オカルト・アポカリプス~人類なき後の地球における心霊現象の発生について~

紫 和春

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第32話 さすがに少し凹みました

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 瓦礫の山と化していた伽藍。近くにあった鐘楼も崩れており、鐘の上部がギリギリ見えている状態だった。

「あぁ、さすがにこういう場所もあるだろうなぁ……」

 遅れて境内の様子を見た小堀が、そのように言う。寺院のような宗教施設は、長い時間でも腐食や破損が生じないような工夫がされている場合が多いが、それでも鍾皇寺はそれに耐えられなかったようだ。

「みこね、こういうこともあるよ」

 目の前の現実に打ち震えているであろう九王に、ウッマが言葉をかける。

「えぇ……、そうですね……」

 九王は少し、しょんぼりとしていた。

「あー、そうだな……。ここからどうするんだ?」
「どうするって……?」

 小堀が九王に尋ねる。九王は泣きそうな顔を上げ、小堀を見た。

「建前上は環境測定をする。それは当然だ。それが終わったら……、心霊観測とかすればいいんじゃないか。ここはそういう場所なんだろう?」

 それは、小堀からの心霊観測の許しであった。九王のことを可哀そうに思った、彼なりの優しさである。
 そのことを理解した九王は、思わず小堀の腹部に向かって頭突きをして、彼の腰に手を回し、ガッシリと掴んだ。

「うぉあっ!?」
「なんでこういう時にそんなことを言うんですか……」
「い、いやぁ……。俺は九王君のことを思ってだな……」
「へぇ。小堀ってみこねのこと、そんな風に思っていたんだ……」
「はっ……」

 表情変化の機能が存在しないウッマだが、小堀にはなぜかニッコリと笑っているように見えた。しかもウッマの背後には鬼の形相も見えている。

「ちょっと待てウッマ! なんでお前が父親面しているんだ!?」
「僕は実質みこねの保護者みたいな立場だからね」
「だからって俺にその殺意を向けるのは違うだろうがっ……!」

 小堀が抵抗しようとするが、九王に腹部をホールドされているため、逃げることが出来ない。

「まっ、待ってくれウッマ……!」

 ウッマは小堀のうなじをガッツリと噛む。機械の体だが、重要な配線やらパイプが通っている重要な部分である。

「いぎゃぁぁぁ!」

 静かな世界に小堀の叫び声が響き渡る。
 ウッマからの制裁も受け終わり、九王たちは境内の中を歩き回る。

「かなり酷いですね」
「こりゃ風化ではなさそうだな。外部から強い力を受けたようにも見えるぜ」
「そうなると、地震の影響かなぁ?」

 そんな話をしつつ、一行はとある建物のそばを通る。
 すると、瓦礫の中からカランという音が響いた。

「っ!?」

 その音に小堀は体がビクッとなり、九王は視線を向けるのみだった。

「どうしたの? 何か聞こえた?」

 ウッマは聞こえてなかったようで、九王たちに尋ねる。

「何か、乾いた木材同士がぶつかる音が聞こえた気がしたんですが……」
「いやした! 絶対した! 間違いないって!」

 小堀は及び腰のように、やや腰が引けている状態で叫ぶ。今すぐにでもこの場から逃げ出したいのだろう。
 九王は音が鳴ったほうを見て、何か考えている。
 そして瓦礫に近づいていった。

「お、おい、何しようとしてるんだ?」

 小堀の疑問にも答えず、九王は瓦礫の山に登っていく。そして瓦礫をどんどんどかしていく。

「なぁ、何か言ってくれよ……」

 小堀が不安になっていると、九王が何かを見つける。

「これ! もしかして呪物ってヤツですか!?」

 そういって取り出したのは、50cmくらいの日本人形である。

「うわぁ! もろに怖い物を取り出すな!」
「えー? いいじゃないですか、なんだか可愛く見えますし」
「やめろー! 人形系は一番幽霊が入り込みやすいヤバい形なんだぞ!?」

 小堀が絶叫する。それだけ人形には何か思い入れがあるのだろう。

「他に探してみれば、色々な呪物が見つかるかもしれません!」
「今すぐそこから離れろッ! 呪いが感染しうつってしまうぞーッ!」

 小堀は思わずキャラが変わってしまうほど、呪物という恐怖に怯えていた。
 そんな小堀を無視して、九王は瓦礫の山を崩していく。
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