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Phase XIII
Central floor
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ライトはあれから何も無い通路を右往左往するが、何も得るものは無かった。
少し道に迷いながらもなんとかサルヒコが軟禁されている部屋へと戻り、サルヒコには呆れられたが二人で力を合わせてライトは扉を押し、サルヒコは引き、ミシミシミシ・・・とゆっくり音を立てながら木材で出来た扉の鍵を無理やり破壊した。蹴り壊したり、タックルをするほどの大きな音は流石に警戒をしたのである。
サルヒコだけが剥き身では目立つと思い、ライトが覆っている布の中にサルヒコを入れて、二人羽織状態で移動することになった。
「・・・イテッ」
「ごめん・・・・・・」
「もう少しゆっくり歩いてくれ」
男同士で密着していて、お互いに気持ち悪い状況だったが我慢するしかない。
体格は二人分になりここでは程よい太さにはなったが、ぎこちない歩きは否めなかった。がしかし、稀に「奇行」する者としてそれも不自然では無かった。
体感的にだが、丸一日ここを探し回るがチェバラは見当たらない。通路内部には殆ど窓のようなものは無く、昼夜などの時間間隔がおかしくなる。
そしてまともに歩けない二人は無駄に疲労困ぱいする。
最終的に二人は上層階の屋上へと向かった。表層界、下層階の者とすれば外の空気を吸いたくなるほどに、内部は空気が淀んでいる気がしてた。
外である屋上へ出てみると、そこはもう夜になっていてそして人は誰も居ない。
大小の鳥が夜目に怯え、この階層の木々に沢山止まっているようだ。時折、羽音や草木の騒めき音や異質な鳴き声があまりにも恐怖だったが、二人は休憩をしようとこの暗闇の中に潜んだ。
「あ・・・ああぁぁぁぁ!」
サルヒコは羽織から出ては倒れ込み、丸めていた背骨や頸椎、背筋を目一杯伸ばす。ライトも座り込み、ふぅ、と一息つく。
CSタワー側には松明が数個、そして謎の‟発光体”が階段周辺を照らし続けている。
ライトたちが今居る外周側に、明かりは一切無い。
「どうするよ」
「あぁあぁぁ・・・知らん」
サルヒコはまだ何かを考える程には至っていなかった。
ライトは立ち上がり、目を凝らしながら屋上を少し見回る。
すると、遠くの方で小さな灯りが幾つも見えた。よく見てみるとそれは小さな小さな蝋燭の火の灯りが約五つか六つほど、別の上層階内部への出入り口から上がって外壁へと向かっていた。
「・・・ちょっと、サルヒコはここでもうちょっと休んでて」
ライトは一言伝えに戻っては白布を纏い、蝋燭の火の元へと好奇心で向かった。
バレることは無い、と、慣れからの余裕もあったがどうしてもライトはここの習慣、風習、特に冠婚葬祭や儀式的な文化に纏わることが知りたかった。どんな教えがあり、どんな歴史があるのか、『The Big H Gate』の真髄に無性に触れたかったのだ。
ライトは複数で何かを抱える人物が四人、そして蝋燭を持って扇動しているように見える者が五人、何も持っていない人が二人、その参列の最後尾にこっそりと付いて状況を可能な限り、最前列で見守る。
薄明りではっきりとは見えなかったが、どうやら白い布に全身をまるでミイラのように包まれている人が四人に抱えられ、屋上の壁際で降ろされた。
二人が壁に梯子をかけて、中腹辺りの石壁を開くとそこから棺が現れる。
どうやらライトは上層階の『鳥葬』に運よく居合わせたようだった。
斜めに出されるその棺は遺体を収納し戻しやすく設計されていて、四人はミイラ状態のまま棺へと亡くなった方を寝かせていく。
それぞれが分かれの挨拶のような振る舞いをしていく間、ライトは後ろから一人の女性に声をかけられた。
「・・・『下層民』と恋をして、駆落ちとかするからだよ」
「・・・・・・」
ライトは何と答えれば良いかも分からずに沈黙する。
「あんた、誰の子だい?妹のとこのかね。あんたはダメよ、婚約者は選ばなきゃね」
「・・・はい」
葬儀は簡単にこれで終わったようで、みんな散りじりに退散していく。ライトの印象的には密やかに、まるで死刑囚の葬儀のように感じた。
