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友人のF君
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僕は将来の進路を変えることにした。
自分の能力では、それまで自分がいた世界で食べていくことは、もう困難だろうと考えたからだ。
それで大学もやめた。
そしてその新しい進路をめざし、受験勉強を始めた。
そして受験。
その頃は「共通一次試験」というものが行われていた。
しかし思うような点が取れず、それで僕は行き場を失った。
本当は、客観的に見れば、失った、という程ではなかったと思う。
だけど僕はビビッていたのだと思う。
だから「行き場を失った」と、勝手に思っていたのかもしれない…
とにかく大学はやめていたから後戻りは出来ない。
前へ進もうにも試験の点が足りない。
それなら二次試験で挽回すればいい。
そう思って勉強しようと思ったのだけど、僕は、
(どうして僕はこんなバカなことをやったのだろう…)
そんなことを考え始め、そのうちに全く勉強が出来なくなった。
朝から一日中悶々としていた。
二次試験まで一ヶ月半。
悶々となどしている場合ではない。
だけど勉強が手につかない。
それからあっという間に二週間過ぎた。
二次試験まで一ヶ月を切った。
とにかく僕は大学をやめ、しかも行き先も失いかけ、僕は社会の中で「居場所」を失ったような気がしていたのだ。
とにかく大学をやめたから、自分は「高卒」に戻された。
しかももう結構な歳だった。
どうやって生きていこう…
僕は途方にくれた。
自分は社会から削除されたような気分だった。
とにかく受験勉強をする気にもなれず、そしてある朝、ぼーっと散歩していた僕は、あるサラリーマン風の人とすれ違った。
なんとなく振り返って見てると、その人はとあるビルの中に入って行った。
(あの人には職場があるんだな。うらやましいな…)
僕は思った。
そしてそう思う自分か情けなかった。
僕の居場所がない!
自分は社会の中で存在意義がない。
どうしよう。
いっそのこと、死のうかな…
ふと僕はそんなことを考えた。
だけどその「死」というものが現実的になったとたん、僕はとても恐ろしくなった。
(やっぱり僕は臆病な人間なんだ。生きる道もないのに死ぬ道もない。どうしよう…)
最悪だった。
そしてそのとき僕はこんなことを思いついた。
(そうだ、献血でもしよう!)
献血でもして、限りなく無価値な自分だけど、微々たるものだとしても、社会に貢献しようと思ったのだ。
それで僕は県病院の隣にある献血ルームへ行った。
そして採血のためベッドに横になると、看護師さんがにこやかに言った。
「本日はお忙しい中、献血においで頂いてありがとうございます」
僕は忙しくなんかないのに!
居場所がなく、することもなく、無価値な自分なのに…
献血を終え、それから僕はどうせならと、臓器移植のドナーカードも作った。
(死のうかどうしようかなんて思っているし、どうせ死ぬのなら、このカードを持っていよう)
そして僕は、献血とドナーカードで何となく、ほんのちょっぴりだけど、自分が社会の中で微々たる存在意義が出てきたような気になり、それで僕はほんの少しだけ明るい気分になった。
ほんの少しだけど…
それから僕は友人であるFの家へと向かった。
彼は僕が進路変更する前の大学の同級生で、それから有名な大学の大学院に進学していた。
僕があきらめた世界で活躍しようとしていた…と、僕は思っていた。
彼は順風満帆だと、僕は勝手に思っていたのだ。
そして今日僕は彼から景気のいい話でも聞いて、それから世の中にほとんど居場所のない自分の愚痴でも聞いてもらって、そうやって慰めてもらおうかな…そう思っていたんだ。
気休めにでもなればと思って。
少しだけでも…
ところが彼の家に行くと、彼は思い切り落ち込んでいた。
(順風満帆…じゃなかったの?)
「俺、大学院のゼミについていけないんだ。ゼミでやっている議論に、全然ついていけないんだよ」
「え、お前ほどの秀才がか?」
「世の中、上には上がいると思い知ったよ。だから、せっかく入った大学院だが、俺はやめようかと思っているんだ。とにかくこのままあそこにいても、全く意味がない」
「全く意味がない?」
「そうだ!」
「うーん…」
「それに比べてお前さんはいいよ。新しい道、見付けてさ。受験勉強も順調なんだろう?」
(それにしても最悪の状態の僕のことがうらやましいだなんて!)
