『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

文字の大きさ
85 / 149
Phase Ⅹ

Colony Ⅱ Reconciliation

しおりを挟む
 陽が落ち始め、そろそろ夕方だと思われる頃・・・・・・


「・・・失礼する」

 今度はマイオス将軍の声がしてきたと思いきや、戸は開かれ威風堂々とライトが居る部屋に入って来た。

「少しは休めたかね?」

「あ、はい、お陰様で・・・・・・」

 実際には会議に参加する、という大事となってきたことに少し緊張して気が休まることはなかった。

「それは良かった。しかしすまないね、色々とのに手間取ってな。やっと一人になれたんだ。会議前に君と話しておきたいとも思ってな」

 監獄で会った第一印象とは少し違って、なんだか話しやすそうな印象へと変わった。武器や甲冑を脱ぎ、ラフなスタイルで現れたからかもしれないと、ライトは思う。

「ああ、それはありがとうございます。僕も、聞きたいことは山ほどあります」

「だろうな。・・・さて、君が言った場所に我が娘は居なかった。何かがあって移動したか・・・攫われたか、だ」

「ええ、とにかくそれが僕も心配です。兄のウェルバーが付いていますので、滅多なことにはならないと思いますが・・・・・・」

「あの洞窟は悪魔の森との境界線のすぐ近くだ。更に森の奥へと行くとは思えぬが・・・ただ、残された下足痕は奥へと続いておった」

「なんですって?!兄やみんなも流石に・・・では、攫われたってことですか?!」

「かもしれん。もしくは、何者かに追われて逃げた先が、という事かもしれぬ」

「追われて・・・まさか、第1のプローバーが・・・・・・」

「壁やCSタワー内部の通路は我々が監視しておる。しかし、外は別の話だ。我らが送った足軽も戻って来ん・・・我々は‟やられた”として上層部に報復か上告を検討している」

「!?・・・そんな、野蛮で悠長なことを・・・・・・」

「まぁ待て、言いたいことは分かる。組織を動かすには筋道が必要なんだよ。・・・お主、パメラとの関係からも察するに、第3との繋がりもあるということか?」

「ええ、まぁ僕は少しですが・・・兄が第3の元女帝と婚約中ですので遠くは無いです」

「ほぉ、あのアマゾニスの女帝とか。やるではないか」

「兄も弱い男ではありません。なので、そこまで心配はしていませんが・・・・・・」

「・・・お主、第3での、ここ第2の話はどういった事を聞いておる?」

「え?・・・ええっと、第3とは逆で厳格な男社会で、それに反抗するかのようにチーターが生まれてパメラさんは狙われて第3に逃げることに。好色男爵バロンって人が女性を好き勝手にするような裏社会をつくる程にまでなり、それを兄が討伐・・・あ、いや、その・・・・・・」

「!!ほほう!お主の兄が、‟バロン”を殺ってくれたのか?!ガハハハハハ!そりゃあいい!ガハハハハ!!」

 ライトは思わず余計な事を言ったかと思ったが、マイオスの反応は意外にも好感触だった様子である。

「・・・あ、もしかしてあのバロンって人、ここの反逆側の??」

「ああ、そうだ。あいつはセンター教の偉いさんの親族でな。わしらも手を焼いておったのじゃ。ここの女はみんな従順でな。それをいいことにあの下衆はどこからかこの第2までわざわざやってきて、放蕩の限りを尽くしておった。わしらは散々、上へ奴の悪行を申告するも親族の圧力しか掛からんかった。やれ反省文だの罰金だの、軽い刑だけで全く何にもならん。みんな‟森流しの刑”にするべきだと言ってたんじゃが、センター教上部のバックアップがありながらと、そして反逆者どもとは意思意向、その思考が意気投合し共通している分、裏で繋がっていて奴の言う事であれば反乱軍も聴き耳を立てるという、誠に厄介な奴だったんじゃ。上も一部の人間も、奴が仲介者としての役割を持たせおって変に権力を持つことで誰も手が出せずにいたんだ。それを・・・お主の兄には、感謝しなきゃだのう」

「そうだったんですか。兄もみなさんにとっては本当に良い事をしたんですね」

「そうだ。・・・そうじゃの、ではパメラのチーターの正体を教えてやろう」

「え?は、はい、お願いします」

「そのバロンってクソ野郎の息子じゃ」

「?!そうだったんですか!・・・あ、だから、マイオスさんは個人的にもバロン一家に恨みが・・・そして、将軍という肩書がありながらも手が出せず、パメラさんを第3へと送ることになったんですね?!」

「その通り。これも表向きはこのクソガキも『恋愛』だ『求婚』だの、綺麗事をぬかしておってな。周囲からも政略結婚や地位も安泰するだの言われたが、バロンの裏の顔を知っている者であればそんな綺麗事も政略だのと言ってはおられん。しかし、その表向きを使われては無下に拒否すればわしらもここでの暮らしが危うい。なので第3での花嫁修行、人生勉強だとして送り込んだ。まだその時は幼かったというのに・・・・・・」

「・・・え、おいくつの時ですか?」

「確か・・・十才前後じゃったかの。そんなまだ幼子を下衆親子は狙いを付けおった。その意味が、分かるだろ?」

「なるほど・・・あ、因みにそのバロンの息子を暗殺したのも、兄のウェルバーです」

「!!なんと!?」

「兄は第3の元女帝、レイアさんと前から親密な関係でしたから、その側近の者たちとも仲が良くパメラさんからチーターの悩みを聞いて、速攻で暗殺してくれたとパメラさんから聞きました」

「・・・ガッ、ハッハッハッハッハッハー!なんじゃ、ではお主の兄はわしらの救世主じゃな!!ハハハハハハ!!」

 豪快に笑うマイオスにライトは少し引いていたが、しかしただ単純に目の前でこんなに身内ことで喜んでもらえるのは気持ちが良かった。思わずライトも顔に笑顔が溢れてくる。

「あ、だからあの好色下衆野郎は、第3への遠征にやけに拘っていたのじゃな?一応に下衆には下衆の、家族愛っつぅのはあったのか。・・・気に入った!こんな所ではなんだ、わしの部屋に来い!お主はわしらの救世主の弟。同じようなもんじゃ!!ガハハハハー!!」

しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...