怖気怪談。SS集

coco

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白いブラウス

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 Aさんはある日、古着屋さんで白いブラウスを購入しました。
 
 家に帰り、早速着てみようと袋から出すと、胸元に赤黒いシミのようなものがわずかに付着していることに気づきました。
 おかしいな、買う時にちゃんと汚れがないか見たんだけど…。

 Fさんは不思議に思いましたが、少しの間漂白剤ひょうはくざいけておけば落ちるだろうと考え、さっそくそれを実行しました。
 ところが、そのシミは落ちるどころか、余計に広がってしまったのです。
 しかも、赤黒かったものが、真っ赤に変わっています。
 
 何だか血みたいだ、Fさんはそう思いました。
 乾いていた血から、今流したばかりの血に変わったみたい。
 まるで、このブラウスから血が流れているようだ…。

 そう思ったFさんは怖くなり、夜の間そのブラウスをベランダに干しておくことにしました。

※※※

 翌朝Fさんが朝食をとるために台所に行くと、妹が先に席についていました。
 妹はぼんやりとした様子で、ご飯を食べています。
「どうしたの、寝不足?」
 Fさんが訪ねると妹はこう答えました。
 
「昨日寝てたら、ベランダから変な声が聞こえてきてさ…痛い、痛いって女の人が泣いてる声。それでカーテンを開けて外を見たんだけど、誰もいないの。それであんまり眠れなかった。」
 
 驚いたFさんは、ベランダに干してあるブラウスを見に行きました。
 すると昨日見たシミはどこにもなく、真っ白なブラウスがただ静かに風に揺れているだけでした。
 しかしFさんは何か不吉な予感がして、そのブラウスを供養に出したそうです。
 
 その後は、特に変わったことは起きていないと言います。
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