『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅳ

Ghetto

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「そう言えば兄さんが第1と第7もプローバーが多発しているって言っていたなぁ」

「レイア様が、ここ最近は第1の代表が会議に参加してこない・・・とも言っていた。ここ第3と同じく内戦の対応に追われていると思っていたらしいが・・・パメラ、第2では第1との争いや関係性についての何か情報はないのか?」

「いいえ、無いですね。第2に私が居た頃で、第1のことは全くそんな噂すら聞きませんでした。ここ第3と第4のように、いざこざは多少あれどそれなりに平和的だった印象です」

「そうか・・・・・・」

「あの、なぜプローバーという人が生まれるのか、誰か知ってますか?」

 ライトは素朴に質問をしている。その表情や態度には深い意味や揶揄めいたものはなく、側近たちの誰も嫌な気にはならなかった。ライトにはそういった能力というかある種の魅力が昔からあり、誰もが素直に教えたくなるという素質を持っている。

「・・・ああ、えっと、他は知らないが、ここの場合は・・・まぁ女ってのは殆どが安心、安全な暮らしの中で出産して子育てをしたいという本能のようなものなんだ。そうじゃない者も、ここには沢山いるけどな。そして女ってのは嫉妬深いってのもまた、基本なんだよ」

「どうして?他の人のものを欲しがるのなら、自分で手に入れるか作るかしたらいいんじゃないの?」

「・・・あのねぇ・・・あ、あんた、童貞だろ?」

「ええ?!なんで分かるの?!」

 リサ以外の二人は、首をうな垂れ気まずい顔をした。

「・・・そうか。えっとなぁ、別に欲しいって欲望だけじゃあないんだよ。気に入らない相手を蹴落とす、その対象が不幸にならなきゃ意味がないって考えている人もいるんだよ。・・・もう、解れよ!面倒くさい」

「ええ?!解んないよ。みんながそれぞれに幸せになればいいじゃない?」

「・・・もういいわ、あんた・・・・・・」

「???」

「あ、あの!・・・第2で得た情報ではないのですが、第1に行ったことがあるって人から最近ここで聞いた話ですが、第1の活気って言うんですかね、大分と他のコロニーと比べて大分と『廃れていた』とは言っていました」

 パメラが気を使ったように話を戻した。

「廃れて・・・なにがあったんだろうか」

 リサは思い当たる情報を記憶から必死に引き出そうとする。

「あ・・・それと、なぜが始まったのですか?」

 ライトはまた、自分が聞きたいことを実直に質問し出す。

「・・・その件は私たちも難色を示してまして、問題解決へ最優先事項として取り組んでいた最中なんです」

 パメラはまた、悲しそうに涙ぐむ。

「当初は、男児を生んだ母親たちのグループによる問題定義から始まったのです。男児は8才を期にこのコロニーからは追放される決まりでして、私たち中立派としてはこのルールの検討を幾度となくしてきましたが、答えが出ないまま民たちの不満が溜まる一方でした。チーターやその他あらゆる男性からの被害者さん達、そして捨てられ残された者達からすれば徹底した男性の排除を望む声もあり、そしてその心情の考慮もしなくてはなりません。しかし、子を思う母心も無碍むげにはすることも出来ず、あらゆる矛盾が生じてました。そんな中で・・・例えばですけど、チーターに襲われて生まれた子をどうすればいいか、あなたに分かりますか?」

「・・・い、いいえ、想像もつかない程の苦悩だとしか・・・言えません・・・・・・」

「そうでしょう・・・自分自身は男性への恐怖にてここを離れることも出来ず、かといって子だけをここ以外のコロニーへまるで捨てるかのように追放することも出来ない。正式な伴侶が居れば、その基へと送り届けその後は定期的に会いに行けます。その規制はありません。もしくは、子と共に母親も移住するか。そこも自由なのです。しかし・・・その選択肢すらない者にとっては・・・中には森へと、フォレスターを求めて行った者もいます。しかしその勇気もない者、他フロアから逃げてきたような身寄りもない者、そしてその子をしっかりと我が子として愛することも出来ない者なんかは、どうすることも出来ないのです。私たちは出来るだけそういった不遇な母親と子の為に生活ルートの確保を支援してきましたが、手が回っていなかったのと分子の数が増えてきて受け入れる分母、受容をオーバーしてきました。一番の受け入れ先は第4コロニーでしたが、あらぬ噂が飛び交いました。それが『男色鬼』です。その存在の有無も分かりませんがその名の通り、男性の奴隷化をしているらしい。第2の『好色男爵バロン』の女好きとは真逆の存在です」

「凄い・・・僕は殆ど第6から出て行くことがなかったので、知らない事だらけです。そんなことになっていたのですか」

「はい。そうして最大の受け入れ先である第4へと送り出すことも拒否し、私たちは疎か隣近所にまで隠れて育てだす者が現れたり、そういった煩わしさから全てを放棄し捨てる者すら現れ・・・恐らくですが、そういった母親やそんな状態を見かねた者たちが現在のこの騒動に参加していると思われます」

「でも・・・その後はどうするのでしょうか。もし、ここの規律や制度がなくなったら・・・・・・」

「はい。完全に無法地帯となりチーターの餌食に・・・更に望まれない子が生まれ教育体制もままならずに更なるプローバー、探査非人者を作ることになります」

「なんとか話し合いをしなきゃ!」

「ええ、全力を尽くしていましたが・・・放棄した母親は自分自身の身だしなみや色気を出すことに没頭するのです。第4の男色勢と同じく、自分磨きに専念し他のことには無頓着となり、行き場を無くした欲望が捻じれて同性と愛し合うことになってしまうのです。もう、子供が生まれてどうこうと対処をすること自体に恐怖を覚えてしまい、自由を自身の為だけに主張してしまっている状態で、全体や今後のことなど聞く耳を持てずにいます。過激派と言われています初代元代表家系が率いる『フェミス党』の者達は、厳格にそんな思想は甘えだと徹底した姿勢も見せていて話し合うことすら拒否し続けていまして・・・もう、どうすることも・・・・・・」

「そして、今までは異性だという区別があることで、そしてその男性を恨み毛嫌うことで団結力もありましたが、ここでも女性プローバーが多発し元も子もない状態へ・・・結局、自然の摂理の厳しさと弱肉強食の世界がまるで必然かのように成り立つことを、私たちは学びました。言い訳すらを無くすと、精神的に壊れてしまうほどの弱者にはもう気が狂うしかなかったのかもしれません」
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