私を裏切った婚約者は、一生囚われの身に…裏切られた私は、無事に幸せを手にしました。

coco

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私を裏切った婚約者は、一生囚われの身に…裏切られた私は、無事に幸せを手にしました。

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 もうすぐ、私の誕生日パーティーだ。
 
 そこで招待客に、近く結婚式を挙げる事に決まったと発表する事になって居た。
 
 私は、その日が来るのが待ち遠しかった。

 と、同時に…私には一つ気掛かりな事が─。

※※※

 結婚か…気が重いな。
 本当は、誕生日パーティーも面倒だし…でも、あいつの親はそういう事にうるさいからな。
 
 あいつの父親の機嫌を損ねると、俺の社会的地位も揺らぐ事になりかねない…家同士の婚約というのは、中々に面倒だ。

 そして結婚をすれば、益々気が抜けなくなる。
 
 だから…俺は、他に安らげる場所を求めた─。

 俺はいつものように、町外れにある一軒の家を訪ねた。

 そこには、若く美しい娘が一人で暮らしていた。

 窓辺に佇むその娘の美しさに目を奪われ、思い切って家を訪ねたのが全ての始まりだった。

 そこには、何故か数人の見張りが居たが…俺はその目を盗み、彼女に近づいたのだ。
 
 そして突然の来訪者の俺を、彼女は拒まなかった。
 
 それどころか…俺の訪れを喜び、もてなしてくれた。

 その日から、俺は彼女の元にこっそりと通うようになった。
 
 勿論…婚約者には秘密だ─。

※※※

 最近彼が、こっそり家を出て、どこかに出かけているのには気づいていた。
 
 結婚式前の僅かな自由を楽しんでいるのだろう…あまり縛り付けるのもどうかと思い、私は咎める事が出来ずに居たが…まさか、あの家に行っていたなんて。

 神殿から使者が訪ねて来て、大事な話があると言うから何かと思えば─。
 
 あの家がどうしてあんな町の外れに建てられているのか、どうしてあの娘が一人きりであんな所に住んでいるのか…あなたはこの地新しく入って来た人だから、知らなかったのね。

「あなた…あの呪われた元聖女の所に行っていたのね。」

「呪いの元聖女…?」

「あの家に住んで居るのは、城の王子を自分のものにしようとし、聖女の道を踏み外した女です。彼女は王子の妃候補を、神殿に封じられた邪神を利用し、その命を狙った罪人です。」

「何!?」

「しかも彼女は、その邪神によってその身も心も穢れてしまい…その為に、あの家に押し込められたのです。あそこには…神具がいくつか置かれて居て、そこに住む事でその穢れを落とすのです。」

「た、確かにあそこには妙な道具が置かれていた。まさか、あれが…。」

「彼女があなたをもてなしたのは…彼女に憑いた穢れが、同じく穢れた魂を持つあなたを求めた為でしょう。ところであなた…あの女と交わりましたね?」

 私の言葉に、彼はビクリと肩を揺らした。

「実は、先程訪ねて来られた神殿の使者から教典を頂きまして…そのおかげか、あなたの身体は勿論、魂までもが酷く汚れて見えるようになりました。ですから、あなたはあの女と関係を持ったのだろうと─。私…そんなあなたとは、もう結婚しません。今日もって、婚約は破棄させて貰います。」

「え!?」

「あんな恐ろしい女と愛を交わした男と、結婚など出来る訳ありません。それに…この件に父も大変お怒りです。後は罪人と浮気者で、仲良くやればいいと。」

「俺は心を入れ替える、だから─!」

※※※

 彼は涙を流し、反省の言葉を述べたが…その後、神殿の使者にあの女の元へと連れて行かれ…一生あの家で暮らす事となってしまった。

 神殿の使者曰く、これ以上邪神の穢れを広めてはならないという事で、このような結果になったのだ。

 出来心で浮気し、こんな事態を招いた事を、彼は毎日嘆いていると、後に神殿の使者が教えてくれた。
 
 そして私は、その話を新しい婚約者が決まった日に耳にした。

 私はあの出来事以降、その神殿に通うようになり…今度こそいい縁を結びたいと、その神殿に祀られる神に祈って居たのだ。

 どうやら…神は無事に、私の願いを聞き届けてくれたらしい。
 
 あの男と、揃って幸せになれたらと思ってたけど…結局幸せになれたのは、私だけだったわね─。
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