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Phase XVI
Man-made disaster
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サルヒコは上層階の殆どと言っていい程のエリアを捜索をしきっていた。
細身の身体でも単独での行動を可能にするため、白装束の中の胴体周りには木の板を這わせ肩回りや腕は厚着をして上層民のように恰幅を良く見せかけ、日中は食堂に顔を出し朝方には下へと物資を降ろす作業員までも観察してまで親探しをしたにも関わらず、何の情報も無く半ば捜索を諦めかけていた。
勇気を出して各作業員にも声をかけるが、みな口を揃えるかのように「知らない」と返ってくるばかりだったが、昨晩、食堂で食事をしている男に聞いてみると数年前に下から纏まった人数の密入階者が居たことを聞く。そしてヨハンナが予想していたように、その者も密入階者の行く末をサルヒコに伝えてしまっていた。
「第8コロニー・・・か」
サルヒコはライトとヨハンナに一言、伝えてからにしようかと一瞬考えるがただ様子を見に行くだけと思い、そのまま一人で監獄エリアである上層階の中心部からバケモノが閉じ込められている反対側へと周り、ライトとここへやって来た下との階段とは別の、地獄の階段を下りて行った。
その階段下部からは変わらず
ゴオォォォォォン・・・グオォォォォォォン・・・・・・
という、風なのか人の声なのか、機械音なのか何らかの衝撃音なのかも分からない怪音が下の方から聞こえてくる。
数段降りると、そこはもう真っ暗な闇で照明は一つも無い。より一層と恐怖心を駆り立てる雰囲気を醸しているため、サルヒコは屋上まで戻り篝火から石炭を取り松明を作って、それを明かりにして再度、階段へと降りに向かう。
ゆっくりとした足取りで、足音を出来るだけ消すように歩いた。誰に聞かれるかも分からないが音と暗さと雰囲気だけで、恐怖がどんどんと駆り立てられていく。
サルヒコはライトから第1の状況は聞いているものの、実際にプローバーと対峙したことはなく具体的なイメージは掴めないでいた。恐らくではあるがこの下、第8コロニーは多くのプローバーが引き締め合っているのだろうとは考えられるが、その規模や凶暴性は第1コロニーで見たライト達にしか現実味は分からない。
知らないというだけのこと、それがサルヒコをここまで足を運ばせたがそれが危険への一歩だということも知る由もなかった。
ライトを上層階へと送った時よりも明らかに下へと降りた感覚で、一度足を止める。どこまで下へと潜るのだろうか。完全にここは地中だと思う程に降りたと実感したその時、前方の下、階段の先に錆た鉄格子の端を目視する。
その途端
ガガアァァァァン!! ガシャガシャ!「ぐあぁぁぁぁぁ!」「キィィィィィィ!」・・・・・・
緩んだ鉄格子を激しく叩く音と、無数の奇声と雄叫びが耳を劈く程に鳴り響く。
奇声と金属音が呼応するかのようにどんどんと増え、サルヒコの目の前の鉄格子の向こうはあっという間に大量のプローバーで埋め尽くされた。
プローバーの足元にはまた何体あったかも分からない無数の人の手や足、頭が転がり、血だまりで階段の何段かは水没ならぬ‟血没”し、プローバーの何人かはそれに足を取られて転んでいた。腐った血溜まりから起き上がるプローバーは、正にまるで地獄から這い上がってきた屍人かのように恐ろしく見える。
ここへ降りてくる前段階、中心部の監房の時点で死臭が満ち溢れているために、とっくにサルヒコの嗅覚は麻痺していた。
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
松明の明かりとサルヒコの黙認により、活性化されたプローバーが我先にと鉄格子の間からサルヒコへと腕を伸ばし、次々に群がる。
サルヒコは血の気が引くと同時に腰が引け、上へと逃げようとしたその時
ガラガラガラ・・・ガシャ、ガッシャン!