ライトはなんとなく、声をかけてきた女性の後を付けて行った。
少し道に迷いながらもなんとかサルヒコが軟禁されている部屋へと戻り、サルヒコには呆れられたが二人で力を合わせてライトは扉を押し、サルヒコは引き、ミシミシミシ・・・とゆっくり音を立てながら木材で出来た扉の鍵を無理やり破壊した。蹴り壊したり、タックルをするほどの大きな音は流石に警戒をしたのである。
サルヒコだけが剥き身では目立つと思い、ライトが覆っている布の中にサルヒコを入れて、二人羽織状態で移動することになった。
「・・・イテッ」
「ごめん・・・・・・」
「もう少しゆっくり歩いてくれ」
男同士で密着していて、お互いに気持ち悪い状況だったが我慢するしかない。
体格は二人分になりここでは程よい太さにはなったが、ぎこちない歩きは否めなかった。がしかし、稀に「奇行」する者としてそれも不自然では無かった。
体感的にだが、丸一日ここを探し回るがチェバラは見当たらない。通路内部には殆ど窓のようなものは無く、昼夜などの時間間隔がおかしくなる。
そしてまともに歩けない二人は無駄に疲労困ぱいする。
最終的に二人は上層階の屋上へと向かった。表層界、下層階の者とすれば外の空気を吸いたくなるほどに、内部は空気が淀んでいる気がしてた。
外である屋上へ出てみると、そこはもう夜になっていてそして人は誰も居ない。
大小の鳥が夜目に怯え、この階層の木々に沢山止まっているようだ。時折、羽音や草木の騒めき音や異質な鳴き声があまりにも恐怖だったが、二人は休憩をしようとこの暗闇の中に潜んだ。
「あ・・・ああぁぁぁぁ!」
サルヒコは羽織から出ては倒れ込み、丸めていた背骨や頸椎、背筋を目一杯伸ばす。ライトも座り込み、ふぅ、と一息つく。
CSタワー側には松明が数個、そして謎の‟発光体”が階段周辺を照らし続けている。
ライトたちが今居る外周側に、明かりは一切無い。
「どうするよ」
「あぁあぁぁ・・・知らん」
サルヒコはまだ何かを考える程には至っていなかった。
ライトは立ち上がり、目を凝らしながら屋上を少し見回る。
すると、遠くの方で小さな灯りが幾つも見えた。よく見てみるとそれは小さな小さな蝋燭の火の灯りが約五つか六つほど、別の上層階内部への出入り口から上がって外壁へと向かっていた。
「・・・ちょっと、サルヒコはここでもうちょっと休んでて」
ライトは一言伝えに戻っては白布を纏い、蝋燭の火の元へと好奇心で向かった。
バレることは無い、と、慣れからの余裕もあったがどうしてもライトはここの習慣、風習、特に冠婚葬祭や儀式的な文化に纏わることが知りたかった。どんな教えがあり、どんな歴史があるのか、『The Big H Gate』の真髄に無性に触れたかったのだ。
ライトは複数で何かを抱える人物が四人、そして蝋燭を持って扇動しているように見える者が五人、何も持っていない人が二人、その参列の最後尾にこっそりと付いて状況を可能な限り、最前列で見守る。
薄明りではっきりとは見えなかったが、どうやら白い布に全身をまるでミイラのように包まれている人が四人に抱えられ、屋上の壁際で降ろされた。
二人が壁に梯子をかけて、中腹辺りの石壁を開くとそこから棺が現れる。
どうやらライトは上層階の『鳥葬』に運よく居合わせたようだった。
斜めに出されるその棺は遺体を収納し戻しやすく設計されていて、四人はミイラ状態のまま棺へと亡くなった方を寝かせていく。
それぞれが分かれの挨拶のような振る舞いをしていく間、ライトは後ろから一人の女性に声をかけられた。
「・・・『下層民』と恋をして、駆落ちとかするからだよ」
「・・・・・・」
ライトは何と答えれば良いかも分からずに沈黙する。
「あんた、誰の子だい?妹のとこのかね。あんたはダメよ、婚約者は選ばなきゃね」
「・・・はい」
葬儀は簡単にこれで終わったようで、みんな散りじりに退散していく。ライトの印象的には密やかに、まるで死刑囚の葬儀のように感じた。
ライトはなんとなく、声をかけてきた女性の後を付けて行った。
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