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また帰ってきて…
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そして過去の茶トラ先生がタイムエイジマシンを完成させ、それでぼくらは帰ってきて、さっそく居眠りをこいている茶トラ先生をゆり起こした。
「たしかにわしの夢の中でも、その静香ちゃんという子が出てきたのだ。そしてその子はどんどん小さくなり、まるで卵のようになり、そしてゆりちゃんの体の中へ入り込んでしまった」
「だろう!」
「だからその静香ちゃんという子は、ゆりちゃんと深い関係があると考えられる。従ってこれは、調査せねばなるまい…」
「だよね」
「しかし考えてみると、メーデルハーデル先生はゆりちゃんの病気の主治医だ。だから彼女を定期的に検査しておる。そして今夜わしは、メーデルハーデル先生とゲシュタルト先生と飲みに行く」
「茶トラ先生また飲みに行くの? 肝臓が悪くなるよ」
「わしが飲みにいくときは、研究の合間にバカ話をして脳を休めるのだ。そしてわしは通常、ノンアルコールビールしか飲まん」
「あらそうなの。で、その飲みに行く話しと『これは、調査せねばなるまい…』と何か因果関係あるの?」
「だからメーデルハーデル先生に、その調査の相談もしてみようと思っておるのだ」
数日後、ぼくとデビルは懲りずにまた遊びに行き、またまた茶トラ先生の話を聞いた。
例の「これは、調査せねばなるまい…」をメーデルハーデル先生に相談して、それからどうなったかを知りたかったし。
「ゆりちゃんは一応、病気の治療も終わり、元どおりに元気になり、状態も安定しておる。現在は学校へも行き、空手も習っておるそうだ」
「うん。それは知ってるよ」
「そうだよ。それでおれ、ゆりちゃんに謝れたし。イチロウがうまいことゆりちゃんにホラ話を吹き込んでくれて、それで、へへ、うまいこと仲直りも…」
「ほら話? だれがやったのだ?」
「先生、まあいいじゃんか」
「まあいいが。それにイチロウがどんなホラ話を創作したかは知らんが、まあ嘘も方便という言葉もある。それはいいが、これからゆりちゃんは、メーデルハーデル先生のところへ、半年に一度程度通院し、血液や、その他いろいろ調べてもらうことになっておるそうだ」
「じゃ、やっぱりまだ悪いの?」
「いやいや、病気が病気だ。慎重を期さんといかん。だから定期的な検査は必要なのだ」
「そうか…、そりゃそうだよね。ところで、ええと、『これは、調査せねばなるまい…』の話は一体どうなったの? それ、メーデルハーデル先生に相談したの?」
「それに関してメーデルハーデル先生は、それじゃタイムエイジマシンで先回りして、半年ごとに自分の病院へ来ればよいと言い出したんだ」
「先回り?」
「なんといっても、わしとメーデルハーデル先生と、あ~、それについてはゲシュタルト先生もだが、タイムエイジマシンについてはつーかーなのだ」
「つーかー?」
「つまりみんな、マシンのことを知りつくしておるのだ」
「そうか! つまり変人三人組で、タイムエイジマシンのこと、熟知しているんだね」
「変人三人組? まあいいが、それからもちろん、タイムとエイジが連動していることも、みな知っておるのだ。だから二人ともわしと同じことをやって、みな百十五歳でもいたって元気な予定だ」
「それはすごい! だから茶トラ先生が百十五歳まで健診を受けたみたいに、ゆりちゃんも半年ごとの未来へ行って検査を受けて、で、百十五歳まで元気?」
「そうあってほしいが、しかしもし万一のことがあったとしても、こうすれば早めの対応もできるのだ」
「万一? そんときはおれの骨髄使ってくれよな」
「万一に備えて、それは考慮しておこう」
「それで、『これは、調査せねばなるまい…』の話のつづきは? なんかぼく、少しじれったいのだけど」
「そうだそうだ。それで、その静香ちゃんとやらとゆりちゃんの関係も、そうやってタイムエイジマシンで未来を先取りして調査していけばいいだろうという話になったのだ」
「なるほどねえ」
「それとメーデルハーデル先生は、こんなことも言い出した」
「どんな?」
「わしもそう思うのだが、実在するかどうかもはっきりしていないのに、どうして『静香ちゃん』などという名前が確定しておるのだ?」
「あ!」
「静香ちゃんとやらは、現時点では『謎の少女』なのだ。彼女は一年前の過去の、はたまたわしの夢の中のホームセンターに現れ、田中君が突然『静香ちゃ~ん』と呼んだのだ。だが一体全体、その名前の由来は? 何でその子が『静香ちゃん』と分かるのだ? 実在するかどうかもはっきりせんというのに」
「あ! ねえ、田中君、どうしてあのときその子を『静香ちゃん』って呼んだの? 考えてみるとおかしいじゃん」
「あれれ、たしかにそうだよな。だけどそのときあの子を見て、ゆりちゃんのお姉さんで、しかも名前は静香ちゃんだって、おれ、そう確信したんだよな。まるで甲子園であの無名の言問高校が優勝するとか、おれの母ちゃんや、ゆりちゃんの病気を確信したみてえによ」
