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27.次の旅
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「何だ、それ。お前が行きたいって言い出したんだぞ」
「そうだけど」
まさかこんなにあっさり承諾されると思ってなかったので、逆に戸惑う。
遊びの旅じゃないとか、人間と一緒は迷惑だ、などと言われるのでは……と予想していたのだ。
何でも言ってみるものである。
「俺、魔骨の気配なんてわからないし、魔骨の力をどうこうもできないけど」
「ああ、それはオレの仕事だ。お前にやらせようなんて思っていないさ。たまには相棒のいる旅もいいか、と思ったんだ」
孤独な旅は嫌いじゃない。孤独ではない旅も、いいかも知れない。
ディラルトにとっては、それだけの理由だ。それでも、アートレイドにとっては嬉しい。
「どうして、ディラルトが魔骨を探すことになったんだ?」
「話しただろ。オレが若いから」
「え……本当にそれだけ?」
ずいぶんあっさりした理由だ。しがらみがどうとか、言っていたような気もするが。
「若い竜の方が移動も速くできるし、魔骨の感知能力が高いんだ。で、余程の事情がない限り、そっちへ回されることになる。個々の状況にもよるが、だいたい百年から二百年くらいかな」
「ひゃくっ……」
少し聞いたことはあるが、竜の長命さをあっさり言われて言葉も出ない。
「今、オレが聞いてるところだと、十数頭が世界中を回っているはずだ。特にどのエリアって担当はないけれどな。旅に出られるような年になったら回されて、ある程度年季が入った竜はお役御免になる。そうやって、ずっと続いているんだ。年季と言っても、人間で言えばまだ壮年といったくらいかな」
「ディラルトは、あと何年くらい?」
「そうだな……十年前後、といったところか。たぶん、それくらいだ」
つまり、すでに百年以上もこの旅をしている、ということだ。
「でも、新しく旅に出られる奴が順調に現れてくれないと、延ばされるって可能性もある。その辺りは、オレの判断で決められることじゃないからな」
きっと竜の長老みたいな存在があって、そこから指示されるのだろう。しがらみ、と言うのは、そういった点かも知れない。
「竜なら、もっとスムーズに集められそうな気がするけどな。見習いたくないけど、ベグスバーノみたいに、魔骨の力で他の魔骨のある場所を探れば楽できるんじゃないのか? で、魔獣や妖精にでも取りに行ってもらえば、早く終わって全部の竜が解放されると思うけど」
「そううまくいけばいいけどな」
ディラルトはそう言って、苦笑する。
「魔骨のほとんどは、人間の持ち物になってる。その中にはフローゼのように形見であったり、思い出の品になっている物もあるんだ。それを、危険な力になりえるからって、勝手に取り上げられないだろ?」
「あ……そうか」
「危険なのは魔骨の力であって、魔骨そのもものじゃないからな」
他の人にとっては何でもない装飾品でも、奪われれば傷付く人もいる。今回のことで、ベグスバーノの手下に魔骨を奪われた人達は気の毒だが、仕方がない。
しかし、何度もこういうことがないように、ディラルト達は動いているのだ。
「確かに、ベグスバーノが使っていた方法が使えれば、楽になるんだがなぁ。そこから持ち出せないとなると、結局は魔骨のある場所へ直接出向くことになる。だったら、魔骨の気配を探るのに楽な方法があっても、オレ達の苦労はあまり変わらないんだ」
「……で、そういうことを百年も二百年もしてるのか」
「そういうこと。どんな奴かわからないけれど、魔骨を細工した人間の勤勉さには頭が下がるよ。どれだけの数を商品にしたんだって、聞いてみたいな」
「きっと大儲けしてるぞ」