鉄格子を嚙ましていた床の石柱部分が崩れだし、鉄格子が徐々に上へと曲がりだす。床一面に広がっている多くのプローバーの血だと思われる液体が鉄の酸化を促進させ、脆くなっていた。
「うわあぁぁぁぁ!」
サルヒコは第2ではそれなりの戦士として鍛え上げてはいるものの、その光景だけでなく状況に恐れ慄いた。多勢に無勢という次元ではないと、逃げる自分を恥じることなくその場から走り去る。
その後ろでは大勢のプローバーが理性を失い、肉体の破損をも気にすることもなく次から次へと錆の腐敗が酷い部分から鉄格子を拉げていき、とうとう人が一人這いずり出れる所まで至ってしまった。
細身の身体でも単独での行動を可能にするため、白装束の中の胴体周りには木の板を這わせ肩回りや腕は厚着をして上層民のように恰幅を良く見せかけ、日中は食堂に顔を出し朝方には下へと物資を降ろす作業員までも観察してまで親探しをしたにも関わらず、何の情報も無く半ば捜索を諦めかけていた。
勇気を出して各作業員にも声をかけるが、みな口を揃えるかのように「知らない」と返ってくるばかりだったが、昨晩、食堂で食事をしている男に聞いてみると数年前に下から纏まった人数の密入階者が居たことを聞く。そしてヨハンナが予想していたように、その者も密入階者の行く末をサルヒコに伝えてしまっていた。
「第8コロニー・・・か」
サルヒコはライトとヨハンナに一言、伝えてからにしようかと一瞬考えるがただ様子を見に行くだけと思い、そのまま一人で監獄エリアである上層階の中心部からバケモノが閉じ込められている反対側へと周り、ライトとここへやって来た下との階段とは別の、地獄の階段を下りて行った。
その階段下部からは変わらず
ゴオォォォォォン・・・グオォォォォォォン・・・・・・
という、風なのか人の声なのか、機械音なのか何らかの衝撃音なのかも分からない怪音が下の方から聞こえてくる。
数段降りると、そこはもう真っ暗な闇で照明は一つも無い。より一層と恐怖心を駆り立てる雰囲気を醸しているため、サルヒコは屋上まで戻り篝火から石炭を取り松明を作って、それを明かりにして再度、階段へと降りに向かう。
ゆっくりとした足取りで、足音を出来るだけ消すように歩いた。誰に聞かれるかも分からないが音と暗さと雰囲気だけで、恐怖がどんどんと駆り立てられていく。
サルヒコはライトから第1の状況は聞いているものの、実際にプローバーと対峙したことはなく具体的なイメージは掴めないでいた。恐らくではあるがこの下、第8コロニーは多くのプローバーが引き締め合っているのだろうとは考えられるが、その規模や凶暴性は第1コロニーで見たライト達にしか現実味は分からない。
知らないというだけのこと、それがサルヒコをここまで足を運ばせたがそれが危険への一歩だということも知る由もなかった。
ライトを上層階へと送った時よりも明らかに下へと降りた感覚で、一度足を止める。どこまで下へと潜るのだろうか。完全にここは地中だと思う程に降りたと実感したその時、前方の下、階段の先に錆た鉄格子の端を目視する。
その途端
ガガアァァァァン!! ガシャガシャ!「ぐあぁぁぁぁぁ!」「キィィィィィィ!」・・・・・・
緩んだ鉄格子を激しく叩く音と、無数の奇声と雄叫びが耳を劈く程に鳴り響く。
奇声と金属音が呼応するかのようにどんどんと増え、サルヒコの目の前の鉄格子の向こうはあっという間に大量のプローバーで埋め尽くされた。
プローバーの足元にはまた何体あったかも分からない無数の人の手や足、頭が転がり、血だまりで階段の何段かは水没ならぬ‟血没”し、プローバーの何人かはそれに足を取られて転んでいた。腐った血溜まりから起き上がるプローバーは、正にまるで地獄から這い上がってきた屍人かのように恐ろしく見える。
ここへ降りてくる前段階、中心部の監房の時点で死臭が満ち溢れているために、とっくにサルヒコの嗅覚は麻痺していた。
ガシャン!ガシャン!ガシャン!
松明の明かりとサルヒコの黙認により、活性化されたプローバーが我先にと鉄格子の間からサルヒコへと腕を伸ばし、次々に群がる。
サルヒコは血の気が引くと同時に腰が引け、上へと逃げようとしたその時
ガラガラガラ・・・ガシャ、ガッシャン!
鉄格子を嚙ましていた床の石柱部分が崩れだし、鉄格子が徐々に上へと曲がりだす。床一面に広がっている多くのプローバーの血だと思われる液体が鉄の酸化を促進させ、脆くなっていた。
「うわあぁぁぁぁ!」
サルヒコは第2ではそれなりの戦士として鍛え上げてはいるものの、その光景だけでなく状況に恐れ慄いた。多勢に無勢という次元ではないと、逃げる自分を恥じることなくその場から走り去る。
その後ろでは大勢のプローバーが理性を失い、肉体の破損をも気にすることもなく次から次へと錆の腐敗が酷い部分から鉄格子を拉げていき、とうとう人が一人這いずり出れる所まで至ってしまった。
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