『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅷ

Thought

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 レイアが第3を立ち去ろうとしてる最中、左手にある第2コロニーからは血気盛んな多くの雄叫びが聞こえてくる。

「ふっ、またか・・・本当に‟お互い様”、だな」

 第2の夜空を見上げながら、不敵な笑みで呟く。

 『好色男爵バロン』の出現が物語るように第2では第3の男バージョンの構成で内乱が同じ頻度で起こっており、レイアは第2をまるで自分達の鏡のように見据えながら、そしてこのような世界の矛盾を感じて争うのがバカバカしく思うようになっていた。
 女帝として君臨した当初はとにかく女性の為として、男が憎く、存在自体が邪悪だと思って・・・いや、思わされていたのだが、第3の長としてどのような仕組みで上手くコロニーの歯車が回るのかをずっと毎日の様に考えてきた。が、必ずと言っていい程にその思想の『矛盾』にたどり着いてしまう。

 女が女をずっと生み続けることが可能であれば問題はない。が、自然の摂理がそうさせてくれる訳もなく、血筋、家系が途絶えどうしても外部因子から調達しなければならない。そこにはまた、様々な陰謀や策略を考える者も少なくはない。そして滅びては一から再建し、そしてまた滅びる。結局はそれぞれが独自の世界を、個人単位であれ組織であれ、一種では生きてはいけずに何某ら頼ることになる。それは多くの優勢生物がオスメスにわざわざ分かれて相互の遺伝子を選りすぐる必要性の如く。なので暗殺者アサシン時代ではフェスミ党並みの厳格思考から、女帝となってまるでそれも自然の摂理の様に『中立派』へと変わっていったのだが、それでもまだ多くの案件の問題が解決することはなかった。

 世界はバランスで成り立っている。

 極端な思考とは、その反動と反発を生みそれが右へ、左へと揺れ動く。その揺れが大きければ大きい程、争いの火が大きく死者の数が無情にも比例する。
 食事のバランスが偏ると、体調も崩し病気にもなりやすく寿命が結果的に縮むのと同じだ。目の前の災害、例えばスズメが人間の稲作にとっての害獣で徹底したその駆除をしたとしても、次はイナゴというが大量発生する。元の木阿弥もくあみどころか、対処が可能だった大きさであるスズメの方がマシだったことのように、自然の摂理に反したところでより複雑な世界での苦しみを作り出してしまう。物事を単純化し0や100、白か黒、敵か味方かと対処をシンプルに二分化すれば、事態をより深刻化するだけだ。男か、女かも拘ってしまうとこれら二元論と変わりはしない。

 それは隣の第2でも同じだろうと、既に過去のことの様に振り返りながらタワーの中央扉と同じ鉄製の厳重な外門を元部下たちに開けさせて、最後に懐かしむように第3振り返り去って行った。
 メインストリート通りを歩む途中、どこから聞いたのか多くのレイアを慕ってくれていた民衆が様々な贈り物や花を渡しに来てくれて、その気持ちの品々が自分が今までやってきたことは決して間違いではなかったと痛感し、目には涙が溜まる。

「さて・・・と」

 多くの荷物をその気持ちと共に足元へ一時的に置き、想定していた通り立ちふさがるフェスミ党、リベラル、どちらかも分からない殺し屋たちとの戦闘を開始する準備として、剣を抜き森へと走り抜けた。

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