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Phase Ⅸ
Colony Ⅱ Wanted
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その夜。
ライトと話し合った甲冑の男が、牢屋前までやってきた。
「将軍には話を通した。現在はお前も見てきたように、ここでも内戦が頻発に起きていてな。簡単には戦地を離れることは出来ない。お前も漢なら分かるな?」
「・・・はい」
「・・・お前、出身コロニーはどこだ?」
ライトはドキッ、と心臓を一気に緊張させた。
第1から逃げ延びてきたただの少年を装っていたものの、マイオス将軍の娘であるパメラとの繋がりやほぼ鎮圧されていた第1の、しかもその外部からの珍客。確かに不自然だと思われても仕方が無い条件は整っている。
「・・・第6コロニーから着ました」
ライトは変な間を開けずに、正直に言うべきだと判断した。手配書がセンター教から出回っていることを承知で、何故かライトの直感は素直になるべきだと考えた。
「・・・ほう。そうか・・・・・・」
甲冑の男は少し考え込む。
そして、一枚の紙をライトの牢屋内へヒラリと落としてきた。
ライトはそれを拾い上げて内容を確認して見ると、覚悟はしていたものの目の当たりにすると驚きと冷や汗が少し滲む。
「詳細は分からぬが、これはお前に似ている気がするな」
そこに描かれていたのは、ライトとウェルバーの似顔絵が書かれた手配書であった。
ライトは黙っていると
「語らぬ、か。よい。俺は・・・俺たちはセンター教とは立場として協力体制ではあるが、思想や崇拝するモノは全く違う。中には、センター教に殉じようとも考えている者もいるかもしれぬが、大半のここの男は自分の中に神を持つ。我らが考える思想が貴様に分かるかどうかも知らぬが、強さとは己との戦いであり、他者、例えタワーや壁といった物だろうが、自然や精霊といった見えぬモノだろうが、我が信念や行動、言動を他者に預け責任を転嫁するようなことは無い。自信で考え、自身で切り開き、乗り越えて行く。ただそれだけのことだ。それを例え不運や失敗を神やタワーの責任にしたとて、何になる?甘え、求め、拝み、称え、何になる?そのような暇があるのなら、この手で掴み取る。その意志と強さこそが崇拝すべきであり、信頼できる唯一のモノではないか?」
ライトは少し、圧倒するようなものを感じた。それは決して威圧的で嫌なものではなく、ライトの中では肉体的な強さだけで測ることではなく精神的な強さを重んじている部分が、少し感銘めいたモノを味わったからだった。
「何故、私がここでこういった話をしているか、お前に分かるか?」
ライトはまだ黙って首を横に振っただけにした。
「お前はたった一人でここに来た。そして、真っすぐに人の目を見て話すことは、存外、出来ることではない。ここでもそういった目をした者は少なかったりする。どこか自信が無かったり、何か後ろめたいことがあるのか・・・そして、今この状態、牢屋の中だというのにも関わらずウソ無く語っている。それが分かったからだ」
男は顎で手配書を差し、ライトは手にしているその手配書を見ながら考える。誘導なのかもしれないが、ライトの直感は確信めいたものへと変わりつつあった。
「・・・僕の大切な友人が、第6でセンター教に暗殺されました。その友人は一度、上層階へと行ったことがある方でずっとセンター教から隠れるように第6で暮らしてたんです。それが自分達の所為でバレてしまい、そして僕たちも・・・恩師であり親代わりであるチェバラ先生も数年前に突然と消えていて、その行方を追っていたんです。何か、上層階とセンター教には裏があるようで・・・第6で何者かに襲われて、逃げるように第3へと向かいました。しかしそこでも内戦があり巻き込まれて、そこでパメラさんとも出会い行動を共にすることとなります。その後はここ第2のCheaterとの件を聞いたので、越えて第1へと入ると・・・後は報告させて頂いた通りです」
「『チェバラ』・・・だと?」
甲冑の男は動揺した表情で、ライトを見つめていた。
「??はい。・・・え、先生のことを何か知っているのですか?!」
男は何も言わずに、答えることも無く直ぐ様にどこかへと去って行った。
