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Phase XVI
Central floor talk
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「すごく、子沢山なんですね。下でもそんな家族は珍しくはないですよ」
「・・・親がちゃんと子育てをしてくれるんなら、そんな悠長なことでいいのかもね」
「え?」
「とにかく、私は当事者だけが配慮されその周りの人間に全ての責任を押し付ける、そんな世の中が憎いのよ。権力を振りかざす横暴な強者も、権利を主張するだけの怠惰な弱者も、どっちも同じ属性の人種だわ。それに巻き込まれ挟まれてしまう人こそが、真に同情の余地が与えられて当然なのに・・・こんな世の中なんて、消えて無くなってしまえばいい」
「・・・ヨハンナさんの苦労は、きっと僕らには芯に理解することは難しいかもしれません。想像は出来るけど多分、想像以上の苦労と想いがそこにはあってやり切れない程の感情や気持ちが渦巻いていることでしょう・・・ただ・・・・・・」
「・・・ただ?」
「先生の、チャバラ先生の件だけは言わせて下さい。先生がなぜ僕らの元から去ってまたここ上層階に戻ったのか、分かった気がします。・・・多分ヨハンナさん、あなたに会いに来たんです。どこからか誰からかに聞いたのでしょう。あなたの今の存在を・・・そして、僕もこうして、まだまだ未熟だとは思うけど何とか独り立ちっていうか、大人の人と同じように考えて自分の気持ちや何かを思い考えれるようには成長しました。先生にとっては、下での罪はもう償われたと考えたのでしょう。後は・・・・・・」
「だからって何?!あいつが、あいつさえ下に行かなければ!私は!私は・・・・・・」
ヨハンナは怒りと悔しさだけではなく、寂しさや切なさを込めた涙を流す。
「きっとヨハンナさん・・・先生と会った時もそうやって自分の気持ちを名一杯、一生懸命にぶつけたんじゃないですか?それまでの十何年分の苦労や、寂しさを、まるで初めて甘えるように・・・それは決して悪いってことを言いたいんじゃありません。責める意味ではないですよ。それで良いと思います。存分に甘えるべきです。恐らく、ヨハンナさんは誰かに甘えるなんてことは出来ずに、ずっと頑張ってきたんでしょう。だからこそ、先生は何も言わなかった。そんな権利が、あなたにはあると思います。だから・・・多分ですが、『ごめん』とか『愛してる』とか、先生はそんなことしか言わなかったんじゃないですか?」
「なんで・・・分かるのよ」
「僕の実の両親は両方とも、下の争いで死にました。僕にとっても先生は父親のような存在です。数年前まで一緒に暮らしてたんですから。誰よりも先生のことを知っているつもりなんで・・・だから、少なくとも先生は悪い人ではありません。それだけは言えます。ここへ来てあなたに会い、そしてあなたの話を沢山聞きに。それは例え罵倒であれ、甘えであれなんでもよかったんです。今のあなたの悩みも、真摯に聞いたでしょう。そして、先生が今ここに居ない理由も、きっとあなたの為に・・・・・・」
「・・・概ね、正解よ。私はあの人のこと、全然知らない、何一つ・・・何が好きだったのかも、何にも・・・・・・」
ライトはヨハンナに、チェバラの話を何時間も飽きることなく続けた。
「・・・親がちゃんと子育てをしてくれるんなら、そんな悠長なことでいいのかもね」
「え?」
「とにかく、私は当事者だけが配慮されその周りの人間に全ての責任を押し付ける、そんな世の中が憎いのよ。権力を振りかざす横暴な強者も、権利を主張するだけの怠惰な弱者も、どっちも同じ属性の人種だわ。それに巻き込まれ挟まれてしまう人こそが、真に同情の余地が与えられて当然なのに・・・こんな世の中なんて、消えて無くなってしまえばいい」
「・・・ヨハンナさんの苦労は、きっと僕らには芯に理解することは難しいかもしれません。想像は出来るけど多分、想像以上の苦労と想いがそこにはあってやり切れない程の感情や気持ちが渦巻いていることでしょう・・・ただ・・・・・・」
「・・・ただ?」
「先生の、チャバラ先生の件だけは言わせて下さい。先生がなぜ僕らの元から去ってまたここ上層階に戻ったのか、分かった気がします。・・・多分ヨハンナさん、あなたに会いに来たんです。どこからか誰からかに聞いたのでしょう。あなたの今の存在を・・・そして、僕もこうして、まだまだ未熟だとは思うけど何とか独り立ちっていうか、大人の人と同じように考えて自分の気持ちや何かを思い考えれるようには成長しました。先生にとっては、下での罪はもう償われたと考えたのでしょう。後は・・・・・・」
「だからって何?!あいつが、あいつさえ下に行かなければ!私は!私は・・・・・・」
ヨハンナは怒りと悔しさだけではなく、寂しさや切なさを込めた涙を流す。
「きっとヨハンナさん・・・先生と会った時もそうやって自分の気持ちを名一杯、一生懸命にぶつけたんじゃないですか?それまでの十何年分の苦労や、寂しさを、まるで初めて甘えるように・・・それは決して悪いってことを言いたいんじゃありません。責める意味ではないですよ。それで良いと思います。存分に甘えるべきです。恐らく、ヨハンナさんは誰かに甘えるなんてことは出来ずに、ずっと頑張ってきたんでしょう。だからこそ、先生は何も言わなかった。そんな権利が、あなたにはあると思います。だから・・・多分ですが、『ごめん』とか『愛してる』とか、先生はそんなことしか言わなかったんじゃないですか?」
「なんで・・・分かるのよ」
「僕の実の両親は両方とも、下の争いで死にました。僕にとっても先生は父親のような存在です。数年前まで一緒に暮らしてたんですから。誰よりも先生のことを知っているつもりなんで・・・だから、少なくとも先生は悪い人ではありません。それだけは言えます。ここへ来てあなたに会い、そしてあなたの話を沢山聞きに。それは例え罵倒であれ、甘えであれなんでもよかったんです。今のあなたの悩みも、真摯に聞いたでしょう。そして、先生が今ここに居ない理由も、きっとあなたの為に・・・・・・」
「・・・概ね、正解よ。私はあの人のこと、全然知らない、何一つ・・・何が好きだったのかも、何にも・・・・・・」
ライトはヨハンナに、チェバラの話を何時間も飽きることなく続けた。
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