タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

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未来で検査を受けたゆりちゃん、そして静香ちゃんは…

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 そらからゆりちゃんは週に一回くらい茶トラ先生の実験室へ来て、タイムエイジマシンで未来へ行って、未来のメーデルハーデル先生に診てもらい、病気の再発のチェックなんかを受けると同時に、その「謎の静香ちゃん」についても調べてもらうことになった。
 そして未来から帰ってきたゆりちゃんには、未来のメーデルハーデル先生から、現在の茶トラ先生と現在のメーデルハーデル先生に宛てた報告書が渡され、それでゆりちゃんの未来の様子は、茶トラ先生を通じていろいろ聞くことができた。
 それで、それからしばらくしての検査で、ゆりちゃんの体の中に、タマゴくらいの大きさの「しこり」が見付かったそうだ。
 そしてそれから二十年くらいの未来に、MR顕微鏡という機械が出来て、それでそのゆりちゃんのしこりを、顕微鏡で拡大して見るように詳しく調べることができたらしい。
 その結果を見た未来のメーデルハーデル先生は、とても驚いたそうだ。
 それから茶トラ先生は、その未来のメーデルハーデル先生からの報告書について、ぼくらに詳しく説明してくれた。
「これはおそらく『奇形のう腫』というものだ。いわゆる『できもの』の類だが、この種のできものの中には、人間のいろんな臓器が混ざっていることがある」
「そんなできものがあるの?」
「それがゆりちゃんの体の中に?」
「そうだ」
「それってもしかして、ガンみたいなものなのか? 母ちゃんに出来たみたいな?」
「いや、幸いそういう類のものでは全くないそうだ。だから仮に放っておいたとしても、ゆりちゃんに身の危険は全くないそうだ」
「じゃ、運動会のときの田中君のほうがよっぽど危なかった? あの『マイムマイム事件』だよ」
「もうその話はいいよ。でもよかったな。ゆりちゃん、未来でも無事なんだな」
「それで、未来のメーデルハーデル先生の報告書によると、ゆりちゃんの体の中にあるそのしこりには、驚いたことに、一人の人間に必要な臓器のほとんどがそろっているらしいんだ」
「え~!」
「本当かよ!」
「それは未来のMRI顕微鏡によって判明したんだ。だからもし手術して取り出せば、これを元に、一人の人間として生まれさせることは、理論的には可能らしい。だが、その時代の医学でさえも、まだそれはとても不可能で…」

 それからしばらくして、とくに用事はなかったけれど、ぼくとデビルはまたまた、十年一日のように、茶トラ先生の実験室へ遊びに行っていて、うだうだと茶トラ先生の「きちんとした科学的な議論」を聞いたり、ばかばかしい昔話を聞いたり、はたまた茶トラ先生がかつて教授をやっていた大学の「ばかたれども」の悪口を聞いたりしながら楽しく過ごしていた。
 だけど考えてみると、これはなんだか、やけに見覚えのあるシーンだ。
 こういうときなぜか突然、タイムエイジマシンのカーテンが開き、これまた突然、妹の亜里沙が十一歳の姿で、だぶだぶの服を着て…
「ねえ、私って伝書鳩なのかしら?」
「伝書鳩? おやおや亜里沙ちゃん。今度は何時の時代から?」
「今度も五十年後! でも私、ここでは十一歳! 茶トラ先生、もういい加減にタイムとエイジ、切り離したら?」
「それが思うようにいかんのだ。それに、連動しておると妙に便利だったりもするのだ」
「未来に健診を受けるときなんかね」
「あらそうなの。まあしょうがないわね」
「それで亜里沙ちゃん、また何か事件でも…」
「事件じゃなくて、お知らせ。ああ、小惑星のチャトラはアポフィスに衝突しなかったし、それから未来の茶トラ先生は、タイムエイジマシンでノーベル物理学賞を取ったのよ」
「何だって?」
「それはすごい。やったね茶トラ先生。それに、チャトラもアポフィスも、そして地球も無事だったんだね」
「ええとね。それで、私が伝書鳩しに来たのは、実はゆりちゃんのことなの」
「え! ゆりちゃん、どうなったんだい? おれ、ゆりちゃんのこと、ばりばり心配なんだけど」
「静香ちゃんもだろ」
「それで、ええと、ゆりちゃんは私が来た時代から十二年前に手術を受けたの。例の、お腹の中のしこりを取り出したの。そして調べてみると、やっぱり人間1人分の臓器がほとんどそろっていて、それで、それを元に一人の人間、つまり赤ちゃんにすることに成功したの」
「すごい!」
「そしてその赤ちゃんは、私が来た五十年後の未来ではすでに十二歳になってて、そしてその子が書いた手紙を持ってきたの。だから私は伝書鳩なのよ。そしてそれは田中君宛てで…」
「田中君宛て?」
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