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私を裏切った婚約者と虐げた愛人ですが…王の命により、揃って罰を受ける事になりました。
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「お前たちは、この国から永久追放する!」
「そ、そんな…。」
王の前で震える、私の婚約者であった男とその愛人。
そんな助けを求める目で見られても、私は知りません─。
※※※
それは、ある日の事だった。
私の婚約者が、一人の美しい娘…愛人を家に連れて来た。
「素敵なお屋敷…本当に、ここに住んでいいの?」
「勿論!君の部屋も用意してある。それと…君の世話は彼女がやるから。だから、何でも命令してやってくれて構わない。」
愛人を住まわせる事もだけど、世話もだなんて…そんなの、聞いてないわ─。
「あなたが…?私に逆らったら、お仕置きだからね!それが嫌ならちゃんと尽くしなさい、この平民女!」
そしてそこからは、まさに地獄の様な日々だった。
彼女は気位が高く傲慢で…自分の思い通りにならないと、すぐ私にお仕置きだと言って暴力をふるう。
だけど…私が平民の娘だからという理由で、全く罪の意識を持って居ない。
そして、私が悲しみと苦しみの涙を流すのを見て、愛人だけでなく、次第に彼もその暴力に加わる様になっていった。
そしてそんな事を何度も繰り返す内…私は、ついに我慢の限界を超えた。
こんな生活もう嫌…こんな人達、大嫌い…!
私を、何だと…一体、誰だと思って居るのよ─!
するとその時、私は全てを思い出した─。
※※※
「あ、愛人くらいでそのような重い罰を…。何故王は、この女の肩を持つのです!」
「彼女は私の妹が産んだ娘だからだ。彼女は幼い頃に王族同士の争いに巻き込まれ…それから逃れる内に行方不明となり、そしてある平民に拾われここまで育てられた。だがその体には、立派に王族の血が流れている。」
「そ、そんな…。」
「私はあなた達への激しい怒りで、忘れていた過去の記憶を取り戻した。そしてそれと同時に体の…胸に、この王家の紋章の痣が浮き上がった。王家の者達は皆、体のどこかにその痣を持って居るから…これが、何よりの証拠となったのです。」
「その娘に対し、よくもそんな酷い仕打ちをしてくれたな。お前たちには、不敬罪で罰を与える!」
「王様…私はこの男に唆されただけで─」
「嘘です!あなたの方が率先して私に暴力を振るったでしょう、平民女だと見下して何度も…。嘘を付けば、より罪が重くなりますが…それでも構わないと言うの?」
「そ、それは…。」
「言い訳はもうよい、お前たちの様な者の顔は見たくない。二人揃って、死の砂漠へと追放する…さっさと城から出て行け!」
「い、嫌だ、助けてくれ─!」
「お願い、許して─!」
※※※
こうして二人は城を叩き出され、死の砂漠へと連れて行かれた。
あそこは、一面砂しかない場所。
しかも、恐ろしい魔物が現れる事もあると言われている。
そんな所に放り出され、二人は今頃は…。
まぁ、もう私には関係のない話ね。
記憶を取り戻した私は、あれから王族の娘として生活を送っている。
あの二人に虐められていた時と違って、食事もちゃんと与えられるし、汚い服を着させられる事もないし、勿論暴力も振るわれない…毎日がとっても幸せだわ。
何より…私には、素敵な婚約者ができた。
彼は私の事を一番に考え、他の女には見向きもしない誠実で真面な方だ。
あの時、二人の事を許せない自分が居て良かった。
そのおかげで記憶を取り戻し、こうして幸せを手にする事が出来たのだから─。
「そ、そんな…。」
王の前で震える、私の婚約者であった男とその愛人。
そんな助けを求める目で見られても、私は知りません─。
※※※
それは、ある日の事だった。
私の婚約者が、一人の美しい娘…愛人を家に連れて来た。
「素敵なお屋敷…本当に、ここに住んでいいの?」
「勿論!君の部屋も用意してある。それと…君の世話は彼女がやるから。だから、何でも命令してやってくれて構わない。」
愛人を住まわせる事もだけど、世話もだなんて…そんなの、聞いてないわ─。
「あなたが…?私に逆らったら、お仕置きだからね!それが嫌ならちゃんと尽くしなさい、この平民女!」
そしてそこからは、まさに地獄の様な日々だった。
彼女は気位が高く傲慢で…自分の思い通りにならないと、すぐ私にお仕置きだと言って暴力をふるう。
だけど…私が平民の娘だからという理由で、全く罪の意識を持って居ない。
そして、私が悲しみと苦しみの涙を流すのを見て、愛人だけでなく、次第に彼もその暴力に加わる様になっていった。
そしてそんな事を何度も繰り返す内…私は、ついに我慢の限界を超えた。
こんな生活もう嫌…こんな人達、大嫌い…!
私を、何だと…一体、誰だと思って居るのよ─!
するとその時、私は全てを思い出した─。
※※※
「あ、愛人くらいでそのような重い罰を…。何故王は、この女の肩を持つのです!」
「彼女は私の妹が産んだ娘だからだ。彼女は幼い頃に王族同士の争いに巻き込まれ…それから逃れる内に行方不明となり、そしてある平民に拾われここまで育てられた。だがその体には、立派に王族の血が流れている。」
「そ、そんな…。」
「私はあなた達への激しい怒りで、忘れていた過去の記憶を取り戻した。そしてそれと同時に体の…胸に、この王家の紋章の痣が浮き上がった。王家の者達は皆、体のどこかにその痣を持って居るから…これが、何よりの証拠となったのです。」
「その娘に対し、よくもそんな酷い仕打ちをしてくれたな。お前たちには、不敬罪で罰を与える!」
「王様…私はこの男に唆されただけで─」
「嘘です!あなたの方が率先して私に暴力を振るったでしょう、平民女だと見下して何度も…。嘘を付けば、より罪が重くなりますが…それでも構わないと言うの?」
「そ、それは…。」
「言い訳はもうよい、お前たちの様な者の顔は見たくない。二人揃って、死の砂漠へと追放する…さっさと城から出て行け!」
「い、嫌だ、助けてくれ─!」
「お願い、許して─!」
※※※
こうして二人は城を叩き出され、死の砂漠へと連れて行かれた。
あそこは、一面砂しかない場所。
しかも、恐ろしい魔物が現れる事もあると言われている。
そんな所に放り出され、二人は今頃は…。
まぁ、もう私には関係のない話ね。
記憶を取り戻した私は、あれから王族の娘として生活を送っている。
あの二人に虐められていた時と違って、食事もちゃんと与えられるし、汚い服を着させられる事もないし、勿論暴力も振るわれない…毎日がとっても幸せだわ。
何より…私には、素敵な婚約者ができた。
彼は私の事を一番に考え、他の女には見向きもしない誠実で真面な方だ。
あの時、二人の事を許せない自分が居て良かった。
そのおかげで記憶を取り戻し、こうして幸せを手にする事が出来たのだから─。
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