ライトは不安と懸念の心境に放置され、考えていても埒があかないと途中で考えるのを止めた。今はチェバラではなく、自分達とパメラの事に集中しなければとその場を戒めた。
ライトと話し合った甲冑の男が、牢屋前までやってきた。
「将軍には話を通した。現在はお前も見てきたように、ここでも内戦が頻発に起きていてな。簡単には戦地を離れることは出来ない。お前も漢なら分かるな?」
「・・・はい」
「・・・お前、出身コロニーはどこだ?」
ライトはドキッ、と心臓を一気に緊張させた。
第1から逃げ延びてきたただの少年を装っていたものの、マイオス将軍の娘であるパメラとの繋がりやほぼ鎮圧されていた第1の、しかもその外部からの珍客。確かに不自然だと思われても仕方が無い条件は整っている。
「・・・第6コロニーから着ました」
ライトは変な間を開けずに、正直に言うべきだと判断した。手配書がセンター教から出回っていることを承知で、何故かライトの直感は素直になるべきだと考えた。
「・・・ほう。そうか・・・・・・」
甲冑の男は少し考え込む。
そして、一枚の紙をライトの牢屋内へヒラリと落としてきた。
ライトはそれを拾い上げて内容を確認して見ると、覚悟はしていたものの目の当たりにすると驚きと冷や汗が少し滲む。
「詳細は分からぬが、これはお前に似ている気がするな」
そこに描かれていたのは、ライトとウェルバーの似顔絵が書かれた手配書であった。
ライトは黙っていると
「語らぬ、か。よい。俺は・・・俺たちはセンター教とは立場として協力体制ではあるが、思想や崇拝するモノは全く違う。中には、センター教に殉じようとも考えている者もいるかもしれぬが、大半のここの男は自分の中に神を持つ。我らが考える思想が貴様に分かるかどうかも知らぬが、強さとは己との戦いであり、他者、例えタワーや壁といった物だろうが、自然や精霊といった見えぬモノだろうが、我が信念や行動、言動を他者に預け責任を転嫁するようなことは無い。自信で考え、自身で切り開き、乗り越えて行く。ただそれだけのことだ。それを例え不運や失敗を神やタワーの責任にしたとて、何になる?甘え、求め、拝み、称え、何になる?そのような暇があるのなら、この手で掴み取る。その意志と強さこそが崇拝すべきであり、信頼できる唯一のモノではないか?」
ライトは少し、圧倒するようなものを感じた。それは決して威圧的で嫌なものではなく、ライトの中では肉体的な強さだけで測ることではなく精神的な強さを重んじている部分が、少し感銘めいたモノを味わったからだった。
「何故、私がここでこういった話をしているか、お前に分かるか?」
ライトはまだ黙って首を横に振っただけにした。
「お前はたった一人でここに来た。そして、真っすぐに人の目を見て話すことは、存外、出来ることではない。ここでもそういった目をした者は少なかったりする。どこか自信が無かったり、何か後ろめたいことがあるのか・・・そして、今この状態、牢屋の中だというのにも関わらずウソ無く語っている。それが分かったからだ」
男は顎で手配書を差し、ライトは手にしているその手配書を見ながら考える。誘導なのかもしれないが、ライトの直感は確信めいたものへと変わりつつあった。
「・・・僕の大切な友人が、第6でセンター教に暗殺されました。その友人は一度、上層階へと行ったことがある方でずっとセンター教から隠れるように第6で暮らしてたんです。それが自分達の所為でバレてしまい、そして僕たちも・・・恩師であり親代わりであるチェバラ先生も数年前に突然と消えていて、その行方を追っていたんです。何か、上層階とセンター教には裏があるようで・・・第6で何者かに襲われて、逃げるように第3へと向かいました。しかしそこでも内戦があり巻き込まれて、そこでパメラさんとも出会い行動を共にすることとなります。その後はここ第2のCheaterとの件を聞いたので、越えて第1へと入ると・・・後は報告させて頂いた通りです」
「『チェバラ』・・・だと?」
甲冑の男は動揺した表情で、ライトを見つめていた。
「??はい。・・・え、先生のことを何か知っているのですか?!」
男は何も言わずに、答えることも無く直ぐ様にどこかへと去って行った。
ライトは不安と懸念の心境に放置され、考えていても埒があかないと途中で考えるのを止めた。今はチェバラではなく、自分達とパメラの事に集中しなければとその場を戒めた。
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