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妹を庇ったら婚約破棄された、なので私は自由の身です。<前>

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「お前とは、婚約破棄こんやくはきだ!」

「シオン様…それじゃ、お姉様が可哀かわいそうですわ。」

「何ていい子なんだ…。君は、俺が守るから!」

「シオン様…!」

 …何、この茶番ちゃばん

※※※

 事の始まりは、私が妹をかばったことだった。

「危ない、エミリー!」

 ガシャン!

 妹の頭をめがけて落ちて来た、植木鉢うえきばち

 妹はひどおびえ、その日から私のそばはなれないようになった。

 それから、妹に数々の危険きけんが及ぶようになった。
 階段かいだんから突き落されそうになったり、歩いていたらみょう液体えきたいをかけられたり…。

 そのたびに、私は犯人はんにんを突き止めようとした。

 でも、肝心かんじんの妹がそれを拒否きょひしたのだ。

「そんなことしたら、お姉様がうらみを買ってしまいます。今だって私を守るために、こんな怪我けがをして。放っておけば、そのうちおさまるわ。だからそれまで、私から離れないで?」

 私は、妹の言葉通りにした。

 それからしばらくして、私は婚約者のシオン様に呼びだされた。

「おいメアリー、お前最近俺のことをけているだろう!このところ、デートもことわるし。」

「ごめんなさい。実は妹が…。」
 
 私はシオン様に、妹のことを話した。

「ほう…果たしてそれは、本当か?お前が男と遊んでいる、そんなうわさを耳にしたんだがな。今度、お前の妹にも聞いてみるか。」

 そう言って、シオン様は去って行った。

 それから、少ししてだ。
 妹とシオン様の距離きょりが、やたらと近くなったのは。

「…エミリー、今日もシオン様と会うの?」

「シオン様がね、男が傍に居た方が犯人も寄ってこないって。だからお姉様は、もう私を守ってくれなくてもいいわ。これでお姉様も、れて自由の身ね!これからは、好きなように過ごしてもらってかまわないわ。」

「エミリー、むかえに来たぞ。俺たちは出かけるから、メアリー、お前は好きにしろ。…何だ、また怪我したのか。本当に汚い顔になったな!」

 2人の背中せなかを見送る私。

 …これじゃあ、まるであの2人が婚約してるみたいじゃない。

 何で、こんなことになったの?
 私は妹を庇い続けたのに…一体、何でこんなことに!

※※※

「…分かりました。でもその前にエミリー、これを見て?」

 私はエミリーに、1枚の紙を差し出した。

「…こ、これ、どうしてお姉様が!?」

「見覚えがあるみたいね。これは、契約書けいやくしょよ。あなたが、ある人物と交わしたね。」

「おい、俺にも見せろ。…何だこれは?契約者エミリーを、死なない程度ていどに傷つけろ…?」

「エミリー、あなた男を金でやとって、自分をおそわせてたでしょう。」

馬鹿ばか言うな、何でエミリーがそんなことするんだ?」

「私とシオン様を引き離す為よ。そして、シオン様に自分を守ってもらう為。エミリー…あなたの思惑おもわく通り、私はシオン様との時間より、あなたを守ることを優先ゆうせんした。そしてあなたは言葉巧ことばたくみに、今度はシオン様に自分を守ってもらうように仕向けた。こうして私とシオン様は、すれちがうようになった。…私が男と遊んでるっていう噂。あれもエミリー、あなたの仕業しわざね。あなたを襲った男に、そんな噂を流すように命令めいれいしたんでしょ?」
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