おもしろSFショート

山田みぃ太郎

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失われた時 2

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 それから早速私たちは3人で、その私の友人の、つまり人を若返らせるという恐るべき機械つまりエイジマシンを発明された茶トラ先生という風変わりな先生の元へと向かった。ちなみにこの機械はタイムマシンの機能も備わっていて、だから合わせて「タイムエイジマシン」というのだ。ただしそのタイムエイジマシンのタイムマシンでは未来へ行ったり現代へ戻ってくることはできるが、過去へは戻れないらしい。その理由は定かではないが、そんなことはこれまたどうでもいい。だって過去へ戻るのなら、私が開発したタイム人力車があるし。
 さて、その方の家は倉庫のような場所で、茶トラ先生は「実験室」と呼んでおられるけれど、客観的にはどう見ても…
 まあ、そういうこともどうでもいい。
 で、古びた木材で出来たドアをコンコンと叩くと、抑揚の抑えられた渋いこんこんという音がして、それからややあって、小学校高学年くらいの男の子が顔を出した。
「ねえ茶トラ先生、奇跡的にお客さんだよ。珍しいね。ええと、じゃ、お入りください」
 その子がそう言うので私たち3人は中へ入った。
 その実験室とやらはやはり…、いやいやそれはもういい。
 ともあれそこには魔改造された証明写真の機械がどーんと置いてあり、その傍らに、豪快に黄ばんだ白衣を着た、アインシュタインのような風防の人物が私たちを出迎えてくれた。

 どうやらその「証明写真」が、人を若返らせるという恐るべき機械らしかった。
「これはこれはアタゴ先生。お久しぶりですな。で、今日はどういうご要件ですかな?」
「茶トラ先生、実は、あ~、ここにおられる方々の青春を…」
 私がそこまで言うと、ドアを開けてくれた小学生の子が、私の話を遮るようにしてこう言った。
「わかった! つまりここにある茶トラ先生が開発したタイムエイジマシンのエイジマシンを使って、こちらのおじいちゃんおばあちゃんを青春時代の姿に戻そうってわけでしょ。青春を取り戻したいんでしょ? ぼくわかるよ。ねえ茶トラ先生」
「まあアタゴ先生のご希望はそういうところだろうな。そうでしょう、アタゴ先生」

 そういう訳で、ここにいる人達は恐ろしく頭の回転が速く、それで茶トラ先生のところでは話は新幹線のN700Sのような速さでトントン拍子に進み、それでお二人はその証明写真を魔改造した、タイムエイジマシンとやらの中に入り、機械がうなると少しして、青春真っ只中の「若い二人」に変身して出てきた。
 それから数日後、旅支度を済ませたお二人は、希望される1970年代のとある場所へと、私の作ったタイム人力車でお連れすることになった。
「本当にありがとうございました。これからこいつと二人で、この時代この場所で、人生をやり直させて頂きます。ひょんなことから失われてしまった私たちの青春ですが、これで私たちは、私たちの失われた時を取り戻すことが出来ました」
 私はタイム人力車の傍らで、晴れがましい二人の後ろ姿を見送った。

「失われた時」 完
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