「つまりこれも、田中君の鋭いカンだったというのか? そしてそれにみんなが乗せられた、いや、操られたのかというのか? う~ん。すると過去の例から考えてみても、田中君のカンの的中率はすさまじいから、これはもしかして、何かあるのやもしれん…」
「たしかにわしの夢の中でも、その静香ちゃんという子が出てきたのだ。そしてその子はどんどん小さくなり、まるで卵のようになり、そしてゆりちゃんの体の中へ入り込んでしまった」
「だろう!」
「だからその静香ちゃんという子は、ゆりちゃんと深い関係があると考えられる。従ってこれは、調査せねばなるまい…」
「だよね」
「しかし考えてみると、メーデルハーデル先生はゆりちゃんの病気の主治医だ。だから彼女を定期的に検査しておる。そして今夜わしは、メーデルハーデル先生とゲシュタルト先生と飲みに行く」
「茶トラ先生また飲みに行くの? 肝臓が悪くなるよ」
「わしが飲みにいくときは、研究の合間にバカ話をして脳を休めるのだ。そしてわしは通常、ノンアルコールビールしか飲まん」
「あらそうなの。で、その飲みに行く話しと『これは、調査せねばなるまい…』と何か因果関係あるの?」
「だからメーデルハーデル先生に、その調査の相談もしてみようと思っておるのだ」
数日後、ぼくとデビルは懲りずにまた遊びに行き、またまた茶トラ先生の話を聞いた。
例の「これは、調査せねばなるまい…」をメーデルハーデル先生に相談して、それからどうなったかを知りたかったし。
「ゆりちゃんは一応、病気の治療も終わり、元どおりに元気になり、状態も安定しておる。現在は学校へも行き、空手も習っておるそうだ」
「うん。それは知ってるよ」
「そうだよ。それでおれ、ゆりちゃんに謝れたし。イチロウがうまいことゆりちゃんにホラ話を吹き込んでくれて、それで、へへ、うまいこと仲直りも…」
「ほら話? だれがやったのだ?」
「先生、まあいいじゃんか」
「まあいいが。それにイチロウがどんなホラ話を創作したかは知らんが、まあ嘘も方便という言葉もある。それはいいが、これからゆりちゃんは、メーデルハーデル先生のところへ、半年に一度程度通院し、血液や、その他いろいろ調べてもらうことになっておるそうだ」
「じゃ、やっぱりまだ悪いの?」
「いやいや、病気が病気だ。慎重を期さんといかん。だから定期的な検査は必要なのだ」
「そうか…、そりゃそうだよね。ところで、ええと、『これは、調査せねばなるまい…』の話は一体どうなったの? それ、メーデルハーデル先生に相談したの?」
「それに関してメーデルハーデル先生は、それじゃタイムエイジマシンで先回りして、半年ごとに自分の病院へ来ればよいと言い出したんだ」
「先回り?」
「なんといっても、わしとメーデルハーデル先生と、あ~、それについてはゲシュタルト先生もだが、タイムエイジマシンについてはつーかーなのだ」
「つーかー?」
「つまりみんな、マシンのことを知りつくしておるのだ」
「そうか! つまり変人三人組で、タイムエイジマシンのこと、熟知しているんだね」
「変人三人組? まあいいが、それからもちろん、タイムとエイジが連動していることも、みな知っておるのだ。だから二人ともわしと同じことをやって、みな百十五歳でもいたって元気な予定だ」
「それはすごい! だから茶トラ先生が百十五歳まで健診を受けたみたいに、ゆりちゃんも半年ごとの未来へ行って検査を受けて、で、百十五歳まで元気?」
「そうあってほしいが、しかしもし万一のことがあったとしても、こうすれば早めの対応もできるのだ」
「万一? そんときはおれの骨髄使ってくれよな」
「万一に備えて、それは考慮しておこう」
「それで、『これは、調査せねばなるまい…』の話のつづきは? なんかぼく、少しじれったいのだけど」
「そうだそうだ。それで、その静香ちゃんとやらとゆりちゃんの関係も、そうやってタイムエイジマシンで未来を先取りして調査していけばいいだろうという話になったのだ」
「なるほどねえ」
「それとメーデルハーデル先生は、こんなことも言い出した」
「どんな?」
「わしもそう思うのだが、実在するかどうかもはっきりしていないのに、どうして『静香ちゃん』などという名前が確定しておるのだ?」
「あ!」
「静香ちゃんとやらは、現時点では『謎の少女』なのだ。彼女は一年前の過去の、はたまたわしの夢の中のホームセンターに現れ、田中君が突然『静香ちゃ~ん』と呼んだのだ。だが一体全体、その名前の由来は? 何でその子が『静香ちゃん』と分かるのだ? 実在するかどうかもはっきりせんというのに」
「あ! ねえ、田中君、どうしてあのときその子を『静香ちゃん』って呼んだの? 考えてみるとおかしいじゃん」
「あれれ、たしかにそうだよな。だけどそのときあの子を見て、ゆりちゃんのお姉さんで、しかも名前は静香ちゃんだって、おれ、そう確信したんだよな。まるで甲子園であの無名の言問高校が優勝するとか、おれの母ちゃんや、ゆりちゃんの病気を確信したみてえによ」
「つまりこれも、田中君の鋭いカンだったというのか? そしてそれにみんなが乗せられた、いや、操られたのかというのか? う~ん。すると過去の例から考えてみても、田中君のカンの的中率はすさまじいから、これはもしかして、何かあるのやもしれん…」
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