異世界でエルフに転生したら狙われている件

紅音

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10.『黄色』

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(※アルフレイドsideに戻ります)



「……なんでここにいるんだ…、その姿は…?」

シークは困ったように肩を竦めて、現れたリヒトを見た。

「…ハルカが、シーク兄ちゃんの部屋で死んでいた。兄ちゃ――いや、シーク。あんたが殺したんだろ?」

「……あー、バレた?…それは困ったなぁ。おかげで、お前まで殺さなきゃいけなくなったじゃないか。」

「…殺される前に、…オレが、あんたを殺してやるよ…!」

ダッ、とリヒトが床を強く蹴り、シークに飛びかかった。

シークは余裕そうな笑みを浮かべた――が、リヒトがシークに向かって一歩踏み込むと、二人の間合いが一気に詰まり、リヒトの拳がシークの腹に直撃した。

「なっ…!?…カハッ……ァ…!!」


後方へ一直線に吹っ飛んだシークの体が、部屋の壁に叩きつけられる。

「アル、逃げるぞ!」

シークに隙が出来たうちに、こちらに来たリヒトが僕の手足に戒められた拘束具をなんと素手で破壊し、台の上から僕を降ろした。


「どうして、ここが…?」

「臭いだ。シークの臭いを辿ってきたら、ここに行きついた。」

「臭いって…、…あれ、?……なんか、気持ち悪…い…」


早く逃げなくてはいけないのに、突然足元がふらついて、かくりと膝が折れる。

うまく力の入らなくなった僕の体は、そのまま床に倒れた。

「おい、どうしたんだよアル!…さすがに俺じゃお前を運べねぇ、しっかりしろよ!!」

リヒトが僕の肩を揺さぶり、必死に声を掛けてくれる。

まるで、魔力を使いすぎて倒れるときと同じような気分だ…。


背後から、シークが近付いてくるのが分かる。

僕は壁に手をついて、立ち上がろうと足に力を入れた。
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