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またまたデビルのカン
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「なあイチロウ、おれやっぱり、あの一年前のホームセンターの駐車場にいた、あの静香ちゃんって子が、どうしても気になるんだ」
またまた学校の昼休み、デビルがぼくにこんな話を始めた。
「う~ん、だけど考えてみると、ゆりちゃんって一人っ子だったよね。だから静香ちゃんなんてお姉さん、いるはずないよね」
「そうだよな。だけどおかしいよな。それでさあ、実はおれ思うんだけど、おれらタイムエイジマシンで本当に過去へ行ったんじゃないのか? だから静香ちゃんって子も、本当は存在するんだ。つまりこれは、すごいミステリーなんだぞ!」
「すごいミステリー? そうかなぁ。だけどたぶん、あの一年前の世界は、きっと茶トラ先生の夢の中なんだ」
「茶トラ先生の夢の中? おい、イチロウ! おまえ案外非科学的でメルヘンみたいなこと言うよな。よくそれで大物理学者であり、しかもカリスマ名医である、あの茶トラ大先生の子分がつとまるな」
「ぼくは茶トラ先生の子分なんかじゃないよ。茶トラ先生は、ぼくの友達だよ」
「ええい! 子分でも友達でも、そんなのどっちでもいい! とにかく! タイムエイジマシで、もう一度過去へ行こうぜ。おれ、もう一度あの過去へ行って、あのホームセンターでもう一度静香ちゃんに会いたいんだ。そして話をしてみたい」
「告白するのか?」
「そういうことじゃなくて! ええと、とにかく気になるんだ。たぶん静香ちゃんって子は、この世のどこかに、きっと存在するはずなんだ。とにかくこれは、おれのカンだ!」
たしかにデビルのカンが無視できないということは、これまでに何度も証明されている。
それからしばらくして、ぼくらはまたまた茶トラ先生の実験室へ行き、その話をした。
「お前さんたちが再び一年前の過去へ行きたいというのなら、わしはべつに構わん。わしは居眠りをこいておればいいだけだ」
「だけどさあ、またタイムエイジマシンを、廃棄物処理場に転がっていた、スクラップ同然のあの証明写真から作らないといけないし、設計図だってものすごい量だし、だからきっと一年前の茶トラ先生、超大変だよ」
「なあイチロウ、おまえあそこは、つまりあの一年前の世界は、茶トラ先生の夢の中って言っているよな。だったらその理屈なら、ここにいる茶トラ先生は居眠りをこくだけでいいんだぜ。つまりだれも迷惑しないぞ。そもそも一年前の茶トラ先生だって、おまえはまぼろしって言うんだろう。だったら超大変もくそもねんじゃんか。それにおれたちだって一度やっているから、要領もわかってるぞ。あのときと同じ事さくさくやればいいじゃんか。だからもう一回行こうぜ。一年前の、あのホームセンターへ!」
「その静香ちゃんに会うだけのために?」
「いいじゃんか。いこうぜいこうぜ」
「う~ん。まあ田中君がそこまで言うのなら…」
「まあお前さんたちがそんなに行きたければ、勝手に行けばいい。わしはまた居眠りをしておくとするか」
それから茶トラ先生はめずらしくあっさりとそう言い、そしてさっさと椅子を持ってきて、それにどかんと座った。
「それじゃ、茶トラ先生がそう言うんだったら、ぼくたち行ってくるね。で、その間、茶トラ先生はその椅子でゆっくりと居眠りでもこいていなよ」
そう言うとぼくはまたリモコンを操作して、この前行ったときとばっちり同じ、一年前の、あの日時へと行くことにした。
するとぼくらはやっぱり、全く同じ廃棄物処理場へ着き、スクラップ同然の証明写真から必死ではい出たぼくらは、それからまるで動画をリプレーするような光景に出会った。
つまりぼくらはてくてくと山道を歩き、ウサギの公園で思い切りみんなにシカトされ、一年前の茶トラ先生に出会い、イカ天でシカトされ中華どんぶりを食いそびれ、だけどそこでぼくらは食事もトイレも不要で、それから茶トラ先生は必死に膨大な設計図を書き、なんちゃら無線とかいう店で部品の買い出しをし、そしてぼくらは例のホームセンターへ、タイムエイジマシンの鏡やカーテンのなんかを買い出しに行ったのだ。
そして買い物を終え、シカトされないレジを出て、すると駐車場に、お母さんといっしょの静香ちゃんがいた。
「お~い、静香ちゃ~~~ん!」
それからデビルはそういいながら、また積極的に手を振りながら、静香ちゃんの方へと小走りにかけよった。
すると静香ちゃんはにっこりと笑った。
それでぼくも静香ちゃんに近寄り、「静香ちゃん、久しぶり」というと、やっぱり静香ちゃんはにっこりと笑った。
だけどそれから何を話しても、静香ちゃんはただにっこりと笑うだけで、何もしゃべらなかったんだ。
何を聞いても何も答えない。
しかもお母さんは、しっかりぼくらをシカトしている。
それからぼくらがしばらく静香ちゃんたちの様子を見ていると、なんとホームセンターからゆりちゃんが出てきた。
ゆりちゃんも一緒に買い物に来ているみたいだった。
もちろん声をかけても、ゆりちゃんもぼくらをシカトしたけれど。
だけどそれからぼくらが見ていると、ゆりちゃんがお母さんの方へ歩いて、そしてゆりちゃんが静香ちゃんへ近づくと、なぜか突然、静香ちゃんはどんどん小さくなり、それはもう小さな小さな卵くらいの大きさになりになり、それから静香ちゃんは、ゆりちゃんの体の中へ入って消えた。
