『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase XIII

Lie down with

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 勝手に少しだけだが、サルヒコの傍から消えた負い目を感じながらライトはサルヒコが居た場所まで戻る。
 が、そこにサルヒコの姿は無かった。

「・・・あれ?」

 一瞬、元の場所を間違ったのかと周辺をうろうろするが、例の葬儀の場所には参列者各自が持っていた蝋燭が床や専用のようにくり抜かれた壁の燭台に置かれ、そのまま灯され続けている為にそこからの逆算で間違いないとは思っていたのだが、この屋上に人っ子一人いなかった。

「サルヒコー」

 小さな声で呼んでみると、背後の石壁が開く音がした。

 ガコンッ・・・ギッ・・・ギギギギギギギギギィ・・・・・・


 重そうな石の扉が開き、葬儀の時に聞いた棺のようなものが壁からせり出される。その繋ぎの木材が軋む音が鳴りライトは心霊的な恐怖を感じた。なぜなら、そこは遺体安置、兼、鳥葬するための棺であるからだ。

 棺の中から白い腕が二本、ニョキッ!と飛び出て、棺の中の者は自らが入っている箱ごと押し出すように壁を押す。
 ライトは手足が震えながらもゆっくりと傍の開かれた上層階の中へと降りる階段の方へと向かおうとしたその時、棺の中からサルヒコが出てきた。

「・・・おい!マジでビビったし!!」

「・・・はぁ?全然戻ってこないから危なかったんだぞ!誰かが来る気配がして、隠れる所探してたらここしか無かったんだ!!お前こそ、一体どこ行ってたんだ?!」

 二人ともが小声で、怒りの感情を出すように吐く息が多めに囁く。

「ここの情報を貰いに行ってたんだよ!・・・もし、チェバラ先生たちがここでサルヒコの様に捕まっていたとすれば、中の中央側に幽閉室があるらしい。明日、そこら辺を探しに行こう」

 二人はもう少し言い合いをした後、結局ゆっくりと寝れる場所は無いということで二人仲良く、また棺の中へと入り込んでいった。なぜなら他の棺には遺体、もしくは遺骨か干からびたミイラが入っていたからである。



 その夜。


 ライトはふと、目が覚めた。その理由はサルヒコのイビキがうるさかったから。
 しかしそれも仕方が無いことで、日中サルヒコはずっと中腰で移動していてその疲れが出ているのだろう。それをとやかく言うのは野暮であり、ライトはゆっくり寝かせておこうという心境になった。

 二人分の自重をスライド式の棺内部から動かすのは一苦労だったが、なんとか自分達の箱を開けて外へと降り出た。また軋み音が鳴るがライトが起きて出るその間も、サルヒコは見事に起きなかった。よほど疲れていたのだろう。


 外は薄っすらと明るむ明朝、日の出前。周囲をなんとか視認できる程度には明るくなっていた。

 夜の不気味さを物語っていた鳥たちはもうどこにも見当たらず、どこかに巣があるだろう雛鳥の泣き声はあちこちから聞こえてくる。
 鳥たちは朝が早いんだなとしみじみ感じながら、空と更にタワーの上を同時に見上げた。

《この上には、何があるのだろうか》

 ライトのゲート教への憧れはその謎の解明、真相に他ならず、頻繁に舞い降りる『大天使』の姿と接触が最終目標である。その姿を少しでも近くで見たいという欲求が今、睡魔を吹き飛ばした。

 すると、目端になにかが入り込んだ。

 見上げていたタワーの下、ライトがここへとやって来れたCSタワー内部の階段。その入口に誰かの人影を見た気がした。誰かがライトを見張っていたように、ライトの視線がそちらへと向いた瞬間その人影が焦る様に奥へと消えたかのように見えた。

 ライトはその姿を見た瞬間に、その人はチェバラではないかと直感的にそう思った。少なくとも、ここ上層民のように如実に太ってはいなかったのもある。
 白装束、マントで全身は覆ってはいたものの、上下の輸入出の運搬作業員かもしれないという可能性もありながら、理由は無くそう思った。

 直ぐに追いかけて確認しようと駆け出し、階段部分へとやってくるが上階、下階への踊り場などを見てもまるで消えたように人っ子一人、居なかった。
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