「それで屋敷でも建てていたら、魔骨御殿だな」
そんなことを言って、ふたりで笑う。
「話なら、これからいくらでもできる。そろそろ、部屋へ戻って休め。心配しなくても、置いて行ったりしないから。挨拶もなしに出て行ったら、オレ達の種族はどれだけ礼儀知らずなんだ、と言われるからな」
「はは……竜が人間の礼儀にこだわったりするんだ」
「魔骨のほとんどが、人間の物になっているって言っただろ。それをどうこうするには、人間の中へ入って行かなくてはならないことも多いんだ。郷に入れば、だよ」
「そうか。じゃ……おやすみ」
「おやすみ」
アートレイドはディラルトの部屋を出て扉を閉めると、思わず拳を強く握った。
やった! 竜と旅ができるんだっ。
☆☆☆
部屋へ戻っても、当然ながらなかなか眠れず。寝不足の状態ではあったが、次の朝のアートレイドは気分爽快だった。
アートレイドがディラルトと一緒に出ると聞き、フローゼ達はいつの間にそんな話になったのか、と驚く。まして、相手は普通の青年魔法使いではない。
「たまには、魔法使いと一緒の旅も悪くないと思ってね」
竜は人の前にほとんど姿を見せず、人と関わりを持とうとしない。
誰がそんなことを言い出したのか、とフローゼ達は首をかしげた。
少なくとも、彼らの前に現れた竜はこんなに優しくて、人を拒絶しないのだから。
「え、十年?」
ディラルトが魔骨を探す旅にかかる年数を聞き、シェイナは、そしてフローゼは次の言葉に詰まった。
この旅の趣旨を考えれば、どこまで遠く行かなければならないか、誰も予測がつかない。そう簡単に、パルトの村へ帰ってくることはできないのだ。
昨夜のアートレイドは街へ行くと話していたので、一番近くの街か、そうでなくても一日か二日もあれば村へ戻って来られる場所だろう、と思っていた。
しかし、この旅に出るとなれば、へたすれとこの先十年かそれ以上、ずっと会えないかも知れないのだ。
アートレイドが竜と旅に出られることはよかったと思うが、その年数はフローゼとシェイナの二人にとってショックだった。
しかし、嬉しそうなアートレイドを見たシェイナとフローゼは、その気持ちを隠して笑って見送ろうと決める。
「十年も経ったら、書庫の魔法書はほとんど……ううん、全部読めてるわ。知識だけなら、アートよりあたしの方が上になってるかもね」
「そうか。じゃ、使い勝手のいい魔法をいくつか選んで、教えてくれよな」
「高くつくわよ」
「おいおい……」
ちゃっかりしたことを言うシェイナは、昔のままだ。
一時は意識までねこになるのでは、と心配したアートレイドだったが、もう魔女の呪いにわずらわされることはない。
「アート、いつでも戻って来てね。シェイナもいるんだし、私達のことを忘れた、なんて言わせないわよ」
「忘れられるはずないだろ。本当にありがとう。それから、シェイナをよろしく」
「ええ、まかせておいて。と言っても、シェイナの面倒はお父さんがみてくれるわ。弟子ができたようなものだもん」
ねこの時から面倒をみてくれていたのは知っているので、アートレイドも安心してまかせられる。
「あ、そうだ。アート」
「ん? 何?」
フローゼがこそっと話す。
「あなた、シェイナのことをケンカっ早いって言ってたでしょ。私が見た限り、あなたも人のことは言えないわよ。兄妹だってことがよくわかるわ」
「え……そうかな」
「ベグスバーノの城で、魔物を素手で殴ったじゃない。魔物を爪で引っ掻いたシェイナを怒れないわよ。状況にもよるでしょうけど、あんなの危ないわ。もうやっちゃダメよ」
「わ、わかった……」
フローゼは年下のはずだが、アートレイドは母か姉にでも叱られている気分になった。
「何がわかったの?」
シェイナが口を挟む。
「な、何でもない。シェイナ、みんなに迷惑かけるんじゃないぞ」
「アートこそ、ディラルトの足を引っ張らないようにね」
