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23.運ぶ役目はチャンス
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「暗いなら大丈夫って、どういうこと? アート、何かいい手段でもあるの?」
アートレイドのつぶやきを聞いて、フローゼが尋ねる。
「うん、魔獣の力を借りようと思ってるんだ。フローゼは、大きな獣が現れても平気? 高い声で悲鳴をあげないでもらえれば、それで十分だけど」
「ああ、それなら平気よ。おじいちゃんが呼び出してるところを、何度か見てるから。召喚、でしょ?」
「そう。俺と契約してる狼の魔獣なんだ」
こういう時は、魔法使いのすることを知っている人だとやりやすい。
アートレイドは、召喚の呪文を唱える。途端に小さな竜巻が起き、その風がおさまると、すぐそばに灰色の狼が控えていた。普通の狼より二回りほど大きい。
「よぉ、アート。何の用だ」
当然のように、狼がしゃべる。その口調は、人間同士の悪友みたいだ。
「ノズ、彼を村まで運ぶのを手伝ってほしいんだ」
「何だよ、けが人の運搬か? 魔物とやりあうんじゃないのかよ」
「ごめん。それはもう終わったんだ」
「おいおい。どうしてそこで俺を呼ばねぇんだよ。ったく」
目の前のことに気を取られ、ノズのような助けを呼ぼうという意識が全然なかった。攻撃する数が増えれば、もっと早くベグスバーノとの決着が付いただろうか。
「俺より背が高いし、ノズなら安全に運んでもらえると思って」
「へぇへぇ」
アートレイドがノズと呼んだ狼は、暴れられないとわかって不満そうだ。しかし、アートレイドの依頼を断るつもりはないらしい。
様子を見るためか、ディラルトの方へ鼻を突き出し……すぐに引っ込めた。
「お、おい、ちょっと待て。アート、そいつ、人間じゃねぇよな」
「あら、魔獣にはちゃんとわかるのね」
シェイナが横で感心した。ちなみに、ノズはシェイナの事情を把握している。
「冗談じゃないぜ。こんな大きな奴、運べるかよ」
「どうしてだよ。大きいって言っても、少し背が高いくらいで太ってる訳じゃないし。お前、身体を大きくできるだろ。だから、問題ないと思って呼んだんだ」
「そういう意味じゃねぇよ。そいつ、すんげー力があるんじゃないのか。一体何なんだよ、そいつは」
どうやらノズは、ディラルトの身体ではなく、魔力の大きさに腰が引けているようだ。
「まだ本人からはっきり聞いた訳じゃないけど、竜」
竜だと思っているのに「本人」と言っていいのだろうか。
一方で、アートレイドのとんでもない答えに、狼は目を丸くする。
「竜だぁっ? アートが竜と知り合いなんて、聞いてねぇぞ。だいたい、どうして俺が竜なんかを運ばなきゃならねぇんだよっ」
「なんかって……おいおい」
「ノズ、あんたにも目はあるでしょ。彼が自分で歩けるようなら、わざわざあんたを呼んだりしないわよ。歩けないから、アートが頼んでるんじゃない」
シェイナが言っても、ノズはぶんぶんと激しく何度も首を振りながら「無理、無理」と何度も叫ぶ。
「何が無理なんだよ。別にお前を襲うって訳じゃないんだぞ」
「襲われなくたって、敬遠したくなるっての。俺達は力の差がありすぎる奴には、自分から近付かないもんなんだよ。その気がなくても、吹っ飛ばされかねないからな。平気な顔して近付くのは、人間くらいのもんだ」
人間は力の差がわからない「鈍さ」が武器なんだよ、というのがノズの見解らしいが、それはともかく。
ノズにディラルトを運んでもらわないと、アートレイドも困る。仮に他の魔獣を呼び出しても、この様子ではノズと同じ反応を示すに違いない。
アートレイドが困っていると、シェイナが声をかけた。
「ねぇ、ノズ。あんたが彼を運んだら、すっごく喜ばれると思うわよ。力の強い相手から感謝されるのって、すごくない?」
「そりゃ、まぁ……な」
シェイナの言葉に、ノズは小さくうなずく。そういう状況など、まずありえないが。
「それに、自分よりずっと力のある竜を運んだってことを仲間が知ったら、絶対に驚くでしょ。お前にそんなことができたのかって、仲間から尊敬されるんじゃないかしら」
「そう……かな」
「群れの中だけじゃなく、狼仲間全体で評判になるんじゃない? あそこの群れにいるあいつは、すごい奴だって。みんな、あんたに一目置くわ。ノズが彼を運ぶのにちゅうちょするってことは、他の仲間もそうでしょ。それをあんたが運んだら、当然賞賛の嵐よね」
「……」
