『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase Ⅺ

Sky burial

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 上は下とは雰囲気がまるで違う。

 先ずは身に着けている衣服だが、下のように多様性はなく殆どが真っ白い細やかな生地で身を覆っている。
 下の民の基本は干した麻や藁で編んだ物が多く、動物の毛皮などは長老や有識者が身に着けていた。ライトが会議で出会ったセンター教の上層部らしき者は似た生地質で身を包んでいたが、ここまでの清潔感は無かった。

 ライトが上層階の内部に入り、すれ違った者の殆どが顔までその白装束で隠していて、潜伏するには丁度良かった。

 そして気になるのが、その体格である。

 上で作業をしていた者は、確かに少しふくよかではあったがその範囲は下層階でも良く見る姿だった。が、内部の人の約八割はみんなかなり太っていて、狭い迷路のような通路では一人しか歩けない程の幅だ。
 この大きな白装束の生地では、その体格などを隠したり皮膚の摩擦の軽減、そして大きな体格変化で服装を変えなくてもいいような、そんな効率的な装いを感じる。

 もう一つ気になったのが、稀にと言っても二割ほど見られる「奇行」。
 歩き方は普通では無く、怪我か何かをしているように蛇足や千鳥足の者が少なくない程度に見られた。高齢者なのかどうかは分からないが、そういった部分も隠す様に装束を纏っている。


 ライトはここの、どこをどう探せばいいのか。


 うろうろと迷路の中を露頭していると、いよいよ現在地が分からなくなってきた。

 すると、松明などではなく蝋燭が大量に焚かれている、異様な部屋を目撃する。
 他の部屋の多くは扉がしっかりと閉められているのだが、ここは誰でも自由に出入りが出来るようになっているようで出入口に扉そのものが無い。
 中を見ると、既に何人かが跪き多くの蝋燭に対して拝んでいた。

《ここは・・・慰霊部屋、とでもいう場所なのか》

 蝋燭の下には骨壺のような箱がいくつか積まれていて、その上に一本の太い蝋燭がその火をこの世の名残のように煌々としている。

 上層階で土葬は当然、不可能なため火葬も危険として行われてはいない。唯一として人が亡くなった場合には『鳥葬』を執り行っている。屋上広間の外壁の木々に覆われている内側には棺のような空間を作っていて、そこに遺体を放置しておく。そうするとこの周囲に住まう猛禽類の鳥がやってきて、後には骨しか残さない。

 積まれた箱には、その一族、家族の骨が上へと積み上げられていて、広いようで狭い上層階の世界としてはこの共同墓地形式が主流となっている。

 『The Big H Gateゲート教』が空を飛び交う鳥たちに憧れと信仰を抱くのも、天から降りて来て物資を運び与えてくれる大天使と、その使者かのような鳥類が信仰の象徴であり『鳥葬』も我が身を天にという意味を持っていた。

 図らずともライトの空への憧れは、必然かのようにその意図が当て嵌まっていたのであった。


 ライトはなんとなく、一礼をしてその場を去る。
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