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I高校 ③
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三つ目の体験は、彼女が文化祭の準備で、数人の友人と放課後まで学校に残り作業をしていた時のことです。
体育館前の広場で劇に使う大道具を組み立てていると、どこからともなく視線を感じたそうです。
手を止めきょろきょろとあたりを伺ってみても、彼女たちの近くには誰もいませんでした。
気のせいかと思い作業を始めると、またどこからか視線を感じます。
そしてまたあたりを見回しても誰の姿もありません。
「ねえ・・・誰か見てない?」
「私もそう思ってた、でも姿が見えないし勘違いかと思って言えなかった。」
そのため彼女も、自分もそう感じていたことを告げ、みんなで一緒に視線の主を探そうということになりました。
建物の陰に隠れて見てるのかも、誰かのストーカーだったらどうしよう、などと話をしながらみんなで近くを歩いて探しました。
しかし誰も見つけることができす、残りの作業は明日に回してもう帰ろうとなったそうです。
だいぶ暗くなったねとみんなで空を仰ぎ見た瞬間、一人の子が「ギャー!」と声を上げました。
びっくりしたみんながどうしたのと尋ねると、その子はあそこ、あそこと震える手で体育館近くにある樹木を指さしました。
そこには自分たちが探していた視線の主がいました。木
木の葉と葉の間から、大きく見開かれた眼がこちらを睨みつけていたのです。
血走り瞬き一つせず、こちらを見つめる眼。
周りの友達もそれに気づいたようで、悲鳴を上げたり座り込んだりしています。
彼女は変質者が自分たちを覗いていると思い、すぐに先生を呼びに行こうと第一発見者の友達の手を引きました。
しかし友達は動きません。
そしてこう言ったのです。
「変質者じゃない・・ていうか、あれ人間じゃないよ。だって眼だけしか見えてない。体が無いよ。」
そう言われ、彼女はハッと気づきました。
今の季節は秋、枝につく葉もまばらになり始めた状態でどうして眼しか見えないのか。
木に登り隠れて覗き見ているなら、葉が落ち空けた枝の間から手や足が見えていいものなのに、眼だけしか見えてないのはおかしい。
何よりおかしいのは、薄暗くなり近くの友達の顔さえぼんやりとして見えるというのに、どうしてその眼だけはこんなにもハッキリ見えるのか。
彼女は友達の手を引き他の子にも声をかけ、体育館へと逃げこみました。
そこは部活動の最中で顧問の先生もみえた為事情を説明すると、すぐに外に出てその木を確認してくれたそうです。
しかしそこにはもうそんな眼はなく、誰の姿も見つけることはできなかったそうです。
そして戻ってくると彼女たちにこう説明したそうです。
「あんな高いところに登って降りて逃げるなら、梯子がないと無理だな。でも、梯子の跡や足跡も見つからなかった。わずかな時間に跡を消して梯子を担いで逃げるなんて、普通はできないだろうな。まあ…この学校だしな、そういうおかしなこともあるだろう。」
※※※
これらの話を聞いて、私は彼女に質問しました。
こんなに怖い体験をして、霊感があるんじゃないの?と。
彼女が言うには、もともとは何も感じないし見ることもなかったそうです。
I高校に入学してから、変なものを感じたり見るようになったそうです。
そしてそのような変化は自分だけではなく、周りにも同じような子が何人もいたといいます。
そして学年が上がるにつれ、ますますその頻度は増えていったそうです。
しかし高校を卒業してからはいわゆる心霊体験というものは減っていき、今はもう何もないとのことでした。
「あの場所が、怖いものを呼んでるんだよ。私は一時そこに足を踏み入れた、だから見えたんだろうね。」
彼女はそう言って、話を締めくくりました。
体育館前の広場で劇に使う大道具を組み立てていると、どこからともなく視線を感じたそうです。
手を止めきょろきょろとあたりを伺ってみても、彼女たちの近くには誰もいませんでした。
気のせいかと思い作業を始めると、またどこからか視線を感じます。
そしてまたあたりを見回しても誰の姿もありません。
「ねえ・・・誰か見てない?」
「私もそう思ってた、でも姿が見えないし勘違いかと思って言えなかった。」
そのため彼女も、自分もそう感じていたことを告げ、みんなで一緒に視線の主を探そうということになりました。
建物の陰に隠れて見てるのかも、誰かのストーカーだったらどうしよう、などと話をしながらみんなで近くを歩いて探しました。
しかし誰も見つけることができす、残りの作業は明日に回してもう帰ろうとなったそうです。
だいぶ暗くなったねとみんなで空を仰ぎ見た瞬間、一人の子が「ギャー!」と声を上げました。
びっくりしたみんながどうしたのと尋ねると、その子はあそこ、あそこと震える手で体育館近くにある樹木を指さしました。
そこには自分たちが探していた視線の主がいました。木
木の葉と葉の間から、大きく見開かれた眼がこちらを睨みつけていたのです。
血走り瞬き一つせず、こちらを見つめる眼。
周りの友達もそれに気づいたようで、悲鳴を上げたり座り込んだりしています。
彼女は変質者が自分たちを覗いていると思い、すぐに先生を呼びに行こうと第一発見者の友達の手を引きました。
しかし友達は動きません。
そしてこう言ったのです。
「変質者じゃない・・ていうか、あれ人間じゃないよ。だって眼だけしか見えてない。体が無いよ。」
そう言われ、彼女はハッと気づきました。
今の季節は秋、枝につく葉もまばらになり始めた状態でどうして眼しか見えないのか。
木に登り隠れて覗き見ているなら、葉が落ち空けた枝の間から手や足が見えていいものなのに、眼だけしか見えてないのはおかしい。
何よりおかしいのは、薄暗くなり近くの友達の顔さえぼんやりとして見えるというのに、どうしてその眼だけはこんなにもハッキリ見えるのか。
彼女は友達の手を引き他の子にも声をかけ、体育館へと逃げこみました。
そこは部活動の最中で顧問の先生もみえた為事情を説明すると、すぐに外に出てその木を確認してくれたそうです。
しかしそこにはもうそんな眼はなく、誰の姿も見つけることはできなかったそうです。
そして戻ってくると彼女たちにこう説明したそうです。
「あんな高いところに登って降りて逃げるなら、梯子がないと無理だな。でも、梯子の跡や足跡も見つからなかった。わずかな時間に跡を消して梯子を担いで逃げるなんて、普通はできないだろうな。まあ…この学校だしな、そういうおかしなこともあるだろう。」
※※※
これらの話を聞いて、私は彼女に質問しました。
こんなに怖い体験をして、霊感があるんじゃないの?と。
彼女が言うには、もともとは何も感じないし見ることもなかったそうです。
I高校に入学してから、変なものを感じたり見るようになったそうです。
そしてそのような変化は自分だけではなく、周りにも同じような子が何人もいたといいます。
そして学年が上がるにつれ、ますますその頻度は増えていったそうです。
しかし高校を卒業してからはいわゆる心霊体験というものは減っていき、今はもう何もないとのことでした。
「あの場所が、怖いものを呼んでるんだよ。私は一時そこに足を踏み入れた、だから見えたんだろうね。」
彼女はそう言って、話を締めくくりました。
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