「ったく……」
最近、口数が減ったと心配していたが、減ったままの方がよかったような気がする。……今だから、こんなことも言えるのだろうが。
ネイロスとユーリオンにも世話になった礼と、シェイナのこれからのことをしっかり頼み、アートレイドはディラルトと共にネイロス邸を後にした。
「アートレイド、本当にいいのか? 今ならまだ引き返せるぞ」
「引き返す? どうして?」
「人間にとっての十年は、相当長いぞ。その間、ずっとあてのない旅に出ることになる」
「ディラルト、昨夜言ってくれただろ。好きにしろって。だから、俺はこうして旅に出たんだ。だいたい、竜と旅できるなんてこと、まずありえないだろ。それを棒に振る程、俺は気前よくないんだ」
「ははは、竜との旅は気前がいい、か」
そんな言い方をされると思わなかったディラルトは、思わず笑う。
「ああ。だからさ」
言いながら、アートレイドは振り返る。まだフローゼとシェイナが手を振っているのが見えた。同じように、アートレイドも手を振り返す。
「振り返るのは、これで最後だ」
手を下ろし、アートレイドは前を向いた。
「で、これからどこへ向かうんだ?」
「さぁ、どこへ行こうかな」
「えっ、魔骨のある場所がわかって歩いてる訳じゃないのか」
目的地はない、と昨夜も聞いたが、これはなさすぎだ。
「ある程度近付かないと、オレだって感じ取るのは無理だよ。敏感すぎると余計な気配を感じ取って、疲れてしまうからな。たまに、魔骨の気配を感じ取れる妖精が教えてくれることもあるけれど」
「それじゃ、行き当たりばったり?」
「そんな感じだな」
「竜の旅ってそんなものなのか?」
次の目標があって、そちらへ向かうと思っていたのに。本当にこんな適当なのか。
「そんなものだよ。勘で動いてるんだ」
ディラルトが笑う。どこまで本当なのだろう。ちょっと疑わしくなってきた。からかわれているような。
まぁ、いいか。旅を続けるうちにわかるんだろうし。
焦ることはない。旅は始まったばかりだ。
「そうだけど」
まさかこんなにあっさり承諾されると思ってなかったので、逆に戸惑う。
遊びの旅じゃないとか、人間と一緒は迷惑だ、などと言われるのでは……と予想していたのだ。
何でも言ってみるものである。
「俺、魔骨の気配なんてわからないし、魔骨の力をどうこうもできないけど」
「ああ、それはオレの仕事だ。お前にやらせようなんて思っていないさ。たまには相棒のいる旅もいいか、と思ったんだ」
孤独な旅は嫌いじゃない。孤独ではない旅も、いいかも知れない。
ディラルトにとっては、それだけの理由だ。それでも、アートレイドにとっては嬉しい。
「どうして、ディラルトが魔骨を探すことになったんだ?」
「話しただろ。オレが若いから」
「え……本当にそれだけ?」
ずいぶんあっさりした理由だ。しがらみがどうとか、言っていたような気もするが。
「若い竜の方が移動も速くできるし、魔骨の感知能力が高いんだ。で、余程の事情がない限り、そっちへ回されることになる。個々の状況にもよるが、だいたい百年から二百年くらいかな」
「ひゃくっ……」
少し聞いたことはあるが、竜の長命さをあっさり言われて言葉も出ない。
「今、オレが聞いてるところだと、十数頭が世界中を回っているはずだ。特にどのエリアって担当はないけれどな。旅に出られるような年になったら回されて、ある程度年季が入った竜はお役御免になる。そうやって、ずっと続いているんだ。年季と言っても、人間で言えばまだ壮年といったくらいかな」
「ディラルトは、あと何年くらい?」
「そうだな……十年前後、といったところか。たぶん、それくらいだ」
つまり、すでに百年以上もこの旅をしている、ということだ。
「でも、新しく旅に出られる奴が順調に現れてくれないと、延ばされるって可能性もある。その辺りは、オレの判断で決められることじゃないからな」
