タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

文字の大きさ
94 / 121

デビル、船のカジノへ

しおりを挟む
 ぼくにも茶トラ先生にも、デビルが何を企てていたのかすぐに分かったので、ぼくらは速攻でスワンボートへ舞い戻り、スワンボートを3人で必死にこいで、あっという間に茶トラ先生の実験室へ戻り、ぼくとデビルは防護服を着てタイムエイジマシンに入り、どうせならと二人ともデビルのお父さんと同じ38歳になり、それから例の紅白のスーツに着替え、スワンボートでまたぶっ飛んで船へ戻り、それからデビルとぼくは、船長さんに38歳の姿を見せた。
 船長さんはぼくらを見るなりぽかんとしてしばらく固まっていたが、それから、「いいい、いつの間にそんな永い時が過ぎたのか…」とか言ってから、「それじゃ…、かか、カジノへ行って来るがよい」と言ってくれた。
「しかし速攻で防護服が役に立つとはな」
「タイムとエイジが連動してても、こうやって歳だけを変えられるようになって良かったよね」
「だいたい未成年じゃカジノ入れねえからな」
 それでぼくらは早速、船のカジノへと向かった。
 そもそもデビルは本質的には「悪がき」だったから、ゲームセンターなんかでは帝王として君臨していたらしいし、だからカジノへ行けば…
 それから、茶トラ先生は茶トラガウン、ぼくは赤の、そしてデビルは白のスーツを着て、豪華な船内を歩き、そのカジノへと向かった。
 とにかくそこはすごい豪華で、テレビで見たラスベガスみたい。
 もちろんデビルは目を輝かせ、
「おれ、ルーレット大得意だぜ!」とか言って、ルーレットのテーブルに付いた。
 ちなみにスワンボートで一度実験室へ帰った時、茶トラ先生は少々のドル札を持ってきていたので、早速これを元手にデビルはゲームを始めたんだ。
 例によって茶トラ先生は手際がいい。

 そしてぼくと茶トラ先生は、ルーレットなんてきっと下手くそだから、茶トラ先生はノンアルコールビールを買い、ぼくはジュースを買ってもらって、椅子に座ってデビルの様子を見ていた。
 それからデビルはしばらく、とても鋭い目でルーレットをじーっと観て、それからややあって、「よし!」と気合を入れてから、ある一つの数字に10ドルを賭けた。
 そしてディーラーがルーレットを回し、すると何と、球はデビルの賭けた数字の上でぴたりと止まった。
「やったぜ! 35倍だ!」
 デビルが言うように、10ドルは350ドルになったんだ。
 それからデビルは、またまた鋭い目でルーレットをじーっと見て、「これだ!」と言ってから、その350ドル全部を、また一つの数字に賭けた。
 それでディーラーがルーレットを回すと、またまた球はデビルの賭けた数字でぴたりと止まった。
 つまり350ドルの35倍。つまり12250ドルだ。
 それからデビルはまたしてもルーレットをじーっと観て、「よっしゃ!」と豪快に気合を入れてから、またまた一つの数字に賭け、ディーラーはけげんな顔をしながらルーレットを回すと、またまた球はその数字でぴたりと止まった! 
 それで、
  12250×35=何と約43万ドル!
 そしていつのまにか、他の乗客たちもデビルの周りに集まり、わいわいとすごく盛り上がっていた。
 それからデビルは、何とその43万ドルを全部、またしても一つの数字に賭け、そしてまた当たった。
 これで43万ドルの35倍=約1500万ドル!
 約15億円
 周りの人々からどよめきと歓声が上がった。
 それからデビルがその15億円を、またしても一つの数字に賭けようとしたら、ティーラーが待ったをかけた。
「あ~、もしや君は、何か不正でも…」
 だけどデビルは吠えた。
「やいやい! じょうだんじゃね~よ。おれは超能力者なんだ! だからおれは完璧に未来が予測できる。そしておれは予測している。この船は明日、嵐で沈没するんだ!」
 すると乗客たちの間で悲鳴が上がり、その場はてんやわんやの大騒ぎとなり、いつのまにか船長もとことことやってきて、それからディーラーがデビルの恐ろしい予知能力のいきさつについて、しっかりと説明をした。
 すると船長は、
「どうやら君が超能力者だということはよく分かった。なんたって、あっという間に子供から大人まで変身してみたり、ルーレットの結果を予測したり…、つまり君は預言者であり、同時に、魔法使いなんだな。分かったよ。君には敵わない。あ~、早速バラスト水と喫水線のチェックをしよう。それと、これから最寄りの港へ入り、低気圧の通過を待つことにしよう」

 豪華客船SOS 完
 次回から新しいエピソードへ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

処理中です...