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天使のカルテット
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2月のとある日、多きな段ボールを抱えて歩いて行く四人。早朝にも関わらず、彼らが人目を惹くのは、その出で立ちのせいではなかった。まるで歌舞伎役者を思わせるような切れ長の目に黒髪の美男子二人は、伊達政樹と伊達将悟。政樹の横には、西洋人形のような赤毛にグリーンの瞳がかわいい顔立ちの小柄な少年が、将悟の側には、ハニーゴールドの髪にサファイア色の瞳をした宗教画の天使を思わせる美少年が、並んで歩いていた。
皆、バラバラに歩いても、人は振り返らずにはいられないだろう。
「ああ、またあの日がやってきたな。」
将悟が呟く。
「ああ...。」
政樹はぶっきらぼうに答えた。政樹と将悟は従兄弟だが、さほど仲がいいわけではない。特に、政樹にとって将悟は目障りな存在だった。
赤毛の美少年が、政樹に尋ねた。
「あの日って何?何で今日は、こんなに早く行くの?」
「行けば解る。ったく、毎年毎年、面倒なこった。」
政樹の話方は、大抵こんな感じだが、今日は幾分、機嫌が悪いようで、かわいい相方の質問にも、ぶっきらぼうに答えていた。
「お前が、ふてくされるのも解るが、開けないわけにはいかないからな。放って置けば大変なことになるだろう?」
「だから、何が大変なの?」
「そういえば、ミシェルもティリーも初めてだったな。」
「ああ、そうだな...、今年は、そうとうだろうな。ミシェルもだが、そいつは半端なさそうだ。」
「俺も、そう感じてる。本人は気付いてなさそうだがね。」
将悟は、自分の横で眠そうに歩いている美少年を見つめて笑っていた。彼は、早くに起こされ、まだ目覚めきっていないのか、眠そうな目を擦りながら、将悟に寄りかかるようにして歩いていた。そんな訳で、三人の会話など聞いてはいなかった。
彼らはいつもこんな風に登校している訳ではない。同じ学校の同じクラスで、寮生活をしている彼らは、顔を合わせないことがないが、政樹は、できれば将悟と関わりたくないと思っているし、その事は、将悟も感じていたので、できるだけ避けるようにしていた。それでも、この日だけは、ある事情によって一緒に登校したければなかった。
皆、バラバラに歩いても、人は振り返らずにはいられないだろう。
「ああ、またあの日がやってきたな。」
将悟が呟く。
「ああ...。」
政樹はぶっきらぼうに答えた。政樹と将悟は従兄弟だが、さほど仲がいいわけではない。特に、政樹にとって将悟は目障りな存在だった。
赤毛の美少年が、政樹に尋ねた。
「あの日って何?何で今日は、こんなに早く行くの?」
「行けば解る。ったく、毎年毎年、面倒なこった。」
政樹の話方は、大抵こんな感じだが、今日は幾分、機嫌が悪いようで、かわいい相方の質問にも、ぶっきらぼうに答えていた。
「お前が、ふてくされるのも解るが、開けないわけにはいかないからな。放って置けば大変なことになるだろう?」
「だから、何が大変なの?」
「そういえば、ミシェルもティリーも初めてだったな。」
「ああ、そうだな...、今年は、そうとうだろうな。ミシェルもだが、そいつは半端なさそうだ。」
「俺も、そう感じてる。本人は気付いてなさそうだがね。」
将悟は、自分の横で眠そうに歩いている美少年を見つめて笑っていた。彼は、早くに起こされ、まだ目覚めきっていないのか、眠そうな目を擦りながら、将悟に寄りかかるようにして歩いていた。そんな訳で、三人の会話など聞いてはいなかった。
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