「あんたと力が拮抗してる仲間なら、絶対に自分から二、三歩下がるわね。とてもノズの横には並べないって。群れの長老みたいな狼がいるなら、次のリーダーはノズにって推薦するんじゃないかしらね。あたしはあんたの群れの事情は知らないけど、似たようなことがあるだろうって十分に考えられるわ。それに、絶対女の子が放っておかないわね」
「えっ、そうか?」
その部分で、ノズが一番強く反応した。目が輝いている。
「当然でしょ。女は強い男に憧れるのよ。特に、獣の世界は強さが重要でしょ。あんた、戦わずして女の子の視線を一気に集めることになるわ。群れの中でも、突出した存在になれるってことよ。他の狼達が同じことをしようと思ってみても、こんなチャンスは滅多に転がってないでしょ。ノズってば、最高のチャンスを目の前にしてるのに、これを逃すって手は……ある?」
「ないっ。絶対ないよな」
横で聞いていたアートレイドは、シェイナの口のうまさとノズの軽さにあきれていた。フローゼは笑いをこらえている様子だ。
「よーし。さっさと運ぼうぜ。村って遠いのか?」
さっきまであんなにいやがっていたくせに、今ではすっかり乗り気でいる。
「いや、この森を抜けた先にある。ノズ、頼りにしてるぞ」
「おう、まかせとけって」
通常でも大型サイズだったノズは、さらにその身体を大きくする。馬よりも大きな身体になったので、村人が見たら卒倒しかねない。だが、村へ着く頃には暗くなるはずだから、人目にもつきにくいだろう。
アートレイドが「暗いから大丈夫」と言ったのは、こういった事情からだ。
傷に響かないよう、そっとディラルトの身体をノズの背に乗せ、アートレイド達はパルトの村へ向かう。
ノズが歩き出した時にアートレイドはシェイナの方を見たが、黒ねこはすました顔だ。
「そうだ。ネイロスさんとユーリオンさんが心配してるだろうから、先に戻って事情を話しておくわ」
そう言って、シェイナは走り出した。すぐにその姿は見えなくなる。
「これでノズがモテなかったら、俺が恨まれるよなぁ」
アートレイドのつぶやきに、フローゼは今度こそくすくすと笑い出すのだった。
☆☆☆
ゆっくり目を開けると、見覚えのある少女がこちらを覗き込んでいた。栗色の髪を三つ編みにしている少女だ。
ディラルトの意識が戻ったのを見て、その顔に笑みが浮かぶ。彼女が少し振り返り、その後で少年と小さな黒ねこの顔が視界に加わった。
彼らの顔を見て、ディラルトは自分の状況を思い出す。
「……どれくらい、眠ってた?」
「二日よ」
フローゼが答える。
「そうか。思ったより長かったな」
ディラルトは、小さく息を吐いた。
ノズのおかげでどうにか村へたどり着き、ネイロスとユーリオンがフローゼの無事をゆっくり喜ぶ間もなく、ディラルトは家の中へと担ぎ込まれた。
傷の具合を見てネイロスとユーリオンは治癒の魔法をかけようとしたが、ほとんど効果がない。
どういうことかといぶかしむ二人に、アートレイドはディラルトが竜であることを話した。
治癒の効果がないのは「竜の本能的な防御の力が働いて、人間の魔法をはじき返しているのではないか」と考えたからだ。
ディラルト自身がはっきり話していないことを勝手に言っていいものか、アートレイドは悩んだ。
しかし、今は言わなくても、フローゼが魔物にさらわれてからこれまでの話をする時、そのことに触れない訳にはいかない。
結局、しばらく様子を見ていると、ディラルトの傷は自然にふさがっていった。竜の驚異的な自然治癒力のたまものだろう。
あとは、ディラルトが目を覚ますのを待つしかない。
ひどく疲れてはいたが、誰もが頭の中は興奮状態でとても眠れる状態ではなかった。
なので、ベグスバーノの作った世界で起きたことを、待機していた二人に代わる代わる話すことになる。
竜の魔骨の話は本当で、その力を使って魔性が別世界を作っていたこと。
人間界だけでなく、あらゆる世界を支配する気でいたこと。
魔骨の力を使って魔性が攻撃し、ディラルトが守ってくれたこと。
その後で、ディラルトが魔性の集めていた魔骨の力を消したこと……など。
話しているうちに、アートレイド達は「夢でも見ていたんじゃないか」という気になってきた。
それは話を聞いているネイロス達も同じだったが、部屋で眠り続けるディラルトを思えば、今日起きたことは現実なんだ、と認識する。
「ある筋の依頼、などと話していたが……まさか自分が竜だとは言えんだろうからな。本当に竜達が魔骨の回収をしていた、ということか。魔骨の力を抜いたり弱めたりするというのも、彼ならできるのは当然だな」
