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Phase Ⅺ
Tipsiness
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周囲が静寂へと移り変わる、丑の刻前。
ライトとサルヒコはCSタワー内部の一階、ストック広場へとやって来ていた。
先ほどまでここの一画であのライトには無謀としか思えない会議が開かれていた場所の、その奥に幾つか樽が置かれていた。
「・・・おい、手伝え」
サルヒコは中が空であろう一つの樽を倒し、転がす様に運んでいく。ライトもその横で押すのを手伝う。重くて手が必要なのではなく転がす方向のバランスとして手伝う必要があった。
閉ざされた上階へと上がる階段の下で、サルヒコは重々しい錠前の鍵と鎖を外し階段の鉄格子を開く。
ライトはなんだかその階段の闇が、地獄への入口のように見えていた。
「この階段の中腹、踊り場にこれらの品々が置かれている。下の扉の鍵は我々が持ち、上の扉は上層階の民が持っていて毎朝大量の物資が踊り場に置かれている。その際に、下から上への品々も献納する訳だ」
「・・・何のために、献納するんですか?」
「・・・私は知らん」
それ以上は詮索しなかった。恐らくとして察しは付いているからだった。
過去の『フロア抗争』では人との繋がりにおいて贔屓が生じ、天からの物資の選定がされたり上下の異動をも良しとしたことによる「摩擦」。
各コロニーで禁止とされてはいるものの、こういった無言で直接的に「関わらない奉献」が、きっと先ほどの豪華で見た事も無いような食事や武器、便利な物資を手にいれる暗黙の方法となっているのだろう、と。
「第1が壊滅化したことで、これ以上の『お酒』は手に入らないんですよね」
「ああ。だからこそ価値が上がり、今、恐らく上は喉から手が出る程に欲しがっているだろう」
「・・・確かに」
「さぁ、階段の上から、これを引き上げて。私は下から持ち上げていくから」
「はい、足元、気を付けて」
空であるとはいえ、不安定で持ち手も無い樽は無駄に重く感じた。
階段の中腹地点、踊り場には既にいくつかの樽が置かれている。
「さぁ、入って」
サルヒコはいつの間にか、器用に開けた樽の蓋を持ってライトが入るのを待っていた。
丁度、人が一人ほど入れる大きさの樽は、アルコールの臭いと楢の木で出来た木材からの木香が混ざった臭いで、ライトの脳内はそれだけで朦朧としそうになる。
「側面に二か所、穴を開けてある。これが見えるか?」
サルヒコは踊り場に一つだけ灯っている篝火から松明を一つ取り、ライトが入った樽の周辺を左右に明かりを灯す。
「ああ、これですね。はい、確かに見えます」
「上へと酒たちと共に上がった後は、そこから外の様子を見ながら抜け出し、後は自分の判断でしっかりとやってくれ」
「了解」
「じゃ、締めるぞ」
ゴン、コンコンコンコン・・・バン、バン!
しっかりと閉められた樽の中は、小柄なライトでも少し窮屈で息が詰まりそうになる。しかし、酒気でライトはどんどんと睡魔に襲われて来ていた。
外部でサルヒコがまだ何かを言っている声が聞こえるが、もうライトには殆ど聞こえずに、夜も遅いために間もなくして眠りに付いてしまった。
ライトとサルヒコはCSタワー内部の一階、ストック広場へとやって来ていた。
先ほどまでここの一画であのライトには無謀としか思えない会議が開かれていた場所の、その奥に幾つか樽が置かれていた。
「・・・おい、手伝え」
サルヒコは中が空であろう一つの樽を倒し、転がす様に運んでいく。ライトもその横で押すのを手伝う。重くて手が必要なのではなく転がす方向のバランスとして手伝う必要があった。
閉ざされた上階へと上がる階段の下で、サルヒコは重々しい錠前の鍵と鎖を外し階段の鉄格子を開く。
ライトはなんだかその階段の闇が、地獄への入口のように見えていた。
「この階段の中腹、踊り場にこれらの品々が置かれている。下の扉の鍵は我々が持ち、上の扉は上層階の民が持っていて毎朝大量の物資が踊り場に置かれている。その際に、下から上への品々も献納する訳だ」
「・・・何のために、献納するんですか?」
「・・・私は知らん」
それ以上は詮索しなかった。恐らくとして察しは付いているからだった。
過去の『フロア抗争』では人との繋がりにおいて贔屓が生じ、天からの物資の選定がされたり上下の異動をも良しとしたことによる「摩擦」。
各コロニーで禁止とされてはいるものの、こういった無言で直接的に「関わらない奉献」が、きっと先ほどの豪華で見た事も無いような食事や武器、便利な物資を手にいれる暗黙の方法となっているのだろう、と。
「第1が壊滅化したことで、これ以上の『お酒』は手に入らないんですよね」
「ああ。だからこそ価値が上がり、今、恐らく上は喉から手が出る程に欲しがっているだろう」
「・・・確かに」
「さぁ、階段の上から、これを引き上げて。私は下から持ち上げていくから」
「はい、足元、気を付けて」
空であるとはいえ、不安定で持ち手も無い樽は無駄に重く感じた。
階段の中腹地点、踊り場には既にいくつかの樽が置かれている。
「さぁ、入って」
サルヒコはいつの間にか、器用に開けた樽の蓋を持ってライトが入るのを待っていた。
丁度、人が一人ほど入れる大きさの樽は、アルコールの臭いと楢の木で出来た木材からの木香が混ざった臭いで、ライトの脳内はそれだけで朦朧としそうになる。
「側面に二か所、穴を開けてある。これが見えるか?」
サルヒコは踊り場に一つだけ灯っている篝火から松明を一つ取り、ライトが入った樽の周辺を左右に明かりを灯す。
「ああ、これですね。はい、確かに見えます」
「上へと酒たちと共に上がった後は、そこから外の様子を見ながら抜け出し、後は自分の判断でしっかりとやってくれ」
「了解」
「じゃ、締めるぞ」
ゴン、コンコンコンコン・・・バン、バン!
しっかりと閉められた樽の中は、小柄なライトでも少し窮屈で息が詰まりそうになる。しかし、酒気でライトはどんどんと睡魔に襲われて来ていた。
外部でサルヒコがまだ何かを言っている声が聞こえるが、もうライトには殆ど聞こえずに、夜も遅いために間もなくして眠りに付いてしまった。
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