僕は思った。
そして僕は言った。
「そうでもないよ。俺だって…」
だけどその続きを言おうとしたとき、彼の深刻そうな表情が目に入った。
それで僕は、自分の境遇を言うことをためらった。
そして僕は続けた。
「そんなことより、お前、本当に大学院、やめるのか?」
「やめたいよ。それに、死にたいよ」
「死にたい?」
「情けなくて情けなくて。俺、バイクで走っててさ、対向車線にトラックが走ってたら、それがセンターラインを越してきて、そして俺のバイクにぶつからないかなって。そしたらどんなに楽だろうなって、思うんだ」
「何だって?」
「死ねたら楽だろうなって」
「そんなこと考えてたのか…」
順風満帆と思っていた彼が、最悪の状態。
とにかく僕と似たような境遇にあったことに、僕は驚いた。
そしてそのとき、どういう訳か僕は、中学のときの同級生が言った言葉を思い出した。
その同級生は当時、剣道部にいて、毎日鬼のように走らされていた。
そしてその同級生がある日、僕にこんな事を言ったんだ。
「俺、毎日毎日部活で走らされてるだろう。そんなとき俺は足元を見て走るんだ。決して遠くを見ないことにしているんだ。遠くを見ると、あのはるか遠くまで走らないといけない。そう思って絶望するんだ。だけど足元を見て走ると、少しずつ進んでるのが分かるから、そうすると、いつかきっとこの辛いランニングが終わるって思えるんだ。すこしずつだけど、前に進んでいるのだから…」
十年も前に同級生から聞いたその言葉を、僕は何故かその瞬間に思い出したんだ。
不思議だった。
とにかくその中学の同級生が言いたかったのは、足元を見れば自分が少しずつ進んでいるのが分かる。
少しでも進んでいれば、きっといつか、厳しい現状から抜け出せるときが来るにちがいない。
それから僕は彼にこう言った。
「俺が思うに、死ぬ、死なないを判断する基準は『今夜寝る場所がある』『今晩食う飯がある』でいいんじゃないのか? この二つの条件を満たしていれば、早速死ぬ必要はないんじやないのか?」
辛いとき、遠くを見てはだめだ。
足元を見よう。
そして少しでも前に進んでいれば、それでいいじゃないか。
自分の「足元」に、今夜寝る場所があり、今晩食うものがあれば、それで明日まで生き延びられるだろう。
とりあえずそれでいいじゃないのか。
とりあえず、今日は生きようよ。
死ぬかどうするかはまた明日、ゆっくり決めようよ。
それから僕は彼にそういう風な考えを伝えた。
すると彼は、
「今夜寝る家はあるし、晩飯は母さんが作ってくれるだろうしね」
彼がそういったので、僕はこう答えた。
「それでいいんじゃないの。とりあえず一日一日生きていくことじゃないの」
僕は彼にそう言って、それから、
「お互い大変だけど、まあ、ぼちぼちやろうな」
そう言って、それから僕は自分のアパートに帰った。
とりあえず一日一日生きていくことじゃないの…
それから帰り道、僕が彼に言った言葉が全て、まさに絶望的な自分に跳ね返ってきた。
そして僕は思った。
それが回答じゃないかって。
足元を見て走る。
少しずつでも前に進んでいればそれでいいじゃないか、と。
あれから数十年。
彼も僕も、それ相応の人物になり、それなりの人生を送れたと思っている。
自分の能力では、それまで自分がいた世界で食べていくことは、もう困難だろうと考えたからだ。
それで大学もやめた。
そしてその新しい進路をめざし、受験勉強を始めた。
そして受験。
その頃は「共通一次試験」というものが行われていた。
しかし思うような点が取れず、それで僕は行き場を失った。
本当は、客観的に見れば、失った、という程ではなかったと思う。
だけど僕はビビッていたのだと思う。
だから「行き場を失った」と、勝手に思っていたのかもしれない…
とにかく大学はやめていたから後戻りは出来ない。
前へ進もうにも試験の点が足りない。
それなら二次試験で挽回すればいい。
そう思って勉強しようと思ったのだけど、僕は、
(どうして僕はこんなバカなことをやったのだろう…)
そんなことを考え始め、そのうちに全く勉強が出来なくなった。
朝から一日中悶々としていた。
二次試験まで一ヶ月半。
悶々となどしている場合ではない。
だけど勉強が手につかない。
それからあっという間に二週間過ぎた。
二次試験まで一ヶ月を切った。
とにかく僕は大学をやめ、しかも行き先も失いかけ、僕は社会の中で「居場所」を失ったような気がしていたのだ。
とにかく大学をやめたから、自分は「高卒」に戻された。
しかももう結構な歳だった。
どうやって生きていこう…
僕は途方にくれた。
自分は社会から削除されたような気分だった。
とにかく受験勉強をする気にもなれず、そしてある朝、ぼーっと散歩していた僕は、あるサラリーマン風の人とすれ違った。
なんとなく振り返って見てると、その人はとあるビルの中に入って行った。
(あの人には職場があるんだな。うらやましいな…)
僕は思った。
そしてそう思う自分か情けなかった。
僕の居場所がない!
自分は社会の中で存在意義がない。
どうしよう。
いっそのこと、死のうかな…
ふと僕はそんなことを考えた。
だけどその「死」というものが現実的になったとたん、僕はとても恐ろしくなった。
(やっぱり僕は臆病な人間なんだ。生きる道もないのに死ぬ道もない。どうしよう…)
最悪だった。
そしてそのとき僕はこんなことを思いついた。
(そうだ、献血でもしよう!)
献血でもして、限りなく無価値な自分だけど、微々たるものだとしても、社会に貢献しようと思ったのだ。
それで僕は県病院の隣にある献血ルームへ行った。
そして採血のためベッドに横になると、看護師さんがにこやかに言った。
「本日はお忙しい中、献血においで頂いてありがとうございます」
僕は忙しくなんかないのに!