「人間にはわからなくても、その魔骨は相当のエネルギーだったんでしょうね。竜である彼が、あんな状態になるくらいだから」
アートレイドのつぶやきを聞いて、フローゼが尋ねる。
「うん、魔獣の力を借りようと思ってるんだ。フローゼは、大きな獣が現れても平気? 高い声で悲鳴をあげないでもらえれば、それで十分だけど」
「ああ、それなら平気よ。おじいちゃんが呼び出してるところを、何度か見てるから。召喚、でしょ?」
「そう。俺と契約してる狼の魔獣なんだ」
こういう時は、魔法使いのすることを知っている人だとやりやすい。
アートレイドは、召喚の呪文を唱える。途端に小さな竜巻が起き、その風がおさまると、すぐそばに灰色の狼が控えていた。普通の狼より二回りほど大きい。
「よぉ、アート。何の用だ」
当然のように、狼がしゃべる。その口調は、人間同士の悪友みたいだ。
「ノズ、彼を村まで運ぶのを手伝ってほしいんだ」
「何だよ、けが人の運搬か? 魔物とやりあうんじゃないのかよ」
「ごめん。それはもう終わったんだ」
「おいおい。どうしてそこで俺を呼ばねぇんだよ。ったく」
目の前のことに気を取られ、ノズのような助けを呼ぼうという意識が全然なかった。攻撃する数が増えれば、もっと早くベグスバーノとの決着が付いただろうか。
「俺より背が高いし、ノズなら安全に運んでもらえると思って」
「へぇへぇ」
アートレイドがノズと呼んだ狼は、暴れられないとわかって不満そうだ。しかし、アートレイドの依頼を断るつもりはないらしい。
様子を見るためか、ディラルトの方へ鼻を突き出し……すぐに引っ込めた。
「お、おい、ちょっと待て。アート、そいつ、人間じゃねぇよな」
「あら、魔獣にはちゃんとわかるのね」
シェイナが横で感心した。ちなみに、ノズはシェイナの事情を把握している。
「冗談じゃないぜ。こんな大きな奴、運べるかよ」
「どうしてだよ。大きいって言っても、少し背が高いくらいで太ってる訳じゃないし。お前、身体を大きくできるだろ。だから、問題ないと思って呼んだんだ」
「そういう意味じゃねぇよ。そいつ、すんげー力があるんじゃないのか。一体何なんだよ、そいつは」
どうやらノズは、ディラルトの身体ではなく、魔力の大きさに腰が引けているようだ。
「まだ本人からはっきり聞いた訳じゃないけど、竜」
竜だと思っているのに「本人」と言っていいのだろうか。
一方で、アートレイドのとんでもない答えに、狼は目を丸くする。
「竜だぁっ? アートが竜と知り合いなんて、聞いてねぇぞ。だいたい、どうして俺が竜なんかを運ばなきゃならねぇんだよっ」
「なんかって……おいおい」
「ノズ、あんたにも目はあるでしょ。彼が自分で歩けるようなら、わざわざあんたを呼んだりしないわよ。歩けないから、アートが頼んでるんじゃない」
シェイナが言っても、ノズはぶんぶんと激しく何度も首を振りながら「無理、無理」と何度も叫ぶ。
「何が無理なんだよ。別にお前を襲うって訳じゃないんだぞ」
「襲われなくたって、敬遠したくなるっての。俺達は力の差がありすぎる奴には、自分から近付かないもんなんだよ。その気がなくても、吹っ飛ばされかねないからな。平気な顔して近付くのは、人間くらいのもんだ」
人間は力の差がわからない「鈍さ」が武器なんだよ、というのがノズの見解らしいが、それはともかく。
ノズにディラルトを運んでもらわないと、アートレイドも困る。仮に他の魔獣を呼び出しても、この様子ではノズと同じ反応を示すに違いない。
アートレイドが困っていると、シェイナが声をかけた。
「ねぇ、ノズ。あんたが彼を運んだら、すっごく喜ばれると思うわよ。力の強い相手から感謝されるのって、すごくない?」
「そりゃ、まぁ……な」
シェイナの言葉に、ノズは小さくうなずく。そういう状況など、まずありえないが。
「それに、自分よりずっと力のある竜を運んだってことを仲間が知ったら、絶対に驚くでしょ。お前にそんなことができたのかって、仲間から尊敬されるんじゃないかしら」
「そう……かな」
「群れの中だけじゃなく、狼仲間全体で評判になるんじゃない? あそこの群れにいるあいつは、すごい奴だって。みんな、あんたに一目置くわ。ノズが彼を運ぶのにちゅうちょするってことは、他の仲間もそうでしょ。それをあんたが運んだら、当然賞賛の嵐よね」
「……」
「あんたと力が拮抗してる仲間なら、絶対に自分から二、三歩下がるわね。とてもノズの横には並べないって。群れの長老みたいな狼がいるなら、次のリーダーはノズにって推薦するんじゃないかしらね。あたしはあんたの群れの事情は知らないけど、似たようなことがあるだろうって十分に考えられるわ。それに、絶対女の子が放っておかないわね」
