は応募するのはやめようかと思っている。

今年はどんな作品が出てくるんだろうか。

そんなことを考えながら僕は昼の授業に臨んでいた。



授業が終わり、いつもの家路を歩く。

今日も普通の1日だったなぁ。

そんなことを思いながらいつも通る歩道橋を見上げた。

すると、歩道橋の真ん中に1人の少女が佇んでいた。

制服を着ている。

あれは…ウチの学校の制服か?

ぼんやりとだが、確かに僕が通っている学校の制服だ。

彼女は歩道橋の下を見ている。

一体何をしているんだ?

次の瞬間、彼女は手すりに手をかけた。

体から妙な汗が出た。

彼女は自殺するつもりだ。

そう思ったときには、既に足が動いていた。

全力で歩道橋の階段をかけ上がる。

彼女が身を乗り出そうとしたとき、僕は全力でそれを制した。

「嫌!離して!」

「離したら飛び降りるでしょ!絶対ダメ!」

格闘すること約1分。

ようやく彼女を落ち着かせることに成功した。

焦っていて気づかなかったが、彼女には見覚えがあった。

僕と同じクラスの生徒、藍原楓(あいはらかえで)だった。



藍原さんは簡単に言うとドジっ子である。

運動神経が悪く失敗が多い。

それが可愛いと思う人もいるが、逆に人に癇に障る人もいる。

僕のクラスの場合、後者が大半だ。

そのせいか、彼女はクラスでいじめを受けている。

彼女の机に落書きがされているのを何度か見ている。

彼女自身限界だったのだろう。

しかし、
「飛び降り自殺はダメだよ。しかも歩道橋からなんて。こんなところで飛び降りたら車が通行できなくなってたくさんの人に迷惑かかるから。」

「だったらどういう死に方だったら良いの?」

「…まず自殺する前提で話進めるのやめようか。」

ダメだ。

自殺を止めようと「他人に迷惑がかかる」と言ったが、効果がなかったようだ。

これは何を言っても意味がなさそうだ。

どうしたものか。


「…藍原さんはクラスの皆のこと恨んでる?」

僕は突然にそんな質問を彼女にした。

特に理由はない。

ただ聞いてみたかった。

「ううん、恨んでないよ。私がドジなせいだから。」

彼女はそう言った。


「ただ…皆と仲良くなりたい。皆と普通におしゃべりして、一緒に遊んで、思い出を作りたい。」

…正直驚いた。

「恨んでいる。」そう言われると思った。
僕は彼女がいじめられてるのを見て見ぬふりをしていた。

だからきっと、僕のことも、クラスの皆のことも恨んでいると思った。

しかし、彼女は恨んでいないと言った。

しかも仲良くなりたいと言った。

僕は胸が締め付けられた。


「…思い出を作ろう。」

「えっ?」

「僕は君がいじめられてるのを知ってて知らないふりをしてた。怖かったんだ。でも、もう見ないふりは止めだ。君が皆と仲良くなりたいと言うなら、僕は協力する。」

彼女は驚いていた。

「でも、どうやって?」

「僕に考えがある。任せといて。」

上手く行くかは分からない。

けど、やらないわけにはいかない。

それが僕が彼女に出来る唯一の謝罪だ。

きっと成功させる。
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