タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

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デビルたちのグループ

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 それからデビルたちは、なぜかお父さんたちの隣のテーブルに座り、威勢のいい注文をして、料理が来たらそれをガツガツと食べ始めた。
 彼らの雰囲気からすると、明らかに「お祝いのパーティー」だ。
 デビルの威勢のいい声も聞こえていた。
 それでぼくは、また誰かから金をまきあげたのだろうと思ったら、デビルにしては意外なほど「健全」な話だった。
「…しかしよりによって言問高校が全国制覇するとはな。ぶったまげたぜ!」
 それは例の甲子園の優勝校の話だった。
 結局ぼくはどこにも賭けなかった。
 お通夜やら替え玉やらデビルとの決戦やらいろいろで、それどころではなかったからだ。
 だけどビルたちの話では、なんでも言問高校という甲子園初出場で、しかも全く無名の高校が優勝したらしかった。
「しかしボスはすごいカンの持つ主ですね」
 それでデビルの子分の一人はお世辞を言った。
 すると、
「そうじゃねえんだよ。本当はLP学園にしようと思ってたらよ。しるし付ける場所間違えてよ。それで言問校に賭けちまったってわけよ。おれって全くついてるぜ。言問高なんて賭けたやつ、おれ一人だったもんな。それで掛け金、全部まるもうけよ。ははは。いいか、今夜はお祝いだ。おめえら思い切り食え!」
 そんなデビルたちの話を聞いていたガードマン姿の茶トラ先生がつぶやいた。
「彼らがお祝いのパーティーか… これで運命の流れは変わったようだな」
「じゃ、デビルたち、ヤバイ?」
「わしは何だか嫌な予感がする」

 それからしばらくの間、二つのグループがわいわいと騒いでいたが、やがて、お父さんたちのグループの誰かが二次会へ行こうと言い出した。
 カラオケのオーラムへ行くはずだ。
 そしてお父さんたちが立ち上がると、何故かデビルたちのグループも同時に立ち上がり、「二次会二次会」と言い始めた。
「よし、カラオケのオーラムだ。いいか、今夜はおれの美声をたっぷり聞かせてやるぜ!」
 デビルの言葉に子分たちは一瞬凍りついたけど、すぐに子分の一人が、
「ボスの歌声は最高ですからね!」などと、心にもないお世辞を言った。
「よし。彼らを追跡せねばならん!」
 そう言うと茶トラ先生も席を立った。
 そしてぼくも後に続いた。
 それから二つのグループを追跡しながら、ぼくらも夜の繁華街を歩いた。

「しかし予想外の展開だな」
 彼らを追跡しながら、茶トラ先生は言った。
「確かに、親父さんの運命は変わりはしたが、本当に『身代わり』のグループが現れるとは…」
「じゃ、やっぱりデビルが危ないの?」
「その可能性は、無きにしもあらず」
「でも、デビルなんてどうでもいいよ。あんな奴!」
「何を言う。そんなことを言ってはいかん。デビル君にだってご両親がいるはずだ。彼らにとってはかわいい息子なのだから」
「それはそうだろうけどさあ」
「とにかく、彼らをマークするのだ」
「で、お父さんのグループは?」
「もちろん、親父さんたちのグループにも注意する必要がある」
 そうして、それからも二つのグループは夜の繁華街を歩いた。
 残念会のグループは たんたんと。
 お祝いのグループはワイワイと。
 そしてデビルたちのグループの方が少し速く歩いて、お父さんたちのグループは少し遅れはじめた。
 だからぼくらは二つのグループのちょうど真ん中あたりを歩き、きょきょろと前を見たり後ろを見たりしていた。
 そしてしばらく歩くと、いよいよ運命のデパート前交差点に差し掛かった。
 お父さんが「やったぞ!」と言って道路に寝ころび、そのまま大型トラックにひかれてしまう、運命の交差点…
 そのとき歩行者の信号は赤で、デビルたちのグループとぼくらは、その信号が変わるのを待っていた。
 もちろんデビルたちは、相変わらずワイワイとはしゃいでいた。
 一方、お父さんたちのグループは少し遅れて交差点に近づいていた。
 この交差点を過ぎ、少し歩くとカラオケのオーラムがある。
 そして歩行者の信号が青に変わった!
 と、突然。
 何とデビルが「やったぞ!」と言って道路へ飛び出し、横断歩道上で仰向けに寝ころんだ。
 そしてふと見ると、トラックが左折しようとしてウインカーを点滅させ、どんどん交差点に近づいて来た…
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