「えっ、そうか?」
その部分で、ノズが一番強く反応した。目が輝いている。
「当然でしょ。女は強い男に憧れるのよ。特に、獣の世界は強さが重要でしょ。あんた、戦わずして女の子の視線を一気に集めることになるわ。群れの中でも、突出した存在になれるってことよ。他の狼達が同じことをしようと思ってみても、こんなチャンスは滅多に転がってないでしょ。ノズってば、最高のチャンスを目の前にしてるのに、これを逃すって手は……ある?」
「ないっ。絶対ないよな」
横で聞いていたアートレイドは、シェイナの口のうまさとノズの軽さにあきれていた。フローゼは笑いをこらえている様子だ。
「よーし。さっさと運ぼうぜ。村って遠いのか?」
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「いや、この森を抜けた先にある。ノズ、頼りにしてるぞ」
「おう、まかせとけって」
通常でも大型サイズだったノズは、さらにその身体を大きくする。馬よりも大きな身体になったので、村人が見たら卒倒しかねない。だが、村へ着く頃には暗くなるはずだから、人目にもつきにくいだろう。
アートレイドが「暗いから大丈夫」と言ったのは、こういった事情からだ。
傷に響かないよう、そっとディラルトの身体をノズの背に乗せ、アートレイド達はパルトの村へ向かう。
ノズが歩き出した時にアートレイドはシェイナの方を見たが、黒ねこはすました顔だ。
「そうだ。ネイロスさんとユーリオンさんが心配してるだろうから、先に戻って事情を話しておくわ」
そう言って、シェイナは走り出した。すぐにその姿は見えなくなる。
「これでノズがモテなかったら、俺が恨まれるよなぁ」
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ゆっくり目を開けると、見覚えのある少女がこちらを覗き込んでいた。栗色の髪を三つ編みにしている少女だ。
ディラルトの意識が戻ったのを見て、その顔に笑みが浮かぶ。彼女が少し振り返り、その後で少年と小さな黒ねこの顔が視界に加わった。
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「……どれくらい、眠ってた?」
「二日よ」
フローゼが答える。
「そうか。思ったより長かったな」
ディラルトは、小さく息を吐いた。
ノズのおかげでどうにか村へたどり着き、ネイロスとユーリオンがフローゼの無事をゆっくり喜ぶ間もなく、ディラルトは家の中へと担ぎ込まれた。
傷の具合を見てネイロスとユーリオンは治癒の魔法をかけようとしたが、ほとんど効果がない。
どういうことかといぶかしむ二人に、アートレイドはディラルトが竜であることを話した。
治癒の効果がないのは「竜の本能的な防御の力が働いて、人間の魔法をはじき返しているのではないか」と考えたからだ。
ディラルト自身がはっきり話していないことを勝手に言っていいものか、アートレイドは悩んだ。
しかし、今は言わなくても、フローゼが魔物にさらわれてからこれまでの話をする時、そのことに触れない訳にはいかない。
結局、しばらく様子を見ていると、ディラルトの傷は自然にふさがっていった。竜の驚異的な自然治癒力のたまものだろう。
あとは、ディラルトが目を覚ますのを待つしかない。
ひどく疲れてはいたが、誰もが頭の中は興奮状態でとても眠れる状態ではなかった。
なので、ベグスバーノの作った世界で起きたことを、待機していた二人に代わる代わる話すことになる。
竜の魔骨の話は本当で、その力を使って魔性が別世界を作っていたこと。
人間界だけでなく、あらゆる世界を支配する気でいたこと。
魔骨の力を使って魔性が攻撃し、ディラルトが守ってくれたこと。
その後で、ディラルトが魔性の集めていた魔骨の力を消したこと……など。
話しているうちに、アートレイド達は「夢でも見ていたんじゃないか」という気になってきた。
それは話を聞いているネイロス達も同じだったが、部屋で眠り続けるディラルトを思えば、今日起きたことは現実なんだ、と認識する。
「ある筋の依頼、などと話していたが……まさか自分が竜だとは言えんだろうからな。本当に竜達が魔骨の回収をしていた、ということか。魔骨の力を抜いたり弱めたりするというのも、彼ならできるのは当然だな」
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