驚いたぼくらは、しばらく呆然とその場に立っていた。
またまた学校の昼休み、デビルがぼくにこんな話を始めた。
「う~ん、だけど考えてみると、ゆりちゃんって一人っ子だったよね。だから静香ちゃんなんてお姉さん、いるはずないよね」
「そうだよな。だけどおかしいよな。それでさあ、実はおれ思うんだけど、おれらタイムエイジマシンで本当に過去へ行ったんじゃないのか? だから静香ちゃんって子も、本当は存在するんだ。つまりこれは、すごいミステリーなんだぞ!」
「すごいミステリー? そうかなぁ。だけどたぶん、あの一年前の世界は、きっと茶トラ先生の夢の中なんだ」
「茶トラ先生の夢の中? おい、イチロウ! おまえ案外非科学的でメルヘンみたいなこと言うよな。よくそれで大物理学者であり、しかもカリスマ名医である、あの茶トラ大先生の子分がつとまるな」
「ぼくは茶トラ先生の子分なんかじゃないよ。茶トラ先生は、ぼくの友達だよ」
「ええい! 子分でも友達でも、そんなのどっちでもいい! とにかく! タイムエイジマシで、もう一度過去へ行こうぜ。おれ、もう一度あの過去へ行って、あのホームセンターでもう一度静香ちゃんに会いたいんだ。そして話をしてみたい」
「告白するのか?」
「そういうことじゃなくて! ええと、とにかく気になるんだ。たぶん静香ちゃんって子は、この世のどこかに、きっと存在するはずなんだ。とにかくこれは、おれのカンだ!」
たしかにデビルのカンが無視できないということは、これまでに何度も証明されている。
それからしばらくして、ぼくらはまたまた茶トラ先生の実験室へ行き、その話をした。
「お前さんたちが再び一年前の過去へ行きたいというのなら、わしはべつに構わん。わしは居眠りをこいておればいいだけだ」
「だけどさあ、またタイムエイジマシンを、廃棄物処理場に転がっていた、スクラップ同然のあの証明写真から作らないといけないし、設計図だってものすごい量だし、だからきっと一年前の茶トラ先生、超大変だよ」
「なあイチロウ、おまえあそこは、つまりあの一年前の世界は、茶トラ先生の夢の中って言っているよな。だったらその理屈なら、ここにいる茶トラ先生は居眠りをこくだけでいいんだぜ。つまりだれも迷惑しないぞ。そもそも一年前の茶トラ先生だって、おまえはまぼろしって言うんだろう。だったら超大変もくそもねんじゃんか。それにおれたちだって一度やっているから、要領もわかってるぞ。あのときと同じ事さくさくやればいいじゃんか。だからもう一回行こうぜ。一年前の、あのホームセンターへ!」
「その静香ちゃんに会うだけのために?」
「いいじゃんか。いこうぜいこうぜ」
「う~ん。まあ田中君がそこまで言うのなら…」
「まあお前さんたちがそんなに行きたければ、勝手に行けばいい。わしはまた居眠りをしておくとするか」
それから茶トラ先生はめずらしくあっさりとそう言い、そしてさっさと椅子を持ってきて、それにどかんと座った。
「それじゃ、茶トラ先生がそう言うんだったら、ぼくたち行ってくるね。で、その間、茶トラ先生はその椅子でゆっくりと居眠りでもこいていなよ」
そう言うとぼくはまたリモコンを操作して、この前行ったときとばっちり同じ、一年前の、あの日時へと行くことにした。
するとぼくらはやっぱり、全く同じ廃棄物処理場へ着き、スクラップ同然の証明写真から必死ではい出たぼくらは、それからまるで動画をリプレーするような光景に出会った。
つまりぼくらはてくてくと山道を歩き、ウサギの公園で思い切りみんなにシカトされ、一年前の茶トラ先生に出会い、イカ天でシカトされ中華どんぶりを食いそびれ、だけどそこでぼくらは食事もトイレも不要で、それから茶トラ先生は必死に膨大な設計図を書き、なんちゃら無線とかいう店で部品の買い出しをし、そしてぼくらは例のホームセンターへ、タイムエイジマシンの鏡やカーテンのなんかを買い出しに行ったのだ。
そして買い物を終え、シカトされないレジを出て、すると駐車場に、お母さんといっしょの静香ちゃんがいた。
「お~い、静香ちゃ~~~ん!」
それからデビルはそういいながら、また積極的に手を振りながら、静香ちゃんの方へと小走りにかけよった。
すると静香ちゃんはにっこりと笑った。
それでぼくも静香ちゃんに近寄り、「静香ちゃん、久しぶり」というと、やっぱり静香ちゃんはにっこりと笑った。
だけどそれから何を話しても、静香ちゃんはただにっこりと笑うだけで、何もしゃべらなかったんだ。
何を聞いても何も答えない。
しかもお母さんは、しっかりぼくらをシカトしている。
それからぼくらがしばらく静香ちゃんたちの様子を見ていると、なんとホームセンターからゆりちゃんが出てきた。
ゆりちゃんも一緒に買い物に来ているみたいだった。
もちろん声をかけても、ゆりちゃんもぼくらをシカトしたけれど。
だけどそれからぼくらが見ていると、ゆりちゃんがお母さんの方へ歩いて、そしてゆりちゃんが静香ちゃんへ近づくと、なぜか突然、静香ちゃんはどんどん小さくなり、それはもう小さな小さな卵くらいの大きさになりになり、それから静香ちゃんは、ゆりちゃんの体の中へ入って消えた。
驚いたぼくらは、しばらく呆然とその場に立っていた。
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