『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

文字の大きさ
59 / 149
Phase Ⅷ

Colony Ⅷ

しおりを挟む
「・・・その決定は第1だけの一存ではなさそうだな」

 フォレスターの男の子を抱え長距離移動をし、死闘を繰り広げみんなを引っ張ってきたその疲労にて洞窟に着き次第、直ぐに寝ていたはずのウェルバーがいつの間にか起きていて話に割って入ってきた。

「どうゆうこと?兄さん」

「コロニー全域を閉鎖するなんていう決定は、少なくとも一片側だけの意向で出来るものではない。反対側の第7、そして上層界フロアからも同意が必要なはずだ」

 ライトの目が点になり、その目はパメラに向けられた。

「・・・これも『噂』なのですが、第1のお酒やアルコール類は上層フロアの人たちにも重宝され、犯罪傾向にあった第1をそのまま監獄にすれば早かったのにも関わらず、何故か隣の第8に設定したのは上層民の意向だった。そして当時の第8の代表たちはその条件を呑む取引として上へと登った・・・なんて、そんな話が皮肉のように囁かれてました」

「・・・あり得なくはない話だな。第7の「」の話は聞いたことはあるか?」

「野菜?ニンジンや白菜とかの話ですか?」

「第7の特徴は「農業」で、様々な野菜を栽培していた。その中にアルコールのように高揚感や理性を落とす効果がある特別な「野菜」が作られていた」

「そうなんですね・・・流通や趣向が反対側では全然違うのですね」

「第6は医療が盛んだったからね。僕も先生と様々な麻酔や薬草の類を第7から調達していたよ。兄さんはお酒ってやつを飲んだことがあるの?」

「ああ。レイアとよく飲んでいたよ。第4ぐらいまでは広まっていたな。どちらも過剰摂取が問題であって・・・いや、砂糖や塩でも過剰に取れば命に関わる。それはどれも同じだ。ただ依存性というのが強く、禁断症状がかなりキツイ事から一定の者にしか渡せない、渡してはいけない物としての暗黙の常識、良識みたいな風習があったが・・・・・・」

「・・・ってことは、第1の「お酒」、第7の「野菜」・・・それに挟まれた第8を各々の無法者、犯罪者を収監していった『監獄エリア第8コロニー』の誕生・・・その中ではどんな生活と文化が繰り広げられてきたのか・・・想像すると恐ろしいけど、その扉が今、破られたってことだよね」

 セーラだけが眠る静寂の夜の中、この三人だけがこの世界『コロニア』の全貌を知っていく。

「センター教の中枢の保守派セントラルは、どこまで把握しているのだろう?」

「「・・・・・・」」
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...