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火星が!
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「火星が大変って?」
「お兄ちゃんは五十年後、NASAの火星基地のキャプテンだって言ったでしょ」
「ああ、茶トラ先生をみかんの木の根元に埋めたときに、そんな話したよね」
「お前さんたちはそんな話をしながら、わしをみかんの木の根元に埋めたのか?」
「まあまあまあ。いいじゃない。茶トラ先生はそれでも今、こうやって大学のブツリの分からない大バカタレどもの悪口が、しゃーしゃーと言えるんだから」
「しゃーしゃー? まあそれもそうだな。それに、埋められたことは金輪際口にすまい。骨になれば埋められて当然だ」
「コンリンザイって?」
「二度と言わないっていう、古~い言い方よ。まあいいわ。で、しゃーしゃーも置いといて、それでね、その数日後のことなんだけど、最新の情報では、火星のオリンポス山という火山が大噴火したらしいの」
「わしを埋めた数日後?」
「茶トラ先生を埋めた話はまあいいじゃん。コンリンザイだろ? すんだことだし先生生きてるし。それで?」
「そうだったな。それで?」
「それで、そのオリンポス山のふもとにお兄ちゃんたちの火星基地はあるのだけど、その山が突然噴火して、大火砕流が発生したらしいの」
「何だって!」
「で、基地はとても丈夫な建物だから無事だったらしいのだけど、宇宙船とかその他の施設は、完全に破壊されたらしいの」
「大噴火に大火砕流か。しかしよりによって、オリンポス山のふもとに基地を作るとは…」
「茶トラ先生、オリンポス山って知っているの?」
「天文にくわしい人間で知らない者はいない。それは火星最大、いやいや、太陽系最大の火山だ。その高さは二万メートル余り。そしてすそのの広さは、直径六百キロメートルというところだ」
「へぇー、よく知ってるね」
「わしは物理学者だが、もちろん天文学にも詳しいのだ。天体望遠鏡だって何機か持っておる。一番大きいのは、ニュートン式反射望遠鏡で、口径は四十センチ…」
「まあ茶トラ先生の天体望遠鏡の自慢はいいからさ。それで?」
「それで、火星では太陽電池も燃料電池も破壊されて、基地にあるバッテリーだけで何とか連絡してきたらしいの」
「それで?」
「それで、月の基地から救援の宇宙船を緊急発進させたらしいのだけど、火星まで十日はかかるらしいから…」
「月から火星まで、たったの十日でいけるのか? それはすごい」
「そりゃ、未来の宇宙船はものすごく速いんだろう?」
「まあ、私は宇宙船の速さについてはよく分からないけれど、とにかく火星までは十日かかって、その十日間、火星基地では暖房が使えないらしいので、ものすごく冷え込むだろうって、言われているの」
「そりゃ、火星は地球よりもずいぶん気温が低いだろうからなあ」
「気温も問題だし、食料や水も問題だし、だけど最大の問題は酸素らしいのね」
「酸素か…」
「そうなの。お兄ちゃんたちは全部で四人いるらしいのだけど、酸素がどのくらいもつかはわからないんだって」
「それはおそらく火星の水を電気分解して酸素を得とるのだろう。火星には結構な量の水があるはずだ。しかし太陽電池も燃料電池もこわれてしまったんじゃ、電気分解もできんから、酸素も失われるわけだ」
「それに寒いんだろう?」
「火星の気温は、地球より三十度ほど低いからな。確実に氷点下だ」
「だから、救援の宇宙船が着く前に、凍えてしまうかもしれないわ。酸素だって無くなってしまうかも知れないわ。だから茶トラ先生、何とかお兄ちゃんたちを助ける方法はありませんか?」
「う~ん。要するに帰りの船が必要なんだな」
「お兄ちゃんは五十年後、NASAの火星基地のキャプテンだって言ったでしょ」
「ああ、茶トラ先生をみかんの木の根元に埋めたときに、そんな話したよね」
「お前さんたちはそんな話をしながら、わしをみかんの木の根元に埋めたのか?」
「まあまあまあ。いいじゃない。茶トラ先生はそれでも今、こうやって大学のブツリの分からない大バカタレどもの悪口が、しゃーしゃーと言えるんだから」
「しゃーしゃー? まあそれもそうだな。それに、埋められたことは金輪際口にすまい。骨になれば埋められて当然だ」
「コンリンザイって?」
「二度と言わないっていう、古~い言い方よ。まあいいわ。で、しゃーしゃーも置いといて、それでね、その数日後のことなんだけど、最新の情報では、火星のオリンポス山という火山が大噴火したらしいの」
「わしを埋めた数日後?」
「茶トラ先生を埋めた話はまあいいじゃん。コンリンザイだろ? すんだことだし先生生きてるし。それで?」
「そうだったな。それで?」
「それで、そのオリンポス山のふもとにお兄ちゃんたちの火星基地はあるのだけど、その山が突然噴火して、大火砕流が発生したらしいの」
「何だって!」
「で、基地はとても丈夫な建物だから無事だったらしいのだけど、宇宙船とかその他の施設は、完全に破壊されたらしいの」
「大噴火に大火砕流か。しかしよりによって、オリンポス山のふもとに基地を作るとは…」
「茶トラ先生、オリンポス山って知っているの?」
「天文にくわしい人間で知らない者はいない。それは火星最大、いやいや、太陽系最大の火山だ。その高さは二万メートル余り。そしてすそのの広さは、直径六百キロメートルというところだ」
「へぇー、よく知ってるね」
「わしは物理学者だが、もちろん天文学にも詳しいのだ。天体望遠鏡だって何機か持っておる。一番大きいのは、ニュートン式反射望遠鏡で、口径は四十センチ…」
「まあ茶トラ先生の天体望遠鏡の自慢はいいからさ。それで?」
「それで、火星では太陽電池も燃料電池も破壊されて、基地にあるバッテリーだけで何とか連絡してきたらしいの」
「それで?」
「それで、月の基地から救援の宇宙船を緊急発進させたらしいのだけど、火星まで十日はかかるらしいから…」
「月から火星まで、たったの十日でいけるのか? それはすごい」
「そりゃ、未来の宇宙船はものすごく速いんだろう?」
「まあ、私は宇宙船の速さについてはよく分からないけれど、とにかく火星までは十日かかって、その十日間、火星基地では暖房が使えないらしいので、ものすごく冷え込むだろうって、言われているの」
「そりゃ、火星は地球よりもずいぶん気温が低いだろうからなあ」
「気温も問題だし、食料や水も問題だし、だけど最大の問題は酸素らしいのね」
「酸素か…」
「そうなの。お兄ちゃんたちは全部で四人いるらしいのだけど、酸素がどのくらいもつかはわからないんだって」
「それはおそらく火星の水を電気分解して酸素を得とるのだろう。火星には結構な量の水があるはずだ。しかし太陽電池も燃料電池もこわれてしまったんじゃ、電気分解もできんから、酸素も失われるわけだ」
「それに寒いんだろう?」
「火星の気温は、地球より三十度ほど低いからな。確実に氷点下だ」
「だから、救援の宇宙船が着く前に、凍えてしまうかもしれないわ。酸素だって無くなってしまうかも知れないわ。だから茶トラ先生、何とかお兄ちゃんたちを助ける方法はありませんか?」
「う~ん。要するに帰りの船が必要なんだな」
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