タイムエイジマシン

山田みぃ太郎

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で、どうやって運ぶ?

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 それからまた数日後、ともかく茶トラ先生はその「宇宙トラクタ」開発に成功した。
 たまたまぼくが遊びに行ったら豪快に完成していて、
「これは宇宙トラクタというんだ。定格推力は1トンだ!」
 なんてどや顔で言っていた。
 とにかくタタミくらいの太陽電池が1枚と、(きっと)扇風機のモーターを魔改造したモーターと、それからソラデンについていたイオンエンジンが合体したやつだ。
 全体だと結構な大きさになる。なんたって太陽電池がかさばるんだ。
 だからスワンボートで運ぶのは無理だし、タイムエイジマシンにも入らないし、そもそもタイムエイジマシンじゃ運びようもない。
「で、どうやって小惑星まで運ぶの?」
「だから『もっとすごい輸送機関を持っておる人がいる』と、この前わしは明確に言ったぞ!」
「へぇ~、で?」
「それは『アタゴの動く家』というもので、アタゴ先生が開発されたものだ」
「なんなのそれ?」
「とにかくすさまじい代物で、家ごと『どの時代へでも』『何処へでも』行けるというすさまじい代物なんだ」
 茶トラ先生がそういうと、なぜかタイミングよくドアがこつこつと音がして、それからアタゴ先生がドアを開け、手招きした。
 それでぼくらがドアの外に出ると、なんとアタゴ先生の家が隣に「建って」いた。
 たしかに『どの時代へでも』『何処へでも』だ。
 そしてアタゴ先生が「それじゃ早速」というと茶トラ先生が「お前さんも運ぶんだ」と言い、そういうわけで3人で宇宙トラクタ一式をよいしょよいしょと運び出し、いきなり隣に建っていたアタゴ先生の家の中に運び込んだ。
 そしてアタゴ先生の家の中にはなぜか宇宙服が3着あり、それは大人用が二つと子供用が一つ。
 それらはもちろんアタゴ先生が用意しているらしかった。
 そして茶トラ先生とアタゴ先生はさっさとその宇宙服を着て、茶トラ先生はぼくにも着るように言ったのでぼくも着たら、アタゴ先生が「それじゃ出発」と言って、家の中のコントロールパネルみたいなのを操作した。
 すると少ししたら窓の外が突然宇宙になり、それからさらに少しして、アタゴ先生が「着きましたよ」と言って、そして三人で家の外に出たら、そこは何と小惑星の上だった。
 それからまた3人で宇宙トラクタをよいしょよいしょと運び出し、小惑星の「地表」に設置し、それから茶トラ先生とアタゴ先生がいろいろ設定や調整をしていたようだけど、それが終わると宇宙トラクタを小惑星上に残し、またみんな家に戻り、そしてアタゴ先生がコントロールパネルを操作するとまた家は動き出し、そしてすぐに茶トラ先生の家の隣に着いた。(というか、『建った』というべきだ)
 それからみんな宇宙服を脱いで、ぼくと茶トラ先生は家を出て、そしてアタゴ先生がドア口から「それじゃ」と言って家に入ると、突然アタゴ先生の家が消えた。
「どうだ。アタゴ先生の『アタゴの動く家』はすごいだろう」
「あっけにとられていてよくわかんなかったけど、とにかく宇宙トラクタはアタゴの動く家で小惑星まで運んだんだね」
「そういうことだ。そしてこれからわしとアタゴ先生で協力して、宇宙トラクタを遠隔操作する」
「100年間も?」
「時々未来へ行ってやればいい。メンテナンスも簡単にできる」
「あっというまに行けちゃうもんね」
「そういうことだ」
「で、小惑星はどうなるの?」
「月の周回軌道にでも入れる予定だ」
「それじゃもう地球には落ちないんだね」

 また小惑星! 完
 著者より アタゴ先生の話のシリーズは摂著「おもしろSFショート」の中の「愛宕胃腸科の不思議な物語いろいろ」という章にたくさん掲載しておりますので、よろしければそちらもご覧ください。
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