きっと竜の長老みたいな存在があって、そこから指示されるのだろう。しがらみ、と言うのは、そういった点かも知れない。
「竜なら、もっとスムーズに集められそうな気がするけどな。見習いたくないけど、ベグスバーノみたいに、魔骨の力で他の魔骨のある場所を探れば楽できるんじゃないのか? で、魔獣や妖精にでも取りに行ってもらえば、早く終わって全部の竜が解放されると思うけど」
「そううまくいけばいいけどな」
ディラルトはそう言って、苦笑する。
「魔骨のほとんどは、人間の持ち物になってる。その中にはフローゼのように形見であったり、思い出の品になっている物もあるんだ。それを、危険な力になりえるからって、勝手に取り上げられないだろ?」
「あ……そうか」
「危険なのは魔骨の力であって、魔骨そのもものじゃないからな」
他の人にとっては何でもない装飾品でも、奪われれば傷付く人もいる。今回のことで、ベグスバーノの手下に魔骨を奪われた人達は気の毒だが、仕方がない。
しかし、何度もこういうことがないように、ディラルト達は動いているのだ。
「確かに、ベグスバーノが使っていた方法が使えれば、楽になるんだがなぁ。そこから持ち出せないとなると、結局は魔骨のある場所へ直接出向くことになる。だったら、魔骨の気配を探るのに楽な方法があっても、オレ達の苦労はあまり変わらないんだ」
「……で、そういうことを百年も二百年もしてるのか」
「そういうこと。どんな奴かわからないけれど、魔骨を細工した人間の勤勉さには頭が下がるよ。どれだけの数を商品にしたんだって、聞いてみたいな」
「きっと大儲けしてるぞ」
「それで屋敷でも建てていたら、魔骨御殿だな」
そんなことを言って、ふたりで笑う。
「話なら、これからいくらでもできる。そろそろ、部屋へ戻って休め。心配しなくても、置いて行ったりしないから。挨拶もなしに出て行ったら、オレ達の種族はどれだけ礼儀知らずなんだ、と言われるからな」
「はは……竜が人間の礼儀にこだわったりするんだ」
「魔骨のほとんどが、人間の物になっているって言っただろ。それをどうこうするには、人間の中へ入って行かなくてはならないことも多いんだ。郷に入れば、だよ」
「そうか。じゃ……おやすみ」
「おやすみ」
アートレイドはディラルトの部屋を出て扉を閉めると、思わず拳を強く握った。
やった! 竜と旅ができるんだっ。
☆☆☆
部屋へ戻っても、当然ながらなかなか眠れず。寝不足の状態ではあったが、次の朝のアートレイドは気分爽快だった。
アートレイドがディラルトと一緒に出ると聞き、フローゼ達はいつの間にそんな話になったのか、と驚く。まして、相手は普通の青年魔法使いではない。
「たまには、魔法使いと一緒の旅も悪くないと思ってね」
竜は人の前にほとんど姿を見せず、人と関わりを持とうとしない。
誰がそんなことを言い出したのか、とフローゼ達は首をかしげた。
少なくとも、彼らの前に現れた竜はこんなに優しくて、人を拒絶しないのだから。
「え、十年?」
ディラルトが魔骨を探す旅にかかる年数を聞き、シェイナは、そしてフローゼは次の言葉に詰まった。
この旅の趣旨を考えれば、どこまで遠く行かなければならないか、誰も予測がつかない。そう簡単に、パルトの村へ帰ってくることはできないのだ。
昨夜のアートレイドは街へ行くと話していたので、一番近くの街か、そうでなくても一日か二日もあれば村へ戻って来られる場所だろう、と思っていた。
しかし、この旅に出るとなれば、へたすれとこの先十年かそれ以上、ずっと会えないかも知れないのだ。
アートレイドが竜と旅に出られることはよかったと思うが、その年数はフローゼとシェイナの二人にとってショックだった。
しかし、嬉しそうなアートレイドを見たシェイナとフローゼは、その気持ちを隠して笑って見送ろうと決める。
「十年も経ったら、書庫の魔法書はほとんど……ううん、全部読めてるわ。知識だけなら、アートよりあたしの方が上になってるかもね」
「そうか。じゃ、使い勝手のいい魔法をいくつか選んで、教えてくれよな」
「高くつくわよ」
「おいおい……」
ちゃっかりしたことを言うシェイナは、昔のままだ。
一時は意識までねこになるのでは、と心配したアートレイドだったが、もう魔女の呪いにわずらわされることはない。
「アート、いつでも戻って来てね。シェイナもいるんだし、私達のことを忘れた、なんて言わせないわよ」
「忘れられるはずないだろ。本当にありがとう。それから、シェイナをよろしく」
「ええ、まかせておいて。と言っても、シェイナの面倒はお父さんがみてくれるわ。弟子ができたようなものだもん」
ねこの時から面倒をみてくれていたのは知っているので、アートレイドも安心してまかせられる。
「あ、そうだ。アート」
「ん? 何?」
フローゼがこそっと話す。
「あなた、シェイナのことをケンカっ早いって言ってたでしょ。私が見た限り、あなたも人のことは言えないわよ。兄妹だってことがよくわかるわ」
「え……そうかな」
「ベグスバーノの城で、魔物を素手で殴ったじゃない。魔物を爪で引っ掻いたシェイナを怒れないわよ。状況にもよるでしょうけど、あんなの危ないわ。もうやっちゃダメよ」
「わ、わかった……」
フローゼは年下のはずだが、アートレイドは母か姉にでも叱られている気分になった。
「何がわかったの?」
シェイナが口を挟む。
「な、何でもない。シェイナ、みんなに迷惑かけるんじゃないぞ」
「アートこそ、ディラルトの足を引っ張らないようにね」
「ったく……」
最近、口数が減ったと心配していたが、減ったままの方がよかったような気がする。……今だから、こんなことも言えるのだろうが。
ネイロスとユーリオンにも世話になった礼と、シェイナのこれからのことをしっかり頼み、アートレイドはディラルトと共にネイロス邸を後にした。
「アートレイド、本当にいいのか? 今ならまだ引き返せるぞ」
「引き返す? どうして?」
「人間にとっての十年は、相当長いぞ。その間、ずっとあてのない旅に出ることになる」
「ディラルト、昨夜言ってくれただろ。好きにしろって。だから、俺はこうして旅に出たんだ。だいたい、竜と旅できるなんてこと、まずありえないだろ。それを棒に振る程、俺は気前よくないんだ」
「ははは、竜との旅は気前がいい、か」
そんな言い方をされると思わなかったディラルトは、思わず笑う。
「ああ。だからさ」
言いながら、アートレイドは振り返る。まだフローゼとシェイナが手を振っているのが見えた。同じように、アートレイドも手を振り返す。
「振り返るのは、これで最後だ」
手を下ろし、アートレイドは前を向いた。
「で、これからどこへ向かうんだ?」
「さぁ、どこへ行こうかな」
「えっ、魔骨のある場所がわかって歩いてる訳じゃないのか」
目的地はない、と昨夜も聞いたが、これはなさすぎだ。
「ある程度近付かないと、オレだって感じ取るのは無理だよ。敏感すぎると余計な気配を感じ取って、疲れてしまうからな。たまに、魔骨の気配を感じ取れる妖精が教えてくれることもあるけれど」
「それじゃ、行き当たりばったり?」
「そんな感じだな」
「竜の旅ってそんなものなのか?」
次の目標があって、そちらへ向かうと思っていたのに。本当にこんな適当なのか。
「そんなものだよ。勘で動いてるんだ」
ディラルトが笑う。どこまで本当なのだろう。ちょっと疑わしくなってきた。からかわれているような。
まぁ、いいか。旅を続けるうちにわかるんだろうし。
焦ることはない。旅は始まったばかりだ。
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