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第一章 ゲームスタート

第五話~会敵~

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ドッ......ドッ.....ドッ....ドッ..





近づいてくる物音。

かなりの重量感が音からでも感じ取れる。





ドッ..ドッ



弧を描いている廊下の先に、ようやく物音の正体を捉えることが出来た。





人だ。





奴も俺を捉えたのであろう。

その場で立ち止まる。

あの重くずっしりとした音は、この状況から察するに奴の足音だったのだろう。

とても人の足音とは思えなかったが、あの体格を見れば納得だ。



常識外れの身体の太さ。一番細いであろう腕ですら丸太ほどはあるだろう。

身長はおそらく2メートルは軽く超えてる。

こんな体型はプロのボディビルダーでも見たことが無い。

そんな奴が、パンパンに膨れ上がり所々ビリビリに破れている学ランを纏っているのだから、なおさらこの状況が受け入れられない。

手には...その体型のせいで、とても貧弱に見えてしまう木製のバット。

あんな体型のやつがバットなんて使ったら1回で簡単に折れてしまうのではないか?





奴はこちらをじっと見つめながら一歩踏み出す。

威圧感に圧倒されていた俺はようやく我に返る。





ドッドッドッドッドッド!!





踏み出した一歩からダッシュでこちらに近づいてくる。

手に持ったバットを構えながら。





「......ッ!!!」





確実に俺を標的として捉えた行動だ。

反射的に反対方向へ全力で走り始める。





アイツはプレイヤーなのか!?

NPCなのか!?

やられたらどうなる!?





わからない...恐い...逃げるんだ...!



「ハァ..ハァ..」





200メートルほど走っただろうか。

廊下はまだまだ行き止まりにはならなさそうだ。

不幸中の幸いか。

だがどうする?どこに逃げれば!?





「ハァハァ..ハァ」





ヤバい。身体の限界が近づいてくる!

奴は!?



全力で走りながら一瞬後ろを確認する。



奴との距離は50メートルほどか。

縮まってはいないが離せてはいな..

ドゴォ!!!!





突如胸に何かで殴られたような強い衝撃が走る。

体勢も崩れ地面に転がってしまっている。





「ガハッ...」



息が...出来ない...





体勢が崩れた時、奴の方を向いて倒れたのだろう。

奴が近づいてくるのが見える。それと一緒に俺と奴との間に小柄な女子が俺と同じように倒れているのが視界に入る。

状況が理解できないままだが、目の前まで迫ってきた奴がバットを振りかぶっているのは分かった。







あぁ、これでゲームオーバーか。

俺はゆっくりと目を閉じた。







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