『Dystopia 25』 ~楽園~

シルヴァ・レイシオン

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Phase XV

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「人が人で無くなる。そんな言い伝えは、下でもあるんでしょ?」

「ああ。基礎として学ぶぐらいにね」

「それはここでも同じ。そしてその原因は一つや二つじゃない。先天的、後天的、物質的、精神的・・・自ら陥る者も他者から落とされる者までいる。要因はなんであれ、そういった者たちをみんなどうしているのか、ね。出来るだけ関わらないようにしたい者が殆ど。誰かがなんとかする、そんな他力本願な姿勢が大半だ」

 ライトとサルヒコは、下層のCheaterチーターなどを思い浮かべる。

「でも、家族や周りの人が面倒を見たり、世話をしたりするでしょう?」

 ライトはそうは言いながらも、第3や第1で見てきた光景を思い浮かべてしまう。

「・・・そうね。ただ、決して現実ではそうじゃないこともあるし、そしてそうあるべきだ、という無言の圧力や義務感がまた人を狂わすこともあるのよ」

 二人は何も返答出来ないでいる。要領を得ない言い回しで且つ、何か思い悩むようなことがありそうな言葉と態度で、自分たちが何を言っても相手の感情部分に食い込んでしまうような、そんな気がしていた。

「教育であれ何らかの世話であれ、それはどうしても上の優位者が下へと手を貸すという縦の構図があって初めて成り立つもの。例えば有識者に対して講義だなんてただの蛇足、釈迦に説法よね。日常が不自由な者への配慮。これは大切だと思う。ただ・・・・・・」

「「・・・ただ??」」

「・・・その重荷を何の支援もなく世話をする側への配慮が全く無いこの世界なんて・・・そんな不条理な世界なんて・・・私は納得が出来ない」

「あなたに、いったい何があったんです?」

「・・・あ、ここよ」

 ヨハンナが立ち止まり示すその一室へ部屋の扉は、他の部屋となんら変わりはなかった。ただ違いとしてはその部屋だけは少し厳重に、南京錠をプラス増やされた鍵を追加してありヨハンナはそれを開錠しようとしている。
 二人は気になる話の部分で滞り、釈然としない気持ちとなった。

「ここは、あなたが来たら案内するようにとチェバラ氏に言われている部屋なの」

 部屋の奥は、上へと昇る階段しか見当たらなかった。
 ヨハンナは何も語らず、ただ上へと昇る。ライトとサルヒコもそれに続いた。

 階段の先にも部屋らしい空間は無く、そこは上階フロアの側面、鳥葬用の鳥たちの住処なのか下からの侵入を防ぐためか、はたまた景観のためなのかも分からない木々が生い茂げ、中からも外からも殆ど視認が出来ないバルコニーのような空間へと繋がっていた。上階の木々と同じく何のために作られた通路なのか、そしてこのバルコニーも使用目的はヨハンナや上層階の民ですら誰にも分からないでいる。表層界の者である二人には尚更、想像すらできないでいた。

 そのバルコニーの先、木々の間には手作り感が強い小さな小屋が作られていて、二人はそこへ案内されたのである。

「とりあえず、二人はここで待機してて。あ。そうそう、ライトさんはこれ、読んで熟知して」

 渡されたのは何らかの説明書のような書類だった。

「・・・あの、これは・・・?」「あ、後はあなたは、どうしたらいいのかしらねぇ」

 ライトの疑問は完全に無視し、ヨハンナはサルヒコの方へと向き思案している。

「・・・え?」

「あなた、ウェルバーじゃないでしょ?」

「!?・・・なんで分かった?あ、別に隠してるつもりもなかったんだけど、一応に聞いていいか?」

「聞いていた印象、例えば体格や二人の関係とかが全然違うし、何て言うか、言葉の節々に違和感もあった。それに、最近ここで捕まった下層民ってあなたのことでしょ?」

「・・・ああ、そうだ」

「あ、別に報告なんてしないから安心してね。私はここなんて無くなればいいと思っている人だから。捕まってくれたあなたの素性を経て、あなた達の足取りを追わせてもらったからもあるし」

「・・・なるほど、だからこんなにも信用してくれている、ってことか」

「そゆこと。ライトさんがそれを把握するまでの間、ここを隠れ蓑にしてて。ちょっと二人じゃ狭いけど。・・・あ、その布の集まりは寝具じゃないから触らないでね。重要な物だから破いたりしちゃだめだから」

 ヨハンナは部屋の奥に無造作に敷き詰められているおおきな布の集まりを指挿して言う。

「これは、なんなの??」

「・・・詳細は分からないわ。ただチェバラ氏はこう呼んでいた。『』、と」

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