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婚約者と幸せになりたいと思ってましたが、結果彼だけが不幸になりこの地を去りました。<後>

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「あの家に住んでいるのは、城の王子を自分のものにしようとした悪女だ。元は城に仕えていた使用人の女だが、王子に恋するあまり周りの女を敵視てきしするようになり…終いには怪しい呪術を用い呪い殺そうとまでした。それに恐れをなした王子は彼女を城から追い出し、あの屋敷に住まわせたんだ。」

「だからこの辺りの者は、あの女を呪いの魔女と呼んでいるの。」

「じゃあ初めて会った時、俺を王子だと、迎えに来てくれたと言ったのは…。」

「あの女はまだ王子の事を諦めてはいない。その虚しさや寂しさを、お前という男で埋めているのだろう。そこでだ…お前に王子からの命を言い渡す。あの女と共に、この地を出て行くがいい。」

「それはまさか…追放ついほうという事か!?」

「そうだ、この先ずっと王子に代わりお前があの女の相手をするんだ。別に嫌ではないだろう?お前は彼女に、いつも愛をささやいていたと言うじゃないか。」

「お、俺にはせっかく手に入れた今の地位が…それにもうすぐ彼女と結婚を─」

「私、もうあなたと結婚はしません。婚約は破棄させて貰います。」

「何!?」

「あなたが女の、しかもあの魔女の所に行ってるなんて思いませんでした。あんな恐ろしい女と愛を交わしていた男と結婚?冗談じゃないわ。それに父も大変なお怒りです、お前のような男はどこへなりとも行ってしまえと。罪人と浮気者…中々お似合いだと思うわよ?」

「そ、そんな…俺は心を入れ替える、だから─!」

※※※

 彼は涙を流し反省の言葉を述べたけど、私はそれを受け入れなかった。

 浮気男なんて要らないし、何より王子の命令だもの…逆らって私まで罰を受けるのはご免だわ。
 
 結局彼は、あの女と共に辺境へんきょうの地へと追放された。
 荒れた土地に建てられた小屋に、彼女と2人ひっそりと暮らしているそうよ。

 出来心で浮気しこんな結果になった事を毎日なげいていると、国の使者が言っていた。
 私はその話を、新しい婚約者が決まった後に聞いた。
 
 2人揃って幸せになりたいと思ってたけど…結局幸せになれたのは、私だけだったみたいね─。
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