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このごろデビルに元気がない
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せっかく仲良しになったのに、何だかこの頃デビルに元気がない。
なんだか食欲もなさそうだったし。
いつもなら給食を残さずに食べる。
ぼくの嫌いなニンジンでも玉ねぎでも、何でもかんでも食べるのに。
デビルが給食残すだなんて…
それでぼくは少し心配になり、ある日の昼休み、ぼくはデビルの席へ行き、話し掛けることにした。
「田中君、この頃どうしたの?」
「おれの母ちゃん料理上手いんだぞ! ニンジンでも玉ねぎでも、ピーマンだって何だって、上手に料理してくれるんだぞ!」
「へぇ~、うらやましいなぁ」
「だけどこの頃、料理を作ってくれないんだ」
「どうして?」
「実は、母ちゃんが…」
「お母さんがどうしたの?」
「入院しているんだ」
「え~! それは大変だね」
「もう三か月も入院してる」
「そんなに?」
「父ちゃんはいつも、もうすぐ退院だ、もうすぐ退院だって言っているけど、この前おれが見舞いに行ったら、もうめちゃくちゃやせこけていて、何だか、もうすぐ死にそうな感じなんだ」
「え~!」
「全く食事も出来ないみたいだし、点滴だけで生きているみたいな感じなんだ」
「そんなに悪いの?」
「おれのカンじゃ母ちゃん、もうそんなに長くないよ。おれのカンってものすごく当たるんだ。おれ、甲子園の高校野球で言問高の優勝も当てただろう?」
「でもあれは、しるし付けるの間違えてたって言ってたじゃん」
「本当は違うんだ。おれ、言問高が絶対優勝するような予感がしてたんだ」
「本当なの?」
「そうなんだ。だけど、子分たちにおれのカンを知られるのがうざくってよ。そんなことがばれたら、賭け事は何でも『教えて』『教えて』ってうるさいだろう。だからおれ、あんなことを言ったんだ」
「じゃ田中君は、本当はすごいカンの持つ主なんだね!」
「だから心配なのさ!」
「何が?」
「お前、鈍いな。おれの母ちゃんのことだよ!」
「そうか。そうなんだ…」
「このままじゃ間違いなく母ちゃん死んじゃうよ。おれ、どうすればいいんだ?」
「じゃ、今度いっしょにお見舞いに行こうか。花とか、おいしいものとか、いっぱい持っていってさあ」
「食えないんだよ! いくらおいしいものなんか持っていったって!」
「うん…」
「なあイチロウ。そういえばお前たしか、すごい博士と友達なんだよな」
「どうしてそんなこと知っているの?」
「そのくらい知ってるさ。子分たちが草スキー公園で遊んでたら、お前が博士んちに入っていくのを見たって言ってたぜ」
「そうなの。うん。たしかに、友達だよ」
「だったら頼んでくれよ」
「何を?」
「おまえ、やっぱり鈍いな。母ちゃんの病気のことだよ!」
「田中君のお母さんの病気のことを、茶トラ先生に相談するの?」
「あの博士、茶トラ先生というのか?」
「うん。だけど残念ながら、茶トラ先生は物理学者だよ」
「ブツリ? ええい! この際もう、何学者でもいいからよ。とにかく頼むよ。多分、母ちゃんはもうそんなに長く生きられないはずだから、もう何学者でもいいからさあ、とにかくお願いだ。頼む…」
なんだか食欲もなさそうだったし。
いつもなら給食を残さずに食べる。
ぼくの嫌いなニンジンでも玉ねぎでも、何でもかんでも食べるのに。
デビルが給食残すだなんて…
それでぼくは少し心配になり、ある日の昼休み、ぼくはデビルの席へ行き、話し掛けることにした。
「田中君、この頃どうしたの?」
「おれの母ちゃん料理上手いんだぞ! ニンジンでも玉ねぎでも、ピーマンだって何だって、上手に料理してくれるんだぞ!」
「へぇ~、うらやましいなぁ」
「だけどこの頃、料理を作ってくれないんだ」
「どうして?」
「実は、母ちゃんが…」
「お母さんがどうしたの?」
「入院しているんだ」
「え~! それは大変だね」
「もう三か月も入院してる」
「そんなに?」
「父ちゃんはいつも、もうすぐ退院だ、もうすぐ退院だって言っているけど、この前おれが見舞いに行ったら、もうめちゃくちゃやせこけていて、何だか、もうすぐ死にそうな感じなんだ」
「え~!」
「全く食事も出来ないみたいだし、点滴だけで生きているみたいな感じなんだ」
「そんなに悪いの?」
「おれのカンじゃ母ちゃん、もうそんなに長くないよ。おれのカンってものすごく当たるんだ。おれ、甲子園の高校野球で言問高の優勝も当てただろう?」
「でもあれは、しるし付けるの間違えてたって言ってたじゃん」
「本当は違うんだ。おれ、言問高が絶対優勝するような予感がしてたんだ」
「本当なの?」
「そうなんだ。だけど、子分たちにおれのカンを知られるのがうざくってよ。そんなことがばれたら、賭け事は何でも『教えて』『教えて』ってうるさいだろう。だからおれ、あんなことを言ったんだ」
「じゃ田中君は、本当はすごいカンの持つ主なんだね!」
「だから心配なのさ!」
「何が?」
「お前、鈍いな。おれの母ちゃんのことだよ!」
「そうか。そうなんだ…」
「このままじゃ間違いなく母ちゃん死んじゃうよ。おれ、どうすればいいんだ?」
「じゃ、今度いっしょにお見舞いに行こうか。花とか、おいしいものとか、いっぱい持っていってさあ」
「食えないんだよ! いくらおいしいものなんか持っていったって!」
「うん…」
「なあイチロウ。そういえばお前たしか、すごい博士と友達なんだよな」
「どうしてそんなこと知っているの?」
「そのくらい知ってるさ。子分たちが草スキー公園で遊んでたら、お前が博士んちに入っていくのを見たって言ってたぜ」
「そうなの。うん。たしかに、友達だよ」
「だったら頼んでくれよ」
「何を?」
「おまえ、やっぱり鈍いな。母ちゃんの病気のことだよ!」
「田中君のお母さんの病気のことを、茶トラ先生に相談するの?」
「あの博士、茶トラ先生というのか?」
「うん。だけど残念ながら、茶トラ先生は物理学者だよ」
「ブツリ? ええい! この際もう、何学者でもいいからよ。とにかく頼むよ。多分、母ちゃんはもうそんなに長く生きられないはずだから、もう何学者でもいいからさあ、とにかくお願いだ。頼む…」
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