『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅷ

Everyone's next step

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 とにもかくにも、レイアは大きな一仕事を終えた。

 パトラの一件・・・レイアはリサにこれ以上の詳細を聞くことはしなかった。

 レイアが抱いていたパトラの印象は、パメラとは正反対で「野心家」「狡猾」「肉食」「コミュ強」など、良くも悪くも個人の意思主張イデオロギーは無く、打算的に生きている。損得勘定で自分の行動や意志を曲げることが安易に出来て、長いものに巻かれるように初代の意思を貫く『フェスミ党』に属していた。

 パメラも同様に個人の強い主張は基本的には無い。ただどらかといえば打算的ではなく感情的に傍の人に同調し感化されてしまう面があり、そんな所は姉妹として似ているとも言える。男尊女卑な第2出身の女性は、生きぬく知恵のようにそのような特性を無意識的に持ってしまう傾向にある。

《そんなパトラが、自分で自決・・・?》
 という疑問は、彼女を少しでも知っている者であれば全員がその違和感と不信味を感じる。

 レイアは凡そ、パトラを殺ったのはリサだと思ってはいるものの、それはそれで女帝としての自尊心が高すぎるとも考えて、双方にとってこれ以上の追及は野暮だと振り切った。ただ、ずっと不思議だったのはなぜそもそもにリサはそんなパトラと懇意な関係になったのか。過去に何かあったのだろうが、その話はまたずっと先の未来、お互いが生き残り状況が安定しバカみたいな酒の席にでも思い出として語り合おうと、愛情や友情、上下関係をも越えた関係と想いを胸に秘めて、レイアは長年の家城を背に外壁扉へとメイン通路を歩き出した。



 リサの心中でも過去との振り切りとケジメ、そしてレイアやみんなの想いを背負って、ここ、第3の長として歩むことを決意したのだった。

 愛情、愛着、恨み、痛み。
 情念、怨念、執念、失念。

 様々な感情が入り乱れ、頭もおかしくなる程の心情ではあるが一人でも幸せになれる未来を見据えて、自分とレイアの信念に集中しその他の感情は昨夜の涙に置いてきた。そうしなければ、そうするしか自分を保てなくなっていた。

 この感情と思考に至るのは、ここのProberプローバー達やここへ逃げ込んでくる者たちもそう乗り越えてきた道だ。自分だけが、ここ第3だけが悲劇なんかじゃない。悲劇のヒロインの様にそう思い、悲観に逃げ込みたくもなる。しかし、自分がそれをしてしまうと多くの犠牲が伴うことになるのが現実だ。中立派が統制を無くし、フェスミ党とリベラル自由同盟との一騎打ち。どちらかが、もしくは両方が全滅するまで、幾度となく戦いが始まり多くの命を失うだろう。そして、自分の大事な人たちが真っ先に殺されてしまう・・・・・・

 甘えたい、逃げたい、閉じこもりずっと泣いていたい。

 誰かを待ち、王子様ヒーローが現れ代わりに全てを解決、もしくは無しにしてくれる。そんな夢物語を描く少女はここには要らない。

 そんなことを教えてくれたレイアが今、リサが降り立つ屋上の眼下で歩きながらその背中で語っている。

 リサにはそんな気がしてならなかった。

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