タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

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またまたまたデビルのカン

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 後からデビルに聞いた話だけど、喫水線って、船の横っ腹の、水面の高さだ。
 で、喫水線が下がるとは、船が浮き上がっているということで、それでは船の重心が高くて転覆しやすいということなんだ。
「喫水線? だけど君は…、やけに船に詳しいね」
「父ちゃん、船乗りだから」
「そうか。だけどこの船の事なら私が責任を持ってきちんとやっているから、心配はいらないよ」
「ちがうちがう! 喫水線が下がって、空から見てたら、船が曲がるときに、傾き方も大きいし…」
「船を空から見た?」
「そうだよ!」
「冗談を言っちゃ困るよ。君は鳥のように空を飛べるのかね?」
「そうだよ」
「そんなバカな話があってたまるか!」
「それに、この先に強い低気圧が来てるよね」
「どうして君はそれを?」
「だからさっきから空から見てて、この船はバラスト水が少なそうで、だから喫水線が下がってて不安定そうで、だから危ないなって思ってたし、それでこのまま進めばあの低気圧の暴風雨に巻き込まれて、とてもヤバイと思ったんだ!」
「大丈夫だよ。低気圧はちゃんとレーダーで観測してあるし、衛星画像もあるし、そしてあの程度の風だったら、この船は平気だよ」
「ちがうちがう! さっき空から見たら、あの低気圧の中はすごく風が強いし、それに低気圧はすごく恐いぞって、父ちゃんいつも言ってるし、そしてきっとこの船は、この先の暴風雨に巻き込まれて転覆するんだ!」
「そんなバカな…」
「だけど、これは、俺の、カンだ!」
「カン? 君はそんないいかげんなことで、船長であるこの私に言いがかりをつけるのかね?」
「あ~、船長さん。確かにこの子は、すさまじいカンを持っている…」
 と、突然、茶トラ先生の声がして、ぼくが驚いて振り返ると、やっぱりそこにいたのは茶トラ先生だった。
「…わしはこれまで何度も見てきた。どうやらこの子は、ある特殊な予知能力を持っているらしいのです」
「この子が特殊な予知能力を? そんなバカな!」
「わしも空から双眼鏡で様子を見ておったが、ブリッジの入口あたりでもめておるようだったから、とりあえずスワンボートを着水させ、ロープで船に係留し、そしてロープを使って登ってきたんだ」
「ロープを使って登る? ああ、茶トラ先生は怪力だから…」
「一体あなたたちは、何を訳のわからんことをうだうだと言っておられるのですか? しかし私はあなたたちの、まったく訳のわからんたわごとに付き合っているような暇はない。とにかくあなたたちは船の操縦のじゃまになる。さてさて! おとぎ話はこのへんで終わりにして、まあまあお客さん方は船内で、ゆっくりとくつろいでいてくださいよ」
「船長さん! おれの言ってること、おとぎばなしなんかじゃないぞ! おれ、カンには絶対自信があるぞ。今までに何度も未来を予測して人を救ったんだ!」
「そうだ。この子にはすごい予知能力があるんだ。わしもそのことは良く知っておる。だから船が転覆するおそれがあるというこの子も言い分には、大いに信ぴょう性がある!」
「ねえ、船長さん、タイタニック号の事故の前、だれかが氷山にぶつかる可能性があるとか言ったのに、それを無視して、最速の記録を作るとか言って、船長が船をニューヨークまで爆走させて、で、夜中に氷山にぶつかったって話、知ってる?」
「船乗りのはしくれとして、当然そのような話は私もよく知っている。しかしバラスト水が少ないだの、喫水線が低いだの、暴風雨で転覆だの、ちょっとそれは言いがかりだ!」
「いいがかりもへったくれも、おれには分かる! この船はヤバイ! おれには予知能力があるんだ!」
「そうだ。この子の予知能力には、科学では説明の付かないものがあるんだ」
「そうだよ。この子、すごいカンを持ってるんだよ!」
「あ~~~もう~~~~、あなたたちは、もういいかげんに!」
「ねえねえ船長さん、だったらおれが本当に予知能力があるか、この船のカジノで試させてよ」
「えへん。あ~、残念ながらカジノは、19歳未満は入れない。君たちは小学生だろう。あ~、もちろんそちらの白髪で、虎もようのガウンを着られたお方は、小学生ではなかろうが」
「じゃ、おれが19歳以上になったら入れるのか? どうなんだ?」
「もちろん19歳か、それ以上になったらカジノに入る事を許可する。君も大きくなったら、またこの船に乗るといい」
「よしよし19歳だな。へへへ、じゃ待ってな、船長さん」
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