居場所がなく、することもなく、無価値な自分なのに…
献血を終え、それから僕はどうせならと、臓器移植のドナーカードも作った。
(死のうかどうしようかなんて思っているし、どうせ死ぬのなら、このカードを持っていよう)
そして僕は、献血とドナーカードで何となく、ほんのちょっぴりだけど、自分が社会の中で微々たる存在意義が出てきたような気になり、それで僕はほんの少しだけ明るい気分になった。
ほんの少しだけど…
それから僕は友人であるFの家へと向かった。
彼は僕が進路変更する前の大学の同級生で、それから有名な大学の大学院に進学していた。
僕があきらめた世界で活躍しようとしていた…と、僕は思っていた。
彼は順風満帆だと、僕は勝手に思っていたのだ。
そして今日僕は彼から景気のいい話でも聞いて、それから世の中にほとんど居場所のない自分の愚痴でも聞いてもらって、そうやって慰めてもらおうかな…そう思っていたんだ。
気休めにでもなればと思って。
少しだけでも…
ところが彼の家に行くと、彼は思い切り落ち込んでいた。
(順風満帆…じゃなかったの?)
「俺、大学院のゼミについていけないんだ。ゼミでやっている議論に、全然ついていけないんだよ」
「え、お前ほどの秀才がか?」
「世の中、上には上がいると思い知ったよ。だから、せっかく入った大学院だが、俺はやめようかと思っているんだ。とにかくこのままあそこにいても、全く意味がない」
「全く意味がない?」
「そうだ!」
「うーん…」
「それに比べてお前さんはいいよ。新しい道、見付けてさ。受験勉強も順調なんだろう?」
(それにしても最悪の状態の僕のことがうらやましいだなんて!)
僕は思った。
そして僕は言った。
「そうでもないよ。俺だって…」
だけどその続きを言おうとしたとき、彼の深刻そうな表情が目に入った。
それで僕は、自分の境遇を言うことをためらった。
そして僕は続けた。
「そんなことより、お前、本当に大学院、やめるのか?」
「やめたいよ。それに、死にたいよ」
「死にたい?」
「情けなくて情けなくて。俺、バイクで走っててさ、対向車線にトラックが走ってたら、それがセンターラインを越してきて、そして俺のバイクにぶつからないかなって。そしたらどんなに楽だろうなって、思うんだ」
「何だって?」
「死ねたら楽だろうなって」
「そんなこと考えてたのか…」
順風満帆と思っていた彼が、最悪の状態。
とにかく僕と似たような境遇にあったことに、僕は驚いた。
そしてそのとき、どういう訳か僕は、中学のときの同級生が言った言葉を思い出した。
その同級生は当時、剣道部にいて、毎日鬼のように走らされていた。
そしてその同級生がある日、僕にこんな事を言ったんだ。
「俺、毎日毎日部活で走らされてるだろう。そんなとき俺は足元を見て走るんだ。決して遠くを見ないことにしているんだ。遠くを見ると、あのはるか遠くまで走らないといけない。そう思って絶望するんだ。だけど足元を見て走ると、少しずつ進んでるのが分かるから、そうすると、いつかきっとこの辛いランニングが終わるって思えるんだ。すこしずつだけど、前に進んでいるのだから…」
十年も前に同級生から聞いたその言葉を、僕は何故かその瞬間に思い出したんだ。
不思議だった。
とにかくその中学の同級生が言いたかったのは、足元を見れば自分が少しずつ進んでいるのが分かる。
少しでも進んでいれば、きっといつか、厳しい現状から抜け出せるときが来るにちがいない。
それから僕は彼にこう言った。
「俺が思うに、死ぬ、死なないを判断する基準は『今夜寝る場所がある』『今晩食う飯がある』でいいんじゃないのか? この二つの条件を満たしていれば、早速死ぬ必要はないんじやないのか?」
辛いとき、遠くを見てはだめだ。
足元を見よう。
そして少しでも前に進んでいれば、それでいいじゃないか。
自分の「足元」に、今夜寝る場所があり、今晩食うものがあれば、それで明日まで生き延びられるだろう。
とりあえずそれでいいじゃないのか。
とりあえず、今日は生きようよ。
死ぬかどうするかはまた明日、ゆっくり決めようよ。
それから僕は彼にそういう風な考えを伝えた。
すると彼は、
「今夜寝る家はあるし、晩飯は母さんが作ってくれるだろうしね」
彼がそういったので、僕はこう答えた。
「それでいいんじゃないの。とりあえず一日一日生きていくことじゃないの」
僕は彼にそう言って、それから、
「お互い大変だけど、まあ、ぼちぼちやろうな」
そう言って、それから僕は自分のアパートに帰った。
とりあえず一日一日生きていくことじゃないの…
それから帰り道、僕が彼に言った言葉が全て、まさに絶望的な自分に跳ね返ってきた。
そして僕は思った。
それが回答じゃないかって。
足元を見て走る。
少しずつでも前に進んでいればそれでいいじゃないか、と。
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