『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase XIII

a coping saw

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 辺りを散策するも、各個人の部屋らしき扉はどれも固く閉ざされている。しかし、いくつかの空き部屋のような場所もあり、侵入しようかどうかを迷っていた。

「・・・よし、お前、見張っておけよ」

「え・・・マジで?」

 サルヒコがライトにそう言うと、もう既にゆっくりとドアを開けていた。

 ギ・・・ギギギギギギ・・・・・・

 足音や物音はそんなに気にしていなかったのに、どうしてか木製のドアの軋み音は何よりもうるさく聞こえてしまう。ライトの顔は思わず、険しく眉を寄せる。

「・・・誰もいないみたいだ。調べよう」

 サルヒコは足音を消しながら入っていった。

 ライトは心臓の鼓動が自分に聞こえるかのように緊張し、通路の左右、そして室内へとずっと聞き耳を立てながら様子を伺っていた。



 体感的には数十分と待った気がしているライトはそわそわし出してサルヒコの安否を心配し出す頃、木の扉が普通に、キィッ!と、高音と共に開かれた。ライトは驚きと共に勢いよく振り向き、その正体を確認すると見知った顔だったので内心、ホッと安堵した。

「どうだった?」

 サルヒコはその返答の変わりに、手にしているノコギリをライトに見せた。

「ああ!いいね!!」

 しかしサルヒコのテンションは低く、顔も青ざめている。

「?どうしたの??」

「・・・いや、なんでもない・・・・・・」

「なんでもなくないでしょ、それ」

「おえっ・・・だったら、自分で見てこい」

 そう言ってサルヒコはライトが纏っている白布を奪い、座り込んでしまった。

 ライトは疑問に思いつつ、丁度また便意を‟もよう”してきたのでついでにトイレでも拝借しようと、中へ入っていく。

 途端に、異臭が鼻を刺してきた。

 用を足せそうな場所を一応に探しに奥へと進むと、寝室のような部屋が見えて来る。そこに横たわる物体を確認すると、ライトの便意は何処かへと瞬時に消えた。

 人間のような形をした、人間ではないの死体がそこのベッドの上で転がっている。一瞬、ライトはそれが人間だとは思えない程に異形な姿で、顔だと思われる頭部はとても苦悶な表情をしていて、少し腐り確実に死んでいると思われる状態だが、とても痛々しさが伝わってきてしまう。サルヒコもこれを見て、あんな態度と嗚咽に青ざめていたことに合点がいった。
 両手足の関節が、もはやどっちの方向に曲がっているのかも分からない。しかし身体の外傷は見られないのでこのような‟形にされた”とは考にくく、逆に股間部分の腐食が激しく男女の区別すらつかなかった。
 内臓の損傷から死に至っている可能性が高く、それは病気によるものなのか他殺としての外傷からなのかは分からない。ただ他殺とすれば、下半身だけを攻撃して死に至らしめる理由はライトには思い浮かばない。私怨からの拷問か、もしくは・・・・・・

 そこまで考えてから、ライトは逃げるようにその場を出て行く。

 見てしまった映像と臭いが完全に合わさり、外部への扉の手前で胃の中の者を吐き出してしまった。
 ずっと我慢してきたサルヒコも、ライトのそれを‟もらい”二人して扉の左右に胃の内容物を吐き出した。

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