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で、どうするの?
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「ねえ、ぼくはもうオリンポス山の噴火を知ってしまったのだから、前もって火星基地を脱出すればいいんじゃないのかな」
「でもお兄ちゃんたちは、あと半年ほど火星にいる予定だったそうよ」
「それに、わしが思うにオリンポス山が噴火するから予定を繰り上げて基地を脱出といっても、そんな預言者みたいなことを言って、NASAのお偉いさんたちが信用すると思うか?」
「う~ん…」
「それに火山の噴火は、多少時期がずれることもある。だから噴火が早まり、間に合わんかもしれん。そういうものは、マグマと地殻との力関係も影響するし、火星の自転や、それから場合によっては木星の大きな引力が…」
「じゃぼく、火星へ行かない!」
「いやいや、たとえお前さんがそうしたとしても、お前さんが火星基地のミッションから外されるだけで、誰かが代わりに火星へ行くことになる」
「誰かが代わりにって、何だかデビルが横断歩道で『やったぞ!』って寝ころんだ話に通じるよなぁ」
「そうだ。運命を変えると…」
「似たような現象が起こる、だよね」
「だから身代りが出るかも知れんのだ。つまり、いずれにしても救命ボートは必要だ」
「あ、いけない!」
「どうしたんだい亜里沙ちゃん。救命ボートはいけないのかい?」
「そうじゃないの。私、ニュートリノ調理器にお鍋を掛けたままだった」
「未来にはすごい調理器があるのだな」
「似たようなものですよ。ただ、宇宙から降ってくるニュートリノを利用して加熱するだけですから」
「で、いったい何を作っているんだい?」
「そうだよ。五十年後の料理って、ぼくすごく興味ある」
「おでんよ」
「おでん? そうなんだ」
「とにかく、これでみんなには伝えたから、ああ、これが火星の写真ね。これ茶トラ宇宙望遠鏡で撮影されたものなの」
「茶トラ宇宙望遠鏡?」
「そうなんだ。わしもこれからの研究で、多少は歴史に名を残すのだな」
「同姓同名かもしれないよ」
「いやいや、『茶虎』などという立派な苗字はそうそうはおらん」
「人間界ではね。茶トラの猫なら、いっぱいいるよ」
「ええと、それじゃ、私、お鍋が気になるから…」
「ああ、亜里沙ちゃん。貴重な情報、どうもありがとう」
「それじゃ、茶トラ先生、お願いしますよ。それにお元気で。お兄ちゃんもね」
妹はそう言ってから、勝手にさっさとタイムエイジマシンを操作し、未来へと帰って行った。
それからぼくらは、あらためて火星の写真を眺めた。
「それにしてもすごく鮮明な写真だね」
「茶トラ宇宙望遠鏡か…」
「あんまり期待しない方がいいよ。同姓同名の天文学者かもしれないじゃん」
「確かに、言われてみればそれもあり得るな。まあいい。ところで、この火星の写真の右下に写っておるのがオリンポス山だ」
「それにしてもすごい噴煙だね」
「噴煙もだし、何百キロも続く火砕流の跡も見える。これはすさまじい光景だ」
「で、ぼくらどうしたらいいのかな」
「そこが問題だ」
「要するにぼくが噴火を予知して、それを避けるように行動すればいいんじゃないの?」
「それはそれで悪くないかも知れないが、前にも言ったように、運命のエネルギーで似たようなことが起こるかも知れんし、誰かが身代わりになるかもしれん」
「誰かが身代わりになったとして、交通整理のガードマンの格好や救急箱を火星に持って行っても…」
「そんなものが役に立つはずもなかろう」
「で、ぼくが予知したとしても『嘘つき』呼ばわりされてミッションを外されるかも?」
「それもあるだろうな。そしてNASAのバックアップクルーか何かが代わりに火星へ行って、同じ運命をたどることになる…」
「ぼくが行かなきゃ、誰かが身代わりに?」
「やっぱり、お前さんが火星へ行くしかないようだな」
「でもお兄ちゃんたちは、あと半年ほど火星にいる予定だったそうよ」
「それに、わしが思うにオリンポス山が噴火するから予定を繰り上げて基地を脱出といっても、そんな預言者みたいなことを言って、NASAのお偉いさんたちが信用すると思うか?」
「う~ん…」
「それに火山の噴火は、多少時期がずれることもある。だから噴火が早まり、間に合わんかもしれん。そういうものは、マグマと地殻との力関係も影響するし、火星の自転や、それから場合によっては木星の大きな引力が…」
「じゃぼく、火星へ行かない!」
「いやいや、たとえお前さんがそうしたとしても、お前さんが火星基地のミッションから外されるだけで、誰かが代わりに火星へ行くことになる」
「誰かが代わりにって、何だかデビルが横断歩道で『やったぞ!』って寝ころんだ話に通じるよなぁ」
「そうだ。運命を変えると…」
「似たような現象が起こる、だよね」
「だから身代りが出るかも知れんのだ。つまり、いずれにしても救命ボートは必要だ」
「あ、いけない!」
「どうしたんだい亜里沙ちゃん。救命ボートはいけないのかい?」
「そうじゃないの。私、ニュートリノ調理器にお鍋を掛けたままだった」
「未来にはすごい調理器があるのだな」
「似たようなものですよ。ただ、宇宙から降ってくるニュートリノを利用して加熱するだけですから」
「で、いったい何を作っているんだい?」
「そうだよ。五十年後の料理って、ぼくすごく興味ある」
「おでんよ」
「おでん? そうなんだ」
「とにかく、これでみんなには伝えたから、ああ、これが火星の写真ね。これ茶トラ宇宙望遠鏡で撮影されたものなの」
「茶トラ宇宙望遠鏡?」
「そうなんだ。わしもこれからの研究で、多少は歴史に名を残すのだな」
「同姓同名かもしれないよ」
「いやいや、『茶虎』などという立派な苗字はそうそうはおらん」
「人間界ではね。茶トラの猫なら、いっぱいいるよ」
「ええと、それじゃ、私、お鍋が気になるから…」
「ああ、亜里沙ちゃん。貴重な情報、どうもありがとう」
「それじゃ、茶トラ先生、お願いしますよ。それにお元気で。お兄ちゃんもね」
妹はそう言ってから、勝手にさっさとタイムエイジマシンを操作し、未来へと帰って行った。
それからぼくらは、あらためて火星の写真を眺めた。
「それにしてもすごく鮮明な写真だね」
「茶トラ宇宙望遠鏡か…」
「あんまり期待しない方がいいよ。同姓同名の天文学者かもしれないじゃん」
「確かに、言われてみればそれもあり得るな。まあいい。ところで、この火星の写真の右下に写っておるのがオリンポス山だ」
「それにしてもすごい噴煙だね」
「噴煙もだし、何百キロも続く火砕流の跡も見える。これはすさまじい光景だ」
「で、ぼくらどうしたらいいのかな」
「そこが問題だ」
「要するにぼくが噴火を予知して、それを避けるように行動すればいいんじゃないの?」
「それはそれで悪くないかも知れないが、前にも言ったように、運命のエネルギーで似たようなことが起こるかも知れんし、誰かが身代わりになるかもしれん」
「誰かが身代わりになったとして、交通整理のガードマンの格好や救急箱を火星に持って行っても…」
「そんなものが役に立つはずもなかろう」
「で、ぼくが予知したとしても『嘘つき』呼ばわりされてミッションを外されるかも?」
「それもあるだろうな。そしてNASAのバックアップクルーか何かが代わりに火星へ行って、同じ運命をたどることになる…」
「ぼくが行かなきゃ、誰かが身代わりに?」
「やっぱり、お前さんが火星へ行くしかないようだな」
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