128 / 149
Phase XV
Mecca
しおりを挟む
上層階屋上へ出た後は鍵の掛かった内部への床扉を開き、三人は中へと入って行った。
すると、異臭が立ち籠る内部で慣れていないライトとサルヒコの二人は同時に嗚咽が漏れる。
「・・・この中は本当に誰も居ないから、もう出てきても大丈夫よ」
二人は数秒の沈黙の後、サルヒコがマントの中から解放された。
「臭ぇ!おぇぇ・・・ってか、あんたは何者なんだい?」
サルヒコが解放感と鼻に突く異臭感との喧噪を破りたいかのように言い放つ。
ライトは目に涙を貯めながら、鼻を摘まんで口呼吸をしている。
「・・・あなた、ウェルバー?」
「!?」
またもやここでは意外な名前を発する女性に、ライトは困惑した。サルヒコは突然に知らない名を突き付けられ、混乱をする。
質問の返答に戸惑いを見せていると、二人に対峙している女性もアルムカンナとマントを取った。
現れたのはここ上層階では瘦せ型と言える、小太りな女の人が正体を明かしだす。
「私は・・・まぁチェバラ、さんの身内と言っておきましょうか。とにかく頼まれてたのよ。我が子のように育てた者がきっとここに来る。二人で。名はライトとウェルバー。それらしき人物が来たら案内するように、とね」
二人は困惑と混乱をしたまま顔を見合わせては、固唾を飲むことしか出来ずにいた。
このチェバラの身内と申告している女性の見た目は若く、ライト達と同じぐらいか少し上のような雰囲気をしている。ウェルバーと同じ年ぐらいだと踏んだライトは少しだけだが警戒心を解くように、回答をせずに逆質問を切り出した。
「どうして僕だと分かったのですか?」
僕らとは言わず、そして隣にいるのがウェルバーではないことにも答えずに聞くことにした。
「・・・警備の人たちが若干、ざわついていたので聞いたの。警備隊員の中に一人だけちょっとした知り合いが居てね。年頃の子が来たら教えてと伝えていたから。と言っても、フラっとここへ来る人は大概が陰謀めいた中年前後の大人か気狂った者が大半だから、若い健全な子が来るなんてのはあなた達のような者だけだろうね」
双方、お互いに腹の探り合いをしているかのように確信めいた部分は避けた会話を繰り広げている。
「・・・警備がざわついた、ねぇ。警戒態勢が強化されている割には人員の増員や通路に貼って行き交う人たちを取り調べている様子などは無いように思えたが、その言葉の信ぴょう性に違和感を感じるな」
「ここの人はみんな大人しい、と言えば良く聞こえるけれど、まぁ要するに‟他人事”だからねぇ。みんな無関心なのよ。他人と関わった方が不幸を招くことを、身をもって痛感してんでしょうね。この場所がそれを物語っているわ」
「あ、そうだ、ここは何なの?めちゃ臭い場所だね。まるでkれは・・・死臭?」
「そう、ここは『死の象徴』の部屋に通じているエリアなの」
「象徴?」
「昔・・・といっても数十年前だけど、ここで多くの信者が広間で『圧死』していった部屋がある、そんな戒めのような場所なの。今では聖地扱いをする人もいてるけど、それは実際の惨劇を後世へ隠すためでもありそうね」
「「聖地・・・・・・」」
すると、異臭が立ち籠る内部で慣れていないライトとサルヒコの二人は同時に嗚咽が漏れる。
「・・・この中は本当に誰も居ないから、もう出てきても大丈夫よ」
二人は数秒の沈黙の後、サルヒコがマントの中から解放された。
「臭ぇ!おぇぇ・・・ってか、あんたは何者なんだい?」
サルヒコが解放感と鼻に突く異臭感との喧噪を破りたいかのように言い放つ。
ライトは目に涙を貯めながら、鼻を摘まんで口呼吸をしている。
「・・・あなた、ウェルバー?」
「!?」
またもやここでは意外な名前を発する女性に、ライトは困惑した。サルヒコは突然に知らない名を突き付けられ、混乱をする。
質問の返答に戸惑いを見せていると、二人に対峙している女性もアルムカンナとマントを取った。
現れたのはここ上層階では瘦せ型と言える、小太りな女の人が正体を明かしだす。
「私は・・・まぁチェバラ、さんの身内と言っておきましょうか。とにかく頼まれてたのよ。我が子のように育てた者がきっとここに来る。二人で。名はライトとウェルバー。それらしき人物が来たら案内するように、とね」
二人は困惑と混乱をしたまま顔を見合わせては、固唾を飲むことしか出来ずにいた。
このチェバラの身内と申告している女性の見た目は若く、ライト達と同じぐらいか少し上のような雰囲気をしている。ウェルバーと同じ年ぐらいだと踏んだライトは少しだけだが警戒心を解くように、回答をせずに逆質問を切り出した。
「どうして僕だと分かったのですか?」
僕らとは言わず、そして隣にいるのがウェルバーではないことにも答えずに聞くことにした。
「・・・警備の人たちが若干、ざわついていたので聞いたの。警備隊員の中に一人だけちょっとした知り合いが居てね。年頃の子が来たら教えてと伝えていたから。と言っても、フラっとここへ来る人は大概が陰謀めいた中年前後の大人か気狂った者が大半だから、若い健全な子が来るなんてのはあなた達のような者だけだろうね」
双方、お互いに腹の探り合いをしているかのように確信めいた部分は避けた会話を繰り広げている。
「・・・警備がざわついた、ねぇ。警戒態勢が強化されている割には人員の増員や通路に貼って行き交う人たちを取り調べている様子などは無いように思えたが、その言葉の信ぴょう性に違和感を感じるな」
「ここの人はみんな大人しい、と言えば良く聞こえるけれど、まぁ要するに‟他人事”だからねぇ。みんな無関心なのよ。他人と関わった方が不幸を招くことを、身をもって痛感してんでしょうね。この場所がそれを物語っているわ」
「あ、そうだ、ここは何なの?めちゃ臭い場所だね。まるでkれは・・・死臭?」
「そう、ここは『死の象徴』の部屋に通じているエリアなの」
「象徴?」
「昔・・・といっても数十年前だけど、ここで多くの信者が広間で『圧死』していった部屋がある、そんな戒めのような場所なの。今では聖地扱いをする人もいてるけど、それは実際の惨劇を後世へ隠すためでもありそうね」
「「聖地・・・・・・」」
2
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる