『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase XV

Mecca

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 上層階屋上へ出た後は鍵の掛かった内部への床扉を開き、三人は中へと入って行った。
 すると、異臭が立ち籠る内部で慣れていないライトとサルヒコの二人は同時に嗚咽が漏れる。

「・・・この中は本当に誰も居ないから、もう出てきても大丈夫よ」

 二人は数秒の沈黙の後、サルヒコがマントの中から解放された。

「臭ぇ!おぇぇ・・・ってか、あんたは何者なんだい?」
 サルヒコが解放感と鼻に突く異臭感との喧噪を破りたいかのように言い放つ。
 ライトは目に涙を貯めながら、鼻を摘まんで口呼吸をしている。

「・・・あなた、ウェルバー?」
「!?」

 またもやここでは意外な名前を発する女性に、ライトは困惑した。サルヒコは突然に知らない名を突き付けられ、混乱をする。
 質問の返答に戸惑いを見せていると、二人に対峙している女性もアルムカンナとマントを取った。
 現れたのはここ上層階では瘦せ型と言える、小太りな女の人が正体を明かしだす。

「私は・・・まぁチェバラ、さんの身内と言っておきましょうか。とにかく頼まれてたのよ。我が子のように育てた者がきっとここに来る。二人で。名はライトとウェルバー。それらしき人物が来たら案内するように、とね」

 二人は困惑と混乱をしたまま顔を見合わせては、固唾を飲むことしか出来ずにいた。

 このチェバラの身内と申告している女性の見た目は若く、ライト達と同じぐらいか少し上のような雰囲気をしている。ウェルバーと同じ年ぐらいだと踏んだライトは少しだけだが警戒心を解くように、回答をせずに逆質問を切り出した。

「どうして僕だと分かったのですか?」

 僕とは言わず、そして隣にいるのがウェルバーではないことにも答えずに聞くことにした。

「・・・警備の人たちが若干、ざわついていたので聞いたの。警備隊員の中に一人だけちょっとした知り合いが居てね。年頃の子が来たら教えてと伝えていたから。と言っても、フラっとここへ来る人は大概が陰謀めいた中年前後の大人か気狂った者が大半だから、若い健全な子が来るなんてのはあなた達のような者だけだろうね」

 双方、お互いに腹の探り合いをしているかのように確信めいた部分は避けた会話を繰り広げている。

「・・・警備がざわついた、ねぇ。警戒態勢が強化されている割には人員の増員や通路に貼って行き交う人たちを取り調べている様子などは無いように思えたが、その言葉の信ぴょう性に違和感を感じるな」

「ここの人はみんな大人しい、と言えば良く聞こえるけれど、まぁ要するに‟他人事”だからねぇ。みんななのよ。他人と関わった方が不幸を招くことを、身をもって痛感してんでしょうね。この場所がそれを物語っているわ」

「あ、そうだ、ここは何なの?めちゃ臭い場所だね。まるでkれは・・・死臭?」

「そう、ここは『死の象徴』の部屋に通じているエリアなの」

「象徴?」

「昔・・・といっても数十年前だけど、ここで多くの信者が広間で『圧死』していった部屋がある、そんな戒めのような場所なの。今では聖地扱いをする人もいてるけど、それは実際の惨劇を後世へ隠すためでもありそうね」

「「聖地・・・・・・」」
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