タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

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タイムエイジマシンの調整を…

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「あ~、ちょっとばかりタイムエイジマシンに入ってくれんか。お前さんは格好の実験台なのだ。それで、あ~、少しばかりマシンの調整をやりたいのだ。それからちなみに、あ~、タイムとエイジは、ついこの間、切り離しに成功した」
 その日、豪快にひまだったぼくは、例のダサい無線機でいきなり呼びだされ、それで早速実験室へ行くと、タイムエイジマシンにはいろんなわけの分からない機械がごちゃごちゃと接続してあり、すごい配線が大蛇のようにぐりぐりと張り巡らされ、そしてその機械をいじりながら、茶トラ先生はぼくにこんなことを言ったんだ。
「そうなんだ。タイムとエイジ、切り離せたんだ。やったね! で、ぼくが格好の実験台? まあいいよ。どうせぼく、豪快にひまだったから」
「そうか。それはありがたい」
「で、何を調整するの?」
「時の制御機能を少しばかり調整するのだ。あ~、そもそも今日は、ちょっとばかり改良したのだ。もちろん時間の移動だけで、お前さんの年齢は全く変わらんはずだ」
「また魔改造したの?」
「魔改造ではなく、本来の機能に戻ったというべきだな」
「あはは、魔改造って認めたんだね」
 そういうとぼくは、タイムエイジマシンの中へ入り、カーテンを閉めた。
 それから少しして、マシンは動き出し、辺りがめまぐるしく明るくなったり暗くなったり、そしてやがて、寒くなったり暑くなったりしもし始めた。
 それで、これまたずいぶんと遠い未来へでも行っているのかなぁ、なんて気楽に思っていたけれど、ぼくはぜんぜん歳をとらず、それで、ああ、タイムとエイジの連動は解除されたのかな~なんて、これまた気楽に考えていると、しばらくしてマシンが止まった。
 それでマシンの中を見回すとなぜか妙に真新しくて、というかもう新品の証明写真みたいな感じで、それからぼくは真新しいカーテンを開け、外へ出てみると、なぜかそこはホームセンターの駐車場の隅で、駐車場にはなにやら古めかしい自動車が何台も止まっていた。
 そして振り返るとそれはもはやあの「タイムエイジマシン」ではなく、それは設置されたばかりって感じの証明写真だった。
 しかもまわりの人たちの出で立ちも、ジーンズとか長髪とか、何だか昔の映画を見るような感じった。
 だからぼくはとっさに、ここは過去、しかも何十年も昔だろうと思った。
(茶トラ先生ったら、やらかしてくれたかも。マシンを魔改造するから…)
 だいたい過去へ行ったら、いったいどうなることか。
 だってデビルと過去へ行ったとき、ぼくら酷い目に…
 だからとっさにぼくは考えた。
(たぶんこれはヤバいことになったぞ!)

 とにかくここが過去だったら、たぶんぼくはこの世界で思い切りシカトされるだろうと思ったけれど、案の定思い切りシカトされた。
 ぼくが昔のファッションの出で立ちの、周りの人々に話しかけてみても、それからホームセンターへ入って、試しにカーテンや鏡の買ってレジへ言っても、店員に話しかけてみても、ぼくはばっちりシカトされまくったんだ。
 だからカーテンも鏡も、元の場所へ戻してから、そっと店を出た。
 それからぼくは、その辺りをうろうろしていたけれど、よく見てみると、道路とか地形とか山とかの感じから、何となくここは、ぼくが住んでいる街だと分かった。
(いつの時代か分からないけれど、とにかく茶トラ先生の家へ行こう。それしかない)
 そう考えたぼくは、それから知っている道をてくてくと歩き、ぼくの住んでいる団地へ行ってみると、そこには団地建設中という看板があり、しかも団地の名前はぼくが住んでいる団地で、そしてブルドーザーなんかが忙しそうに動いていた。
 そしてぼくが呆然としていると、造成中の場所に隣接するように、何だか見覚えのある建物が見えた。
(やった! あれは茶トラ先生の家だ。きっと昔からあそこに建っていたんだ!)
 ぼくはそう思って少しだけ胸をなでおろし、それから茶トラ先生の家へ行ってみた。

 だけどそこは留守、というか思い切り誰もいないみたいで、裏へ回っても、窓なんかも全部閉まっていて、やっぱり空家という感じだった。
 それでもう一度玄関らしい場所へ行くと、そこには見覚えのある、番号式のカギが掛かっていた。
(そうだ。茶トラ先生の実験室の入り口にある、あの古めかしい番号式のカギだ!)
 ぼくはおもったけれど、だけどそれはすごく真新しかった。
(やっぱりここは過去なんだ。それもずっと遠い過去…)
 その真新しいカギを見て、ぼくはそう思った。
 そしてぼくはそのカギの開け方を知っていることを思い出したので、さっそくやってみたら簡単に開いた。
(茶トラ先生ったら昔から不用心なんだ)
 そう思って、それから中へ入ってみた。
(ドロボウと思われるかもしれないけれど、どうせぼくはこの世界で思い切りシカトされているから…)
 そう思いながら、それからぼくは、家の中を見て回った。
 やはり誰も住んでいなさそうだった。
 いろんなものがほこりをかぶり、雑然と置かれていた。
 だけどぼくがいろいろ見て回ると、状差しに郵便物が入れてあり、それはやっぱり茶トラ先生宛で、裏を見ると京都のとある国立大学からのものだった。
 それからぼくは、こんなことを思い出した。
〈昔はどこかのとても有名な国立大学の、たしか、物理の大先生だったらしい…〉
(そうか! 茶トラ先生はこの過去の時代、大学の大先生なんだ。そしてその大学は京都にあるんだ!)
 よし。